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番外編【Dandy~おじさまの集い~】3

お読みいただきありがとうございます


 「よし、作戦は全てにおいて成功。皆、見事であった。さあ、今宵は飲み明かそう。」


 大公はワイン入りのグラスを一気に飲み干した。


「これだよ、これっ。さっき、君は聞いたな。なぜ君の家に集まるのかと。理由は三つじゃ。一つは、この屋敷が王都から近い場所にあるということ。二つ目は、このメンバーが密かに集まったとしても情報が一切漏れることの無い、徹底した屋敷の者達への教育が出来ているということ。そして、もう一つの理由、これが重要じゃ!それはこの極上の高級外国産ワイン。君のツテでしか手に入れられない希少で特別な極上のワイン。本当に素晴らしのぅ。」


 そう言って前サン侯爵はワインを美味しそうに一口飲むと、ふと何かを思いだしたのか、すぐさま目線を落とし、テーブルの上を見回す。


「エド、そこのチョッコレートを取ってくれ。」

 マルク辺境伯の横のサイドテーブルの上に載っていたお皿を指さし、前サン侯爵が言う。


 マルク辺境伯が皿の上からソレを一つ持ち上げマジマジと見つめる。

「あ?何だこれは?こんなものを食べるのか?」


「ああ、うまいぞ。チョッコレートと言う菓子じゃ。ワインに合うぞ。息子の嫁(エリィ)が美味しい食べ物を儂に勧めてくれるのじゃ。これはサル公国で流行しているチョッコレートという食べ物なのじゃ、その中でも儂はオランジェットと言うやつが一番好きじゃ。ここには無いから、今度お前の所に持って行ってやる。」


 マルク辺境伯は皿の上にある食べ物がお菓子だと聞き、甘いものは自分はいらないとばかりに皿ごと渡してくる。


「ふーん、サン侯爵夫人と上手くやっているみたいだな。ジョーが楽しそうでなによりだ。」

 マルク辺境伯が煽てるように言う。

 それを聞いたサン侯爵が気をよくしていた。


「さっきの話だが、宰相は暗部組織で何が行われたかも、知らねばならない。ここで話せは直ぐに把握できてしまう。会議も開けて報告も出来る、一石二鳥だろう。だから子爵の家がよいのだ!兎に角、君の屋敷は完璧で最高だってことだ。」

 ミドル組がよく聞け!と言わんばかりにカソンヌ子爵へ言い聞かせる。


 すると、カソンヌ子爵の手に持つ空いたグラスにワインを注ぎ、さらに互いのグラスにも注ぐと、美味しそうに乾杯と掛け声をかけ飲みだした。

 カソンヌ子爵もつられてグラスのワインを飲み干す。


「ったく、現金だな~ワインの為に子爵家の際どい裏外交も妨害しないでいてくれるのは大変有難いのですよ…その他の私事にだって色々と融通してくれていることも、もちろん存じております…ですがね、この為なんですよね!?ええ、ワインの為なのですよね!ええ、ええ、本当に有難い事ですよ。ですがね……それでも私は今、ここで、皆様に言わせてもらいたい!情報の漏洩を防ぐ為に、最小限の者しか雇えない我が家の身にもなってください!!!こちらは大変苦労しているっていうのに、誰も私に優しくない!もっと私に優しくしてくださいよ~知っていますよね、ねぇ、サン侯爵!?暗部をよく知る人物でなければ、集会所になっているうちの嫁さん候補にはなり得ないと、口を揃えてここにいる皆様は言っていますよね!?その暗部をよく知ることとなったサン侯爵令嬢を、私は妻に迎えたかったということも、皆さまは知っておられますよね~はあ、私は一生、結婚出来ないなぁ。どうしたものかなぁ。」


 カソンヌ子爵は酒がよく廻ってきたのか突然グチグチと爆弾を落とす。


 ご主人様はいい感じに酔っ払っていらっしゃるようですが、家令の私も、ご主人様の哀愁匂わす言葉に、強く同調いたします。

 どうか皆さまのお力で、ご主人様に良き縁談をお持ちいただけないかと、私は切々とその場で頭を下げる次第です。


「まあ、それは仕方ないよ~サン侯爵令嬢がレオン殿下と結婚することは作戦の一部だったのだから。その時点で、叶わぬ思いだったのさ。出会うのが遅すぎたってことだから。酒でも飲んで忘れろ。」

 アクセルがカソンヌ子爵の肩を叩き、慰める。


「サン侯爵お披露目の舞踏会、あの日、私は初めて彼女に出会ったのだ。その事実が本当に悔やまれる。トロワ子爵令嬢の時に会う機会は沢山あったのに、婚約の話も一時持ち上がっていた。だが、自分より10以上も若い娘だと聞かされたから、その当時、若かった私は彼女の年齢を聞いて幼過ぎると感じてしまった。今ならばさほど気にしないのだがね。だがその時の私は自身の妻候補には若すぎると排除してしまったのだ。そんな自分が嘆かわしい。その後でも、一度でも会っておくべきだったと自身の判断を見誤っていたことを、これ以上なく後悔しているのだ。あああああ、クソ~。」

 いきなり机に突っ伏し、啜り泣き出した。

 彼は軽い泣き上戸なのかもしれない。


 ああ、少し前に毎晩、枕が濡れておられたのはその所為だったのですね。

 ご主人様、お労しや…想いを寄せた令嬢に失恋されていたとは思い至りませんでした。


「ええ!?俺も、クロエとは10違うんだけどな~まあいいか、あえて言わなくても。あっ、でもレオン殿下と出会う前の侯爵令嬢はヴァンドム伯爵家との婚約が結ばれていたはずだぞ!ほら、やっぱり諦めるしかなかったってことさ。子爵よ、気を落とすな。」


 肩に手をトントンさせてアクセルが再び陽気にそう言うと、


「違う!あれも計画のうちだ。彼女が婚約者となり屋敷に上がり込み隠してある不正の証拠を伯爵家の暖炉の内側から回収させる手はずだった。適任者がトロワ家の令嬢しかいなかった為に、大公が彼女の父、当時のトロワ子爵へ頼み込んで行った計画だった。回収させたらすぐに婚約破棄させ、大公が紹介する優秀な者と良縁を結ぶことが決まっていた。私もその候補の一人であったのだ。だが、愚弄息子が婚約者の彼女を邸宅に呼ばないから計画は行き詰った。協力を受け入れていたトロワ子爵も非道なヴァンドム伯爵の子息に必要以上に娘を接触させたくないと言い出し、無理には行動をしなかった。むしろ嫌われるような身なりにワザとさせ、気を持たれないように誘導していた。まあ、彼はいざとなったら婚約者の父として、自身がヴァンドム伯爵の邸宅に乗り込もうとでも考えていたのだろう。はぁ、あの頃に合っていれば、求婚していればと、本当に悔やむよ~。」


 言い終えるとさらに落ち込み、カソンヌ子爵は分かりやすく肩を落とし泣く。



子爵は酔っ払うとよく喋る、愚痴る、泣く。

次回、大公もぶっちゃける。


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