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番外編【Dandy~おじさまの集い~】8

残り、あと5話。

お読みくださりありがとうございます


「フム、いいのではないか?鍛えればダイヤモンドにもなる逸材だ。」

 サン侯爵がワイングラスをテーブルの上で揺らしながら鼻歌交じりに一番に口を開く。


 理由を丁寧に語りだす。

「例の寄宿学校時代の殿下を例に挙げよう。仮面舞踏会にルイ殿下のフリをして出ていたという事はご存知でしたかな?悪態を広げるために寄宿舎から抜け出して仮面舞踏会に出席していたルイ殿下だったのですが、その仮面舞踏会には、私は子供達を潜入させていたのです。娘は時折であったが、ルイ殿下と接触し、ルイ殿下を目立たぬように会場の外へ誘導し、他の令嬢と噂が経たぬように防いでいたのと、彼から情報を聞き出す役目を与えていた。まさか、娘と話がしたいがためにルイ殿下に頼み込み、娘が気づけぬほど完璧に模倣してレオン殿下が代わりに参加していたとは、本人から言われるまで気が付かなかったことです。彼の恐ろしいほどの執着…いやあ、レオン殿下はかなり期待できますよ。私は大歓迎だ。」



「ああ、我らも賛同しよう。」

 マルク辺境伯と前サン侯爵もお墨付きとなる。


「そうと決まれば、ユーグ殿下の側近を増やしつつ、ロベール卿をレオン殿下の元へ異動できるよう手配していきましょう。裏組織の為に…そうと決まれば、ユーグ殿下の側近には、優秀な者を複数人は選ばなければなりませんね。彼の穴を補うのは一人では難しいでしょう。」


 カソンヌ子爵が何処からか名簿を持ち出してきて、もう人材の選出を始める。


「そうだ!年明けには子が誕生するユーグも、そろそろ国王修行をしてもらおう。あっ、宰相、側近は我慢強い奴にしてやってくれよ。知識に執着してはいたが、相手の嫌悪を気にせずマイペースで誰にでも優しいルイと違って、ユーグは昔から努力型で兄弟に劣等感を持っている性格だからな、性根がひん曲がっているのだ。彼には国王に相応しい人格と能力、そして親となるべき自覚をどうにか身に付けてもらわねばなるまい。特に我慢の仕方を身に着けてもらわねば!一度、我が娘の夫となったあの男と会わせてみるのも良いかもしれないな。良いお手本となろう。娘のことを10年以上も待ち続けた男だ。荒れ地に一本だけ堂々とそびえ立つ、巨木のような我慢の男だ。」


 腕を組み王弟は難しそうな顔をして考える。


「公女様の夫というと、キャメル国のレーニュ公爵ですよね。冷酷で、残虐だという者もいれば、優しく、温和だという者もいる二面性の男と聞いていますが、我慢の男と言うのは初耳です。しかしながら、様々な噂が飛び交う中で、彼に対して確実な情報が一つだけあります。それは、大変優秀な人物ということ。特に資産運用と行政の財務についての能力はキャメル国随一だとか。上司としては滅茶滅茶厳しく容赦なく切り捨てるという話もよく耳にしますが、理想の上司だという話も聞く、謎多き人物です。」

 アクセルが知っている情報をそのままを話す。


「やはり、お前は…そっち方面はまるで…まあいいや。アクセル卿、我々貴族は二面性は当たり前だぞ。高い地位の者にはおべっかを使い、自分に対する良い感情を民衆に植え付けるために聖人かのような演技(ふるまい)をする。貴族には当たり前の世界ではないか。我々も同じだ。つまり、私の知っている彼について述べると、レーニュ公爵という人物は、自身の敵とみなす者には冷酷で残虐という前者の扱いを、公爵の信頼を得た者には優しく、温和だという後者の扱いを極端にするというだけの事。敗者の愚痴と勝者の自慢が独り歩きしてしまっただけのこと。噂を鵜呑みにする事は良くないぞ。」

 大公が教えを施すかのように、語る。


「私の息子が危うく、前者の扱いをされかけたというのに、そうさせた張本人のお前が呑気に彼を称える話をするとはな…」

 サン侯爵が王弟に嫌味をぶつける。


 ビリヤード台の球を叩こうと構えていた王弟が打つのを辞めて体を起こす。


「あの時は…えっと…すまなかった。私が伝えていなかったばかりに、君の家族に火の粉が降りかかり大火傷寸前だったな。本当に悪かった。許してくれ~。」

 王弟がサン侯爵に謝るが、両手を広げ、許しを乞う動作をワザとらしく軽い言葉で言い放つ。


「火の粉どころか、大火事寸前であったのだぞ。早くにレーニュ公爵の想い人がお前の娘だと伝えてくれていれば、彼らの耳にロベールとの噂が入らぬよう努めたというのに。お前は本当に酷い男だ。」

 大公を知り尽くしているサン侯爵は、このことで怒りをぶつけることはしなかった。


「ちょとだけ、ほんのちょっとだけね、お前が困ってワタワタする姿が見られたらな~と思ったのだ。なにせ、私の娘だけが恋の成就を逃すのだから、腹の中の怒りがどうしても収まりきらなくて。ちょっとだけ仕返ししてやる!ってね。ちょっとだけ。そこまで強くは願ったわけではないのだ。まさか、レーニュ公爵があそこまでやるとは……ハハッ…はぁ。」


 大きな溜息をついた後に放った彼の球は目当ての玉の横を通り過ぎ、壁へと当たる。

 集中が途切れるくらい、悪かったと思ってはいるようだ。


「いやいや、ダメでしょ。完全に仕返しじゃないか…親として譲れないものはあると何度も言って話し合っただろうに。」

 大公の当てられなかった球を、遠くから当てに来るサン侯爵。


 王弟の娘が、ドSだと評判で、ユーグ殿下にそっくりな性格だと息子から聞かされていて、息子の嫁になるというのを阻止したくなる気持ちが芽生えるのは仕方がなかろう。

 息子も断然拒否であったし。

 息子には昔から好きな娘がいたから…譲れなかった。


 それに何となくだが、昔から強い侍従関係であり、我が家では救世主のような扱いであったフィリップの愛娘だと思うと、よく分からないプレッシャーが押し寄せてきて冷汗が滲むのだ。


 あの娘と対面すると変に緊張してしまう。

 息子の妻となると考えるとフィリップの顔がチラついて、私の心中は穏やかではいられないのだ。

 家族として受け入れ得るのは、精神的にちょっと…そう考えたとは、フィリップには口が裂けても言えないし、墓場まで持っていく秘密さ。


 親友と言ってくれるフィリップに対して罪悪感がある。

 その事をたった今、思い出してしまったので、サン侯爵は大公に反発するのを止めた。


 その後、内心かき乱されたサン侯爵は大きく調子を崩し、ビリヤードは大公が勝利した。




次回、ロベール、命を狙われていた。ニコラス・デ・レーニュ公爵に…


ユーグ殿下とイル公爵令嬢(妃殿下)は、子も産まれ、国王教育も受け、時間をかけて歩み寄り、お互いを認めていきました。のちのち仲良い夫婦となっていくでしょう。

ちなみに、ジャンヌは隣国で、旦那様に大事に愛されラブラブ夫婦となっています。新婚パワー




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