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反省しています

今週もよろしくお願いします


「兄上、何か御用ですか?また、嫌がらせですか?私の婚約者にシェリーがなると決まってからの執拗な嫌がらせの数々、それも父上とダブル攻撃でね。もうそろそろ、私の堪忍袋の緒が切れそうなのですよ。」


 ユーグ殿下のもとへやって来て、笑顔だが目がいっさい笑っていないレオンが粛々と述べた。


「ゔっ…レオンがサン侯爵令嬢と楽しそうに踊り続けている間に、我々は招待客の対応に追われていたのだぞ。大変だったのだぞ。だから…それで許してくれ。そそそそうだ!?母上がサン侯爵令嬢と話したがっていたぞ。突然お前たちが消えてしまったと言うから、私がアクセルを呼びに行かせたのだ。優しいだろう?私は気が利いているだろう?さあ、父上のところに母上もいるから、サッサとそっちへ向かいなさい。」

 ユーグ殿下は額に大量に汗を掻きながら話す。


 ユーグ殿下は、いつものように弟が婚約者と消えたことに気が付き、小さな意地悪をしてやろうと嫌がらせでアクセルを向かわせただけであったのだった。

 だが、弟の本気の怒り具合に、これはマズいと尻込みし、怒りの矛先を父親に向かうように仕向け誤魔化した。


 “両陛下がサン侯爵令嬢と話したいと言っていたのは本当だもんね~、ふぅ~これでいいのだ~”

 と、心の声が聞こえてきそうな表情で惚けている。


 笑っていない目のレオンは兄をじっと見続けている。

 怒り具合が、相当なようだ。


「ハッ、そうですか、今は一先ず、兄上への怒りは治めましょう。それでは、陛下の元へ向かいますので失礼。」

 感情のないレオンの言葉に、ユーグは激しく首を縦に振る。

 心の中でヤベー滅茶苦茶怒らしちゃっている~ヤバいから早く父のもとへ行け!と、焦っているに違いない。


 その横で、ミシェルとイル公爵令嬢は挨拶の言葉を交わし、ただニコニコとしていた。

 この兄弟げんかに関ってはいけない…口を出すのも、目も合わせるのも得策ではない。

 両者の心の総意はすでになされていた。

 気配を殺す。


 ユーグと話を終えたレオンは足早に移動を始める。

 もちろんミシェルを引き連れて。

 

 目まぐるしい状況に、ミシェルは少し離れて休憩したいなと思うのだが、言いだしづらい状況でレオンにより強引に連れ回される。

 心の中で、イル公爵令嬢へと助け船を要求する合図を送ってみたのだが、彼女もミシェルを悲しそな表情で見返し、首を横に振り、救済不可能だと断られた。

 そっと優しい眼で、扇子をパタパタされて見送られた。


 気が付けば、すでに両陛下のもとへとミシェルは連れて来られていた。

 レオンのただならぬ雰囲気に両陛下が顔を見合せ、アイコンタクトをする。


「レ、レオン?どうしたのだ??」

 戸惑いながら、国王陛下が投げかける。


「私はもうずっと何十日もの間、働き詰めで理不尽に忙しかったのですよ。婚約者に婚約は嘘であったと疑いを持たれてしまうくらいにね。そして、やっとの想いで会えた婚約者との時間が奪われようとしている。私は、今、ギリギリの所で耐えているのです。ここへは、兄上から聞いてやってきました。陛下、いったいこの私に、何の御用があるのでしょうか??まさか、くだらない用事で私を呼び出したりはしていませんよね??」

 両陛下は戸惑っている。

 この年まで両親に歯向かったことのなかった末っ子が、これまでにないと言っても過言ではないくらいの怒りを表に出し、抗議の姿勢を見せている。


「あ…いや…その…」

 国王が口籠っている。


 この瞬間、国王は反省する。


 第一王子の突然の王家からの離脱に、国王は心を痛めた。

 自分に少しでも相談してくれていたらと何も知らされなかった父親として、あの時は酷く傷ついていたのだ。

 ブロッコリーも喉に通らないくらいに…。

 そして、第一王子の代わりに父の負担を減らせればと、手伝いを申し出てくれた第三王子に国王は心底甘えてしまった。


 三月前に想い人がようやく婚約を承諾してくれたのだと嬉しそうに報告してきた可愛い末っ子のレオン。

 毎日が楽しそうで、嬉しそうにしていてとても羨ましかった。

 だから、傷心の陛下は彼をちょっとだけ妬み、つい第一王子が今までやっていた分の仕事を彼に押し付けて嫌がらせをしてしまった。


 だがしかし、それが思いのほかうまくいった。

 レオンが優秀であったのでよい成果を齎したのだ。

 そして、調子に乗って自分の仕事も手伝わせ始めた。


 自分が無気力な時に、自分の代わりにと多くの仕事をこなしてくれる息子に陛下は満足していた。

 まだレオンは王族として未熟であるのに、宮廷舞踏会を取り仕切るような責任や負担の掛かる案件も割り振ってみたのだが、それすらも彼は巧く進行させ、期待に応えてみせたのだ。


 それにより、陛下は王妃と会える機会が増え、気力もドーンと取り戻し、今までよりも自分の時間を持つことが出来るようになり、以前よりも良くなるくらい心も体も健康になっていた。


 一方、働きっぱなしのレオンはその逆となっていったようだ…と、今さら悟る。

 酷い罪悪感が湧く。


 そして、レオンの怒りは、自分がしてきた行いの末路なのだと受け止めた。


 彼は全ての事に完璧に対応して見せたが、限界を迎えているようだ。

 彼を追い込んでしまったのは、自分であると、国王は深く反省したのだった。



今週は王族ハプニング編

この国の王族って…

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