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ジャンヌのセンス

お読みくださり、ありがとうございます


「レオン…相変わらず、年下の癖に生意気ね。顔くらい余裕で出すわよ。ほ~ら、よく見せてあげるわ、私って世界一美しいでしょう?オホホホホホ。」

 ジャンヌは喧嘩をサクッと買った。


「誰が世界一だって?冗談は寝て言え。そんなことより、お前、あの商会で出くわした時に、私が婚約者にハンカチを選んでいるのを近くで見ておいて、何も言わなかっただろう?何故だ?女性にハンカチを渡す意味を知っていて教えなかったよな!?あれか、俺が言った事への腹いせか?そんなに私に指摘されたことがショックだったのか?私は事実を述べたまで、むしろ善意として有難く受け止めるべきだろう。」

レオンはどこまでも強気だ。


「はぁ?やっぱり年下の癖にムカつくわね。今さら何よ!?店で右往左往しているあなたを見かねて私が親切に女性の感性からアドバイスをしてやると声を掛けてやったのに、必要ないと突っぱねたのはあなたじゃない!!しかも、私の趣味は昔から酷いから絶対に口出すなと余計な一言を加えて。正直、拗れて落ち込んで行く様がいい気味だったわ。あっ、でも、ミシェルを傷付けてしまった事は悪いと思っているから、ミシェルには謝るわ。ミシェル、ごめんね。」

 申し訳なさそうにジャンヌが謝ってくる。


 確かに、趣味が悪いと公共の場で言われたら、怒りたくもなるだろうと少しだけジャンヌに同情する。

 だが、拗れたのは彼女の助言がなかった所為という事実もあるのかと思うと、複雑な気持ちにもなる。

 知りたくなかった事実。


「でもさ、ほら、皆も見てくれよ。今日の服装。このド派手なドレスだよ。今日の主役は君じゃないだろう?なんでそんな恰好しているのだ。母上もそう思うでしょう?」


 突然、レオンから話を振られた王妃が一瞬驚きの表情となる。

 だが、瞬時にまた王族スマイルを作る。

 そのまま数秒、沈黙ののち、語り出す。


「ホホホ、今日はユーグの婚約者が発表されたから、これまでユーグの婚約者と世間に思われてきたジャンヌには、ようやく噂から解放されて、自分を堂々とアピールする機会が巡ってきたの。今日は素敵なドレスを着てどんどん目立たなきゃいけないわよね。そのドレスは……うん、ジャンヌにとても似合っていて素敵だと思うわ。それって、名のあるデザイナーの作品よね?芸術的な物だわ。えっと、どなたの作品だったかしら?」

 王妃は巧く交わした。


 話し終え、視線が王妃からジャンヌのドレスへと逸れると、王妃はレオンに真顔で鋭い視線を送ってくる。

 こっちにそんな話を振ってくるなよ!!と、目で強く語ってくる。


「そうですよねぇ!私はこの舞踏会に懸けているのです。兎に角、あの人に私の事を見て意識してもらえるように、私の一番のお気に入りのこの情熱的なドレスを着てきたの。このドレスのデザイナーは、何たらかんたらで~」


 ジャンヌは嬉しそうに、王妃の言葉を受け取った。

このドレスは、ここのスパンコールの装飾が、この不死鳥の刺繍が凄いのだと指さしてこのドレスを作成したデザイナーの如く王妃へ熱弁をし始める。


「それならば、大成功だと思うわ。私、そのドレスを見て、てっきりジャンヌがレオン殿下の婚約者ではと勘違いしましたから。それくらい誰よりも目を引くお衣装でした。想いを寄せる御方にも、きっとジャンヌの想いは届いているでしょう。」


 困惑の表情を滲ませた王妃にミシェルは気が付き。

 ジャンヌの熱弁に耐えている王妃へと、ミシェルが助け船を出した。


 すると、背後から悔しさが溢れた声がする。


「はあ、僕がもっと早くにミシェルの誤解に気づいていれば。ミシェルが嫌な思いをせずに済んだのに、不甲斐ない兄でごめんよ、ミシェル。」

 凹みに凹んだロベールだった。


「ロベール様!!」

 ジャンヌの声がワントーン上がる。


 それを目撃した王族は確信した。

 ジャンヌの想い人はコイツだ!?と。


「兄さん、誤解って?」

 ロベールの言葉にミシェルは首を傾げる。


「実は、王都の社交界で広がっている噂を侯爵家は早い段階から知っていたのだ。宮廷舞踏会の婚約発表までに余計なことをミシェルに聞かせ不安にさせないようにと、敢えて情報が耳に入らないようにしていたのだ。けれど、流石と言うべきか。あんなに注視したのにミシェルの耳には届いてしまっていた。侍女のイリスに話を聞くまで誰も気が付けなかった。不安にさせてごめんよ。」

妹思いの優しい兄の言葉に、胸がいっぱいになる。


「噂って?」

 コソッとジャンヌが聞く。


「うぅ…言葉にしたくないが…私とお前が婚約したって噂だ。」

 もの凄く嫌そうに吐き捨てる。


「は?ユーグとの婚約話も虫唾が走ったけれど、同じくらい不快な噂ね。私とレオン…ハハハハハッ、カラ笑いしか出てこない。」

 衝撃だったのか、思わず声がでかくなる。


「私も聞いた時は耳を疑ったよ。そんな醜聞を広めた奴は探し出して闇へと消し去りたいほどに腹が立つ。お粗末な作り話だ。」

 無表情でレオンが続く。


「はー、なぜ私の噂される相手はロベール様ではないのだろうか…彼のように素敵な人であったならば自ら進んで婚約者だと風潮して回るのに、ねぇ、ミシェルも、そう思うでしょう?従兄弟の中ならば、ルイが一番まともだったのに、噂になるなら彼の方がまだよかったわ。王位継承権もこのままでは不安に思うし、もう一度伯父さまによく考え直すよう助言するべきではなくて?こいつらよりも、私の方が断然ましだから!!」

 自分との噂を醜聞と言われ、カチンときていたので、嫌味いっぱいにジャンヌが言い返す。


 返答に困り、ミシェルは苦笑している。


 ミシェルを巻き込んだので、レオンが好戦的にジャンヌに言い返そうとしたが、別の方向からの横槍が入った。



王族は好戦的。

というより、似た者同士の集まりのようで些細な言い合いが絶えない。

磁石のS極ばかりの集まり。

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