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番外編【Dandy~おじさまの集い~】5

続けて読みくださり、ありがとうございます。

昔を振り返る回です。


 ~サン侯爵回想~ホワワワワーン


「やあ、よく来てくれたね。」

 そう言って出迎えたのは王弟様。

 迎えられたのは、現サン侯爵、当時トロワ子爵であったシモンである。


 今はロベールが寄宿学校へ転入して二年目の春。

 秋には第一王子が寄宿学校を卒業するといった時期であった。


「例の件の報告をしに来た。」

 そう言うと、シモンは執務室のソファーに腰かける。

 向かいに王弟が座り、ロベールから受けた寄宿舎内での第1王子の様子とその対処を、シモンは王弟に伝えた。


 さらに、寄宿学校へ通うご子息の居る貴族への根回しなども報告する。

 これにより、社交界で第一王子は噂の的にはならずに済んでいた。


「流石はシモンの息子だね。ここまで出来るとは思っていなかったよ。うん、これならば第一王子をこのまま陛下の跡継ぎにしても反対派を抑えられる。合格だよ。」

 王弟が報告書をみて嬉しそうに微笑んでいる。


 その時、客人の訪問が家令によって王弟へと告げられた。

 客人の名前を聞き、すぐさま、シモンを隠さねばと思考を巡らせる。

 本棚の不規則に並ぶ本を動かすと、本棚がスライドし、隠し扉が現れる。

 その扉内にシモンを押し込んで、また元通りに本棚を戻した。


 客人を家令が部屋へと通す。

 やって来たのは第一王子ルイと第二王子ユーグであった。

 自分のしていることが彼らにバレてしまったのかと、内心ドキマギしながら王弟は彼らに対応した。


「叔父上、お久しぶりです。」

 堅い挨拶とハグから話が始まる。


「揃ってどうした?何か兄には言えない困りごとか?」

 王弟のこの言葉から、すぐさま王子達の人生相談へと変わった。

 王弟は自分の事はバレていないと、ホッと胸をなでおろす。


 これまでの経緯を2人はダムが崩壊したかの如く話しだした。


 最初のルイが王位継承権を放棄して留学したいという話以外は、王弟が全て把握している内容であった。

 そう、彼の愚行を外部に隠すように王弟が命令し、仕向けているので、彼らの自分たちがたてた作戦が上手くいかないという話を聞きながら、胸をモヤモヤさせる。


 さらに最終計画までも王子らは王弟に話したので、敵でありながら全てを聞いてしまい、立場上、何とも言えない感情となった。


「ほほう、こ、婚約破棄か…うーん、でもこれってうまくいくのか?それに、なんで婚約破棄?もっと権力、武力とか使った強制行動とか、いくらでも大規模に愚かだと見せられる様な手段はあるよね?これだと少し回りくどくないか?」


 王弟は後ろめたさが山ほどあったが、バレぬようにきちんと意見を述べようと対応する。

 あまりにもお遊戯のような陳腐な作戦だったために、つい口に出てしまったと言うところもあった。


「それは…レオンのことがあるから、仕方なく――」

「ちょ、ルイ兄!?それは言ってはダメって。」

 ユーグがルイの発言を止める。

 2人の掛け合いからして、どうやらこれは、王弟には話す予定には無かった秘密の話だったようだ。


 まあ、俺は聞き出すけどね~。


 王弟は威圧感を増して王子らに質問した。


「レオンがなんだって?関係あるなら全て話せ。そうじゃないなら協力はしないぞ。」

 と王弟が強い口調で言うので、渋渋、ユーグが話す。


 なんと、レオンは恋をしているらしい。


 ~回想終了~ホワワワワーン



「あの話を聞いた時はオッたまげたね。ルイがまさかの王室離脱計画を企てていたとは思わなかったし。そんな彼らに私がシモンの息子を使って計画を潰しているなんて言えやしないから、おれはどうしたものかと、彼らの帰宅後に頭抱えた。それにレオンの初恋問題。もうね、私一人では手に負えないと判断して、この会のメンバーを早急に集めたよね。あの日、シモンは裏の者と初めて顔を合わせたんだっけか。初顔合わせなのに、シモンが荒れに荒れて大暴れしたのを覚えている。何とかシモンの説得に成功して、無事にこの計画を進めることが出来たが、あれは奇跡だった。この計画の一番の難関は説得(ここ)だったよな~。」


 大変苦労したのだと、熱がこもった表情と声で王弟は語る。


「あの時は娘の婚約話を急にされたから、一気に血が上ったのだ。冷静に考えれば、私の娘は天使のように可愛いが、ずっと嫁にやらずに家にいさせることの方が問題になると考えられるのに、なにせ突然だったからな。それに、あのクソ婚約計画をすぐに終わらせて、娘の良縁は約束されていたはずだったのに長引いていて腹立っていたし…もう、婚約者のことで、娘に嫌な思いをさせるのは許せなかったのだ。社交界の苦い経験も成長するのには必要と思っていたものの、これ以上、ジャック(あいつ)の時のように娘が傷つくのは見たくなかった。だから、王族との婚約などもってのほかだと、気が引けた。たが、レオン殿下は見込みもあるし、ほかの男たちより遥かに娘を大事に想ってくれるヤツだと分かったから。変な奴の所に嫁ぐよりはと、最終的にレオン殿下ならと、そう判断しただけの事さ。フィリップ(お前)の説得に応じたわけではない。」


 サン侯爵は最後を強く主張した。

 王弟に対しては、いつも結構な塩対応である。


 それでも大公は嬉しそうにニコニコと彼に笑顔を向けている。

 何を思って笑顔なのかは想像にお任せする。




フィリップとサン侯爵はとっても仲良し。

だが、独特なふたりのジャレ愛。

次回、サン侯爵のどす黒い部分が見え隠れ


=人物memo=

ルッツ国第一王子:ルイ(当時18歳) 第二王子:ユーグ(当時17歳) 第三王子:レオン(本編主人公のヒーロー、当時15歳)

ジャック:本編主人公の元婚約者であったヴァンドム伯爵家のバカ息子

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