キスまであと…
今週もお付き合いいただき、ありがとうございました。
レオンはミシェルの手を引き、ダンスフロアを抜け出した。
次に2人と踊ろうとしていた者達を押しのけて、レオンは勢いよくバルコニーまでミシェルの手を引きやって来た。
バルコニーの開いた扉の裏へミシェルを連れて来ると、大きな腕で抱きしめた。
「レオ??」
抱き着いたまま黙っているレオンにミシェルが戸惑っている。
「ここならば一目がないから。少しの間、このままで。ずっと、君の事を抱きしめたかったのだ。」
レオンの告白に、ミシェルの心臓はバクバクと音を鳴らす。
久しくしてレオンの体が離れると、ミシェルを見つめ続ける。
どうしていいのか分からず、ただ見返すミシェルの顔に、レオンの顔がゆっくりと近づく。
“も、もしかして、キ、キス!?”
ミシェルが目を閉じて、身構えた瞬間。
「レオン殿下~??レオン殿下、何処ですか~?」
扉の反対側からレオンを呼ぶ声がした。
唇にキスの感触が無いので、ミシェルがそっと目を開けると、愛おしそうに見つめるレオンの顔がすぐそこにあった。
ミシェルは恥ずかしくなり、一気に赤面となる。
口パクで、”邪魔者がいる“とレオンが言っている。
レオンの後ろで悲鳴に近い声が小さく上がる。
「ヒエッ。」
レオンが振り向くと、そこにはあのキラキラ騎士の白馬の君が居た。
「アクセル…お前はいったいどういうつもりだ…」
怒りの低音ボイスでレオンが話し掛ける。
「ぴぁああああー!も、申し訳ございません。邪魔をするつもりは一切なく…まさか、このような場で一国の王子がふしだらな行為をするなんて!?お、お許しをー。」
両手を固く握り、その手を額に強く押し当て許しを乞うている。
「いや、まだだぞ。まだ何もしていない…くそ腹が立つな…それで、何でお前はここに来た?」
確かに王子の立場でこの場はよくなかったと反省し、レオンは冷静をとり戻す。
「ユーグ殿下が探して連れて来るようにとのことです。」
「ギリッ……そうか。」
アクセルの言葉に、また兄上が邪魔をする気だ、うんざりだと言う表情をレオンは奥歯を噛み閉め浮かべている。
「あの、よろしかったら、殿下が不在の間、俺がサン侯爵令嬢のお相手を務めましょうか?」
ニコニコとミシェルへアクセルが笑いかけてくる。
流石はキラキラ美男子である顔面圧が強い。
カッと、目を見開き、レオンが吠えた。
「ダメに決まっているだろう!?私は知っているのだぞ。お前がサン侯爵の舞踏会で、シェリーと3曲も踊ったことを…まだ許しておらんぞ。」
「あれはユーグ殿下の指示でしたから、お許しを。もちろん、警護目的ですよ。」
「でも、3曲だぞ。3曲も踊らなくていいだろう!!しかも、その所為でお前を好む変人団体から、シェリーは嫌がらせを受けたとの報告が上がっているのだぞ。」
「そ、そうなのですか!?でも、私もあの者達の扱いには大変苦労しているのですよ。」
「フン。お前がシェリーに近づかなければいい話なのに何を言うか。そうだ、お前、剣は持っているな。」
「もちろん。ここに。」
腰に下げた剣をトントンと指で叩く。
「それ、その長さ三つ、四ついや五つ分だ。五つ分はシェリーから離れろ。ほら早く、ほら。」
「あっ、はい。」
長さを確認しつつ、距離を取った。
「よし、これからは、その距離だ。シェリーと話す時は、その距離で話せ。破ったならば分かっているな。」
そう話すレオンの表情を見て、アクセルは唾を飲み込む。
「兄上はお前に白馬をやったが、私は生きたまま血抜きし首をくくった黒鳥をお前の家へと贈りつけることになる。きっと美味だろうな。」
そう言いきったレオンを見つめ、アクセルは震えた。
「言っておくが、シェリーが私の側を離れることは断じてない!!さあ、シェリー共に行こう。」
レオンはミシェルの腰に手を回し、優雅に進む。
バルコニーには震えるアクセルがポツンと残された。
いちゃいちゃは一先ず終了。
また来週です。
=人物Memo=
アクセル:王宮騎士団長の三男、ユーグ殿下の近衛騎士。キラキライケメン。通称白馬の君。




