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番外編【Dandy~おじさまの集い~】9

読んでくださりありがとうございます



「ん?何故、サン侯爵がレーニュ公爵に残忍な扱いされそうになっていたのだ?何かやらかしたか?」

 と、マルク辺境伯がチェスを動かし、前サン侯爵に聞いた。


「ああ、ジャンヌ…公女絡みの話じゃよ。ほら、公女はロベールに惚れていたからな。貿易関係で大公家と昔から親交があったレーニュ公爵(あの男)は、幼き頃から公女に惚れ込んでいたのじゃ。レーニュ公爵は、ロベールの存在が大層疎ましかったのだろう。事前に王家の耳が情報を得ていなかったら、うちの孫が危うく息絶えた姿で見つかるところじゃったのじゃ、あの時は寿命が縮まったわい。」

 前サン侯爵が大きく溜息をつく。

 ロベールは相当危険だったらしい。


「うわぁ、何そのヤバい話。ロベール卿にいったい何があったんだ?」

 聞き耳を立てていたアクセルが呟く。


「ああ、相当ヤバかったぞ。何せ、レーニュ公爵はユーグ殿下とジャンヌ公女の偽婚約者協定を知っていて、公女が婚約の噂から解放される日を今か今かと心待ちにしていたのだからな。ユーグ殿下が騎士学校を卒業する年には結婚へ向けた本格的な運びとなるから、正式に公女との噂は消されるだろうと予測して、それまではとジャンヌ公女以外の令嬢との縁談を回避するために諸外国に留学していたそうなのだが、まさかの一年前倒しでのユーグ殿下の公表。留学を切り上げて、急いで駆け付けてみたら、ポッとでの男を想い人が追い掛け回していた上に、その男は逃げ回っているときたもんだ。公爵は怒り心頭さ。」

 詳しくカソンヌ子爵が説明してくれた。


「ああ、それは私でもムカつくなぁ。でもさ、だからって人を殺めようだなんて考えには、至らないと思うけどな。」

 アクセルがダーツを放ちながら苦々しい表情で話す。

 全く的に当たらない。


「…お前、俺の横でダーツやるのを止めてくれないか?さっきから下手くそすぎて、気になって仕方がないのだ。気が散る。」

 カソンヌ子爵は紙を捲りながらアクセルに目を合わすことなく、そう言った。


「お、え、ちょ、俺だってさ、俺だって真ん中に当てたいよー。俺は、剣が強くても、狙って仕留めることが苦手なんだってか、お前がここで作業するのがいけないんじゃん。的はあそこなんだから、お前が向こうのテーブルに移動しろよ。」

 あちらにあるテーブルセットを指さして、真っ赤になってアクセルが吠える。


 顔を上げないで書類を熱心に見ていた宰相に自分の腕前が密かに見られていたという事実に恥ずかしさを感じているようだ。


「私はここが好きなんだ。下手くそなんだから、お前がダーツを止めればいい。」

 冷たく言い放つカソンヌ子爵に対して、アクセルは心底腹を立てた。

 険悪な雰囲気となっている。


 反抗するように、静かにダーツの的へとアクセルが矢を放る。

 それはかなりのスピードを出して飛んでいった。


 ダーツの先端が、天井から下がっている5灯の小さなシャンデリアにコツンと音を立てて当たる。

 ダーツが方向を変え落下し、その下で大公へと給仕をしていた家令のヘクターの指先へと落ちた。

 それは木のテーブルに突き刺さっていた。


 あと数センチほどズレていたら掌に深く刺さっていただろう…。

 背中に冷汗が滲んだ。


 ロベールもこんな思いをしたのかもしれない…。


 話を戻そう、あの時は本当にロベールの命が危なかった。

 一歩遅かったらと考えると身震いがする…。



  ~みんなの回想~ホワワワワーン


 ユーグの騎士学校時代から親しくしていた友の領地で、とある事件が発生した。

 南東のトウス王国のモホーク諸島の島にしか生息しないとされる神の鳥ライチュウが見つかったとうのだ。


 あの時のレオンは不眠症で使い物にならないし、陛下はしわ寄せで大変忙しく、ユーグもなかなかに忙しかったのだが、学友時代の親しき友の頼みとあったので仕方なくユーグは時間を作り、彼の領地へと赴くこととなったのだ。


