表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/61

お幸せに!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


 

「愛おしいシェリー。私はあなたを心から愛している。片時も離れたくないほどに。あなたしか、私の幸せを満たすことは出来ない。ミシェル・ド・ゴール、どうか、私の命が尽きるまで、我の妻でいてほしい。永遠に、私の傍に。」


 プロポーズであった。


 様々な種類の花で作られた大きな花束から、一輪の花が引き抜かれ、ミシェルの目の前に差し出される。

 赤い色のアネモネだ。

 赤いアネモネの花言葉は、“君を愛す”


「前にシェリーへ送った花束の話を母にしたら、単色にしなかったことを指摘され、こっぴどく叱られた。それから勉強したのだ。私の想いはこれで伝わるかな?」

 少し不安そうにアネモネを差し出すレオン。


 その花を受け取り、ミシェルは目を潤ませてこう言った。

「はい、私にはレオの想いがよりいっそう深く伝わりました。」


 確かに、曖昧な婚約契約を結び、忘れ去られていたプロポーズという贈り物。


 この思いがけない贈り物に、ミシェルは歓喜し、涙を流した。

 瞳から零れ落ちるおおきな粒は止められない。

 それでも表情は満ち足りた笑顔となっている。


 そして、プロポーズの返答は、これ一択。

 ”oui(ウィー)” 


 2人はしばしの間、無言の抱擁を交わした。

 めくるめく、若かりしきの思い出の記憶を巡り、今の言葉を深く噛みしめているに違いない。


 その後、レオンは中央の椅子に座るミシェルの隣へと無理矢理に腰を下ろした。

 二人で座るには少しばかりギュウギュウだがとても幸せそうである。



「はあ~離れたくない。しかし、シェリーのお母上の態度からして、絶対にこれから何かがあるのだろうな。」

「気がついておられましたか?おそらくそうなりましょう。母さまの様子がいつもと違いました。いったい何が起こるやら??」

 ミシェルは困った表情でレオンを見つめる。


「シェリーは困った顔もとても可愛いな~おっと、沼にはまるところだった。そうだな、お母上が2人で居させてくれたという事は、離れるかもしれないという事が考えられる。どうする?今すぐにここから逃げるか?それとも立ち向かうか?」

「やるか、やられるかならば、やっちゃいますか?」


 レオンの心の声が表に出てきていることに少し戸惑いながら、ミシェルは悩み、ミシェルが逃げることがトラウマになったことのあるレオンにそう返事をする。


「フフッ、シェリーありがとう。まあ、何があっても、これだけはやり通すと決めているものが一つある。」

 レオンが力強く言い切る。


「それは何ですか?」

 不思議がるミシェルは再び可愛い。


「それはね、私がシェリーから離れないという事だ。例え、ミシェルの意志で私から離れて行ったとしてもね。私が地の果てまで追いかけて掴めてみせるから。そう、これからも2人はずっとずっと一緒だと言いう事。何があっても逃がさない。もう君を絶対に一人にはしないよ。」


 ちょっぴり怖いけれど、殿下が満面の笑みで答えるので、ミシェルは胸がいっぱいになる。


「なるほど、私が疑いを持たぬよう、一緒に居てくれるということですね。とっても嬉しいです。」

 ミシェルはレオンを見つめて頬を染め、返事をする。

 お似合いの夫婦だ。


 そして2人は、もう一度、静かに見つめ合い、唇を重ねる。


 サン侯爵領へと近づくロベールの乗った馬も、このとろけるような甘い2人の空気を読んで引き返す…ということはしてくれないだろう。

 だが、甘すぎる匂いに困惑し、進む道を間違えたり、速度を少しは落としてくれているに違いない。


 この先この2人の前に、兄’sという強敵たちが立ちはだかったとしても2人で懸命にのりこえていくことだろう。

 2人を引きはがす気満々の兄が到着するまで、あと数時間。


「ミシェル様~!!こちらにロベール様が向かっているとのことでぇえーーーす!!」

 空気を読まない侍女イリスが大きな声でそう伝える。


 その言葉に、船の上の二人は確証を持った。

 ロベールが絡んでいるとは、もしや…。


 船頭に陸へと戻るよう、レオンが急ぎ指示を出す。


 その様子を見て、真剣な顔つきでミシェルは話し掛けた。

「レオ、どうしますか?逃げますか?いや、ここは逃げずにやっちゃいましょうか!!」


 「そうだな……逃げよう!?」

 「えっ?」

 思わぬレオンの発言にミシェルは驚きの声をあげる。


「いつも追う側だから、私が逃げるのも悪くないと思ったのだが、どうだろうか?」

「ええ、いいと思います。兄と私達の鬼ごっこですね!フフフ、楽しみです。そうと決まれば急ぎましょう!イリース、馬車の用意を!!」



 その頃のロベールは盛大にクシャミをしていた。

 果たして、ミシェルたちがサン侯爵領にいるうちに到着できるのか!?

 追いつけるのか??


 引き離されるか離されないか、彼らが対峙した時にタイトル通りに贖うのか。

 2人の行く末は、予測できない。


 しかし、ミシェルとレオンならば、何が起こっても大丈夫であろう。


 どうか末永くお幸せに。


   ---END---



本編はこれにて完結となります。

毎日お付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。


これから、少しだけお休みしたのち、短いですが番外編【Dandy~おじさまの集い~】を、このあとに続いて投稿する予定でいます。

そちらもよろしかったら読んでみてください。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