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番外編【Dandy~おじさまの集い~】10

あと残り3話。

お読みくださりありがとうございます。

 ロベール命狙われるの回想終わり後。


「とまあ、さっきも聞いた通り、レーニュ公爵は両極端なのだ。我慢強いが、振り切れると怖い。敵とみなされると命も奪える冷酷な人物という事だ。まあ、外交問題になる前に王家を交えての話し合いが行われて、公女様の初恋を完全に諦めさせて、彼女をレーニュ公爵の元へと嫁がせる事と話が着いたので、ロベールは生き延びることが出来た。でも、その後に、我々は大変だった。それぞれの感情に寄り添い行動を起こさせなければならなかったから、彼らを誘導するのに大変苦労した一件ではあったよ。私達の活躍があったから、ロベール卿の寿命は延び、公女様は気持ちの切り替えができ、スッキリした面持ちで、レーニュ公爵の元へと嫁いでいけたと言う訳なのですよ。めでたしめでたし。」

 側近リストを捲りながら、淡々と昔話のように語るカソンヌ子爵。


「ふぅ、激やばじゃん!?それにしても、俺のユーグ殿下への報告って、そこの作戦のほぉぉぉんの一部だったのね。俺は…そうか。俺はまだ、全然蚊帳の外だったと言う訳なのだな。認められるように頑張らなければならぬな!よーし!やったろう!!」

 アクセルは話がつながったと言った顔をして、ヤル気に満ちている。


 向こうの卓上では別の話が進んでいた。


「しかし、よくわからぬのだが、あれはどうしてああなったのだ?」

 マルク辺境伯が首を傾げて問う。


「あれって?」

 チェスの駒を動かしつつ、前サン侯爵が聞き返す。


「あれってのはだな~。その~薄毛ハッピーデーの事だ。」

 そう言ったマルク辺境伯の頭は見事に綺麗に剥げている。


 説明しよう、薄毛ハッピーデーとは、王様がカツラを被っていた事がバレた日であり、その日に禿をみると良いことがあるぞ~!!との噂が国中で広まり、今では薄毛たちにとって、ワクワクな素敵な記念日となっているのである。

 その日は薄毛が極端に持ち上げられ、崇められ、薄毛イベントが多発するとか。


「ああ、あれですか?国王がピンチに陥った際に私の家族が絞り出した最上級の意識すり替え大作戦ですよ。そういえば、閣下もそうでしたね。その素敵な御頭。」

 サン侯爵が横からクスクスと笑いながら話す。


「オホン。まあな。儂もこの通りなのでな、あれからよく女性に褒められる。気分は悪くないぞ。」

 マルク辺境伯が頭を摩り照れながら話す。


「そうなのじゃよ。前回の記事、ランキングを見たか?大手新聞が主催する薄毛ハッピーデーにちなんだ薄毛セクシー男性コンテストを知っておるか?あれで、50歳以上の部で、エドが一位になったのじゃ。総合でも30代~40代一位の陛下に続いて二位。さすが、我が国の英雄じゃ。」

 前サン侯爵が褒めると、マルク辺境伯は満足げな顔をする。


「そうそう、薄毛は高貴な地位の者に多くてね。彼らの妻があの日以降、夫を堂々と自慢することが出来るようになって嬉しいと、話しているのをよく耳にするようになった。評判は頗るよい。サン家は実に良い仕事をしてくれた。ちなみに私の髪の毛はフサフサなのだがな。」


 ライオンのようにフサフサ髪の大公がワイン片手にサン侯爵を褒める。

 前頭葉禿、だがイケメンの陛下との毛量は大違いだ。


「陛下の頭上はお寂しいというのに…あっ、そうそう、カソンヌ子爵ももうすぐおこぼれもらえそうだよね?」

 唐突にサン侯爵が嬉しそうにカソンヌ子爵を見据えて話し出す。


「へっ?私がですか?」

 カソンヌ子爵が聞き返す。


「あっと、君は自覚がないのか…この話は聞いていないのか…これは30代から40代部門と、50代以上部門と二つに分かれているから、20代は選出されず掲載はされていないのだが…20代の君にかなりの投票数が入っていたそうだよ。君、民衆受けするお店を多数持っているから国民の中ではそこそこ知られているし。あと数年したらランキングに選出されるんじゃないかな。」


 ニコニコして話すサン侯爵が発した言葉の意味に気づき、カソンヌ子爵は頭を軽く摩り、顔を引き攣らせる。


「私は剥げていない、毛が細いのだ!まだ毛はあるぞ!!ブツブツブツブツ…」

 死んだ目をして呟き始めるカソンヌ子爵。


 サン侯爵の話を認めたくないし、これ以上は聞きたくなかったので、止めさせるために声を上ずりながら、カソンヌ子爵は別の話しを始める。


「そ、そう言えばですね、ずっとお聞きしたかったのですよ。あの婚約発表の際のご息女の疾走、あれは演出だったのですか?ええっ、サン侯爵??あのまま逃げていたらならば、私が次の婚約者へと名乗りを上げようと思ったので、あと一歩、扉さえ開けていればと悔しい思いをしたのでよく覚えているのですが、なぜご息女はあの場を逃げだそうとしたのですか!?私の知らない演出でしたか?」


 カソンヌ子爵は言い終えてから不敵に笑う。

 これはサン侯爵には痛手の出来事であると、裏の間で彼の前では持ち出してはいけない話と囁かれていたからだ。

 仕返しを目論みたのだ。


 少しはやり返せたのではと考えるカソンヌ子爵が、ユーグ殿下の側近候補者を選び終えて、見ていた書類を机でトントンと整え家令に渡し、決め顔で侯爵を見つめる。


「子爵もよく知っていたはずなのにな~おかしいな?あれは、計画の狂いから生じた悲劇だったのだよ。君は知っているのに、本当に意地悪だなぁ…」


 悔しそうに顔を歪め、サン侯爵が悲しげに語った。

 悔しそうな顔を引き出せたと、カソンヌ子爵は満足する。








次回はサン侯爵は馬車馬の如く働いた

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