 ユーグの側近としてロベールも付き添う形となったのだが、その時点で、レーニュ公爵の策略にまんまとはまっていたようだ。


 ロベールとユーグが、ユーグの友人の領地へと旅立つ前日の夜。

 王都のサン侯爵家所有タウンマンションに呼び出されたロベールは、室内の張り詰めた雰囲気に身震いをした。


 父親が口を開く。

「ロベール…何か、困ったことが身の回りで起きていないか?」

 ロベールは最近の出来事を思い出していた。


「困ったことですか?困ったことはありませんが、変わった出来事ならば…」

 顎に手を当てて上を見ながら思い出し、ロベールがそう言うと、


「何だ!?言ってみろ。」

 父親が身を乗り出して必死な様子で聞いてきた。


「そうですね…水を汲んで入れておくのに使うような大きな壺ありますよね、あれが上から降ってきたりとか、私の馬に腹下しを飲まされて不調にされていたり、月に一度確認の為に入る倉庫の扉の鍵が壊れていて半日閉じ込められたり、いつまでも返ってこないからとユーグ殿下が探してくれて、事なきを得ました。まだ夜は冷えるので、見つけてもらえて良かったです。それから、歩いていると目の前に矢がビューンと飛んできたりとか、それくらいですかね??」


 ヘラヘラと話すロベールに父が言う。

「……お前、それ、命を狙われているぞ。」

「はっ!?そうかも!!」

 その父の一言で、ロベールは自覚した。


 俺、命狙われていたのか!?

 自分の命が危ないだと!!ガクガクブルブル!


 それにより、モホーク諸島とレーニュ公爵家が貿易で接点があることから、もしやと考え、前サン侯爵の最も信頼のおける部下であったシャトンを傍に置くよう命ぜられたのであった。


 シャトンは前侯爵が王都の裏路地で拾ってきた者だ。

 幼い頃から、盗み、殺しの依頼を受けて過ごしてきた。

 まだ少年であったにも関わらず、きちんと依頼を遂行する者として名は広まるくらい腕にはそこそこ自信があった。

 だが、まだその頃は10代半ば、その地区を牛耳る集団から気に食わないとリンチにあう。

 流石に一人に対して集団では、歯が経たない。

 瀕死の状態の所に路地裏を歩いていた前侯爵の目に触れ拾われた。


 彼は前侯爵に忠誠を誓った身であるが、養子に入った一家を観察しているうちに、彼らの事も好きになっていく。

 そして、彼らの優しさに触れ、実力を知り、主の家族、後継者として認めていた。

 世代交代した後も、前侯爵の助言もあり新たな主として、彼らに従っていた。

かなりのベテランで、凄腕の影の者である。


 そんな彼が一緒ならとロベールは意気揚々と殿下と共に出発したのだが…この道中、ことごとく狙われ続けたのだ。


 山中では馬車を崖下まで落とされたり、宿では多くのならず者に襲われたり、森での謎の黒装束の者達との死闘は鬼気迫るものだったとか、全てシャロンの力で事前察知が出来、すべて回避し無事であった。


 だが、何も知らされずに一緒に巻き込まれたユーグ殿下は自分が狙われたと大いに勘違いし、怖い目に遭ったと暫く外出を拒んだ。

 公務であっても拒否をしていたので、仕方がなく、レオンをミシェルの力を借りて復活させた。


 ~みんなの回想終わり~ホワワワワーン



次回、薄毛ハッピーディーの次は…


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