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当主の命令

今週もお付き合いいただき、誠にありがとうございました 

 

 王城でのやり取りはまだ続いている。


 大公家に行きたくないロベールがごねていた。

 どうしても行きたくないので、交換の条件を提案している。


 トントン。

 入室許可を求める声がする。


 アクセルだ。

 殿下は許可を出す。


「失礼します。あれ?ロベール殿、こちらに居らしたのですか?」

 入るや否や、ロベールを目にしてアクセルが発した。


「ん?私に用か?」

 ロベールが問うと、

「あっ、いや、用件はユーグ殿下に騎士団長からの書類を届ける事なのだが…実は、ミシェル王子妃に頼まれまして、今朝、それを実施してきたのですよ。その頼まれごとと言うのがですね、クロエに手紙を直接渡すと言うものだったのですが、その際に、クロエがその手紙を読んで、かなり動揺していまして、すぐに公女様にお会いしなければと慌てて出かけていったのです。」

 そこまでアクセルがダラダラと説明していると、イライラした様子でユーグが突っ込んだ。


「それでなんで、ロベールがここに居たのかの質問に繋がるのだ?」

 殿下の横槍に、アクセルは少し考え慌てて続きを話す。


「それはですね、手紙の内容がですね。どうやら、ロベール殿の大事な人をミシェル妃がロベール殿の元へ連れて行くという内容であったようで、ミシェル妃はロベール殿の家族だから、公女様の協力は出来ないと。公女様を慰めることは出来ないので、その役目をクロエに任せるといったものでしたので。てっきりロベール殿はそちらへ向かわれているのかと考えていたものですから、ここに居てよいのか?と驚いたと言う訳で…」


 アクセルの話の途中で、

「そ、それは誠か!?」

 と、アクセルの肩を強く掴み、前後に激しく揺らしながらロベールが聞く。


「は、はひぃ~マコトデツ。」

 首を強請られ脳が揺れ意識があやふやなアクセルが言い終えないうちに、扉の方へロベールは走った。


「ロベール!!」

 呼び止めるユーグ。


 停まって振り返り、ロベールは言う。

「ユーグ殿下、僕はこれより、しばしのお暇を頂きます。代わりはアクセルをお使いください。騎士団には話を通しておきます。それではこれで、失礼いたします。」


 そうユーグに伝えると、ドアを大きく開く。

 勢いあまって、全開となる。


「シャトン、聞いていたなら動け。馬を用意だ!!すぐに出発する。」

 そう誰も居ない通路に向かってロベールは言い放つ。


「御意!」

 と、何者かの声がしたと同時に通路の奥に小さな人影が走り去るのが見えた。


「あれって、ずっと誰かが話を聞いていたという事ですよね?ユーグ殿下は気がついておられましたか?」

 アクセルが首を抑えて、険しい表情で問う。


「いや、私には察知できなかった。やはり…アイツは絶対に手放せないな。敵に回ったなら怖すぎる相手だ。」

 と、全開であったドアが音を立てて閉まると同時に、ユーグはロベールをずっと傍に置こうと決意した。


 そして、心の中で誓う。

 これからは、ロベールをあまり怒らせないようにしようっと。


  ***


 一方、バーテン辺境伯領では、ガブリエルの兄ジャンが、妹を抱きしめ、激励していた。


「ロベールは優秀だが、少し頼りないところもあるから、不安でもある。ガビ、もし何かあったならば、すぐに私に相談しなさい。私がロベールを叱責しに行くから。」


 その言葉にガブリエルは笑う。

「兄さんも知っているでしょう。ロベールは賢いし、とても優しくて思いやりのある人よ。私は幸せになれるわ。それに、彼、見かけによらずとてもロマンチストだし、力持ちよ。フフッ、それにとっても可愛いらしいの。」

 何だかんだで、ガブリエルと兄はよい関係であると伺える。


「それでは行きましょう。兄さんが待ちくたびれたと文句を言いながら、こちらへ来てしまうかもしれませんから。」

 ミシェルがそう言うと、ジョークに聞こえないとジャンから突っ込まれる。


 レオン、ミシェル、ガブリエルは馬車に乗り込んだ。


 時々馬車内でイチャつくレオンとミシェルに、ガブリエルが照れる場面もあったが、日が落ちる前には今夜泊まる高級宿に到着することができた。

 それぞれが各々の部屋で体を休める。


 翌日、宿を出ると、兄の密偵がミシェルの前に現れた。

 人のいる場所で姿を見せたので、ミシェルは兄に何かあったなと感づき、即座に話を聞く。


「シャトン、何かあったの?」

 いきなり目の前に現れた怪しげな男に、ミシェルが疑うこともなく軽い口調で話し掛けたので、レオンは口を半開きにし、驚いている。


「主からの託けです。バーテン辺境伯令嬢をレイバックまでお連れするようにとの命を受けてまいりました。」

 レイバックはバーテン領からサン侯爵領までの基本ルートでは通らない領地にある大きな街のことで、王都からサン侯爵領に向かう途中であるので、合流するにはそこが最適地であった。


 兄さんもすぐに伝言を聞いて動いてくれたようで良かったと、ホッとする。


「そう…だが断る!!ガブリエルはサン侯爵領へ私達が責任を持って連れて行く。分かったならば、シャトンはこれ以上は何もせず、王都へ帰りなさい。兄さんも用が済めば王城へ向かうはず。これは、サン侯爵である我が父の命よ。全ては、兄さんが不甲斐ないせいで招いてしまった事だから仕方がないの。シャトン、分かるわよね。あなたの主は誰かしら?」

 と、悲しい表情で密偵へ伝えた。


 本来の主であるサン侯爵の命と聞いては、シャトンも帰るしかない。

 何もしていないが、大人しく、引き返していった。



それぞれの思惑で動いている様子

また来週です


=人物Memo=

アクセル:ユーグの近衛騎士

シャトンについては、番外編のDandy~おやじたちの集い~で…。

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