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番外編【Dandy~おじさまの集い~】1

ここからは番外編となります。

本編の裏側で何が起きていたのか…。

素敵なおじ様たちの秘密の集まりです。


私の名は、ヘクター・ロイド。

カソンヌ子爵家の家令を代々任されている家系に生まれ、幼き頃から家令になるための教育を父より受けてまいりました。


一回りほど年の離れた坊ちゃんを幼き頃より父と共に見守ってまいりました。

 時に、兄弟のいない坊ちゃんは、私を兄貴分のように慕う場面もあり、私にそのような振舞いを望まれることも幾度かありました。

 その際は、大旦那様は目を瞑り、坊ちゃんの望むようにとおっしゃってくださったのです。


 5年ほど前のこと、父が腰の病を患ってしまい、それからは私がカソンヌ子爵家の家令をすべて任されることになりました。


 それからは、侍従関係を崩すことは一切ありません。

 立派な御当主となられた坊ちゃんの為にも、全身全霊で仕える所存なのです。


 おっと、申し訳ありません。

 坊ちゃんと何度も呼んでしまっていたとは、不作法でございましたね。

 我が主は、もう立派な紳士となられておりますゆえ、坊ちゃんではもうありません。

 そう、誰しもがお認めになられる程の優秀な宰相、カソンヌ子爵へと御成りになったのです。


  ***


 今宵、カソンヌ子爵邸では、とある秘密の集会が開かれる。

 そのためにも細心の注意を払い、準備が進められていた。


 秘密厳守という事で、屋敷の者達は最少人数でそれぞれが多くの仕事を掛け持ち、回していく。

 1人1人の仕事量がかなりキツキツな勤務ではあるのだが、カソンヌ子爵家で働く者たちは、主を心から敬愛しているので、主人の為に精一杯働くことは苦にはならず至福の時であった。


 主は、我々が美味しい食べ物につられて、この勤務体制でも屋敷にいつまでも残ってくれていると考えているようだが、そうではないのだ。

 皆、カソンヌ子爵を心よりお慕いしているのです。


 馬車の蹄の音が聞こえてくる。


 ああ、1人目のお客様がお見えになったようです。


「お待ちしておりました、モンフォート公爵閣下。旦那様はいつもの奥の間におります。手が離せないとのことで、私目がお部屋までご案内いたします。」


 こちらは、現王の弟であるモンフォート大公様。

 今宵の秘密の集会を開く組織、王国裏部隊の総長という肩書を持っています。


 5年前、一介の官僚として王宮務めをしていたご主人様が、上司である宰相様に大層気に入られ親しくなり、その際に屋敷に招待したのがきっかけで、この秘密の会がこの屋敷で開かれるようになったのです。


 このような大物たちを迎え入れる日々がこようとは、あの頃の私は想像もしておりませんでした。

 あの日の宰相閣下をお招きする緊張など、野に咲く花の如く可愛いらしいものだったのだと、昔の自分に会えるならばそう笑いながら言ってやりたい。


 モンフォート公爵様は堂々と正面からやってこられますが、これからいらっしゃる方々は、ご内密な方々なので、秘密裏にお迎えしなければなりません。


 闇夜の紛れ、二頭の馬が子爵家の裏手に着く。


 1人は髪が薄く、顎に髭を生やした大柄な男。

 初老の男性だが、その体つきは年齢と比例しない、服の上からも分かるほどの強靭な肉体である。


 彼は、一世代前に起きた戦闘、キャメル国との国境付近の山で生じた金鉱脈争奪戦での英雄として国民に知られている エドガー・ド・マルク辺境伯だ。


 あの戦いでの彼の名言は有名である。


“最後の日を迎えたければ距離を取れ!明日も生きたいのであれば息を合わせよ。我と共に行こう”


 窮地に追い込まれた敵軍を降伏させた慈悲深いお言葉。


 実はこの言葉、自分の近くに居た味方に向けた言葉らしい。

 攻撃するときに少々味方の立ち位置が邪魔に感じたために言い放った一言であったそうだ。

 その後、何故か敵軍が降伏してきたので驚いたとか…。

 この会で暴露話をしているのを聞き、彼への強い憧れは、緩やかに鎮められる事となりました。


 何はともあれ、マルク辺境伯はルッツ国の軍事勢力の要であることは間違いないのです。



 もう一方は、見た目がキラキラとした男前の騎士。

 この会には初参加の御方でありますが、見覚えは大いにあります。


 確か、メイドたちが買って読んでいる貴族のゴシップを扱う新聞にて、殿下の男色疑惑のお相手、王宮近衛騎士一の美男子白馬の君などといった見出しで頻繁に飾り、記事が掲載される御方です。


 あぁ、お名前が…思い出せない。

 急いで確認しなければいけませんね。


 2人は馬を預けると、裏口から屋敷へと入ってきた。


 もうあとお二方、到着予定なのですが、まだ来る気配がありません。

 時間には正確なお二人なので、少しばかり心配ではありますが…まぁ、取り越し苦労となるでしょう。


 私の考え通り、強い通り雨が過ぎさり暫くしてから、その方々は何事もなく静静と屋敷へとやって来た。


「ようやくお出ましか。随分と遅かったな。」


 そう声を掛けたのはモンフォート大公。


 片手に小箱乗せ、到着した人物の方へと箱を差し出す。


「王都手前で突然、天候が悪化したのだ。視界が悪くて馬車が進められなくなってのぉ、少し雨宿りをしてから来たのだ。」

 そう答えたのは初老の男。


 前サン侯爵こと、ジョゼフ・ド・サンである。

 長きにわたり裏部隊諜報隊長の任についていた人物だ。


 しかし、この御方、突然の思いつきで侯爵家に養子を迎え入れ、家督をあっさり譲ってしまったのだとご主人様から聞かされています。

 諜報隊長の座も養子になった方へこの会を最後に譲られるとか…。


 この御方、見た目は温和な老人なのに、大層、頭の回転が速く、何を企んでいるのか底が見えない化け物なのだと、ご主人様は常々おっしゃっておらます。


 大公の持つ小箱の蓋を空け、前侯爵は中から葉巻を1本抜き取った。


 その隣には現サン侯爵がおり、前侯爵がコートを脱ぐのを手伝い、脱ぎ終わると杖を渡し、甲斐甲斐しく世話を焼いている。


 彼がそのサン侯爵家の養子となり、次期裏部隊諜報隊長である御方、 シモン・ド・サン。

 新たなサン侯爵である。


 家令のヘクターがサン侯爵から上着を受け取る。


「ほっほっほ、出来た息子だわい。」

 前侯爵が息子を誇らしげに見つめ満足げに言った。


「ですね。」

 王弟様がニヤニヤした顔をサン侯爵へと向ける。


 向けられたサン侯爵は無表情で無反応だった。



 番外編投稿まで、少し間が空いてしました。

 これから毎日投稿できたらと思っています。

 短い間ですが、またお付き合いいただけると有り難いです。

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