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婚約者を紹介します

今週もよろしくお願いします


 そして遂に、この時が来る。


「では、次だ。王子の婚約者が決まった。婚約者となるご令嬢を、皆に紹介しよう。」

 陛下がそう言うと、貴族たちは騒めきたつ。


「陛下、どうかここからは、私に話をさせてください。」

 ユーグ殿下が王様に許可を求める。

 陛下が良いと頷くと、ユーグ殿下が一歩前に出て話し出す。


「この度、私にも、春が訪れ、婚約者を迎える運びなった。ロザリア、さあこちらへ。」

 そう言うと、上の階から階段を降り、令嬢が姿を現す。


「ロザリア・フォン・イル公爵令嬢が私の婚約者だ。」

 ユーグ殿下は、すぐ横に来たロザリアの腰に手を回し、スマートにエスコートし紹介した。

 お似合いの二人に会場中から、盛大な拍手が沸き上がる。


 それに対して、ミシェルの横に居るジャンヌは満面の笑みを浮かべ、密かに“よっしゃ”と、声を漏らしていた。


 場の盛り上がりが一旦治まると、ミシェルの鼓動が跳ねあがる。


 一瞬の静けさが場内を走った隙に、

「では、次に私が。」

 と言い放ち、一歩前に出たのがレオンであったからだ。


 これは…ついに始まる!?


 ミシェルではなく、自分の横に居るジャンヌを婚約者と指名して手を取り、嬉しそうに笑い合う2人を目の前で見せられる…そんな場面が脳裏に過る。

 先程のユーグ殿下とイル公爵令嬢のような輝かしい光景を、2人がするのをただ眺める惨めな自分の姿が思い浮かぶ。


 その後の自分の感情をコントロール出来るのか?

 その場で泣き崩れやしないか??

 ここに居て大丈夫なのか?


 心臓が、今までにないくらいの速さで動いているのを感じる。


 レオンが会場内を見渡し始める。

 貴族たちがその行動に注目し、婚約者を探していると気づく、いったい誰なのかと固唾を飲み、見守っている。


 レオンはミシェル達が居る方向で目を止めると、嬉しそうに顔を崩し柔らかく微笑んだ。


 自分の横にはジャンヌがいるのだ、きっと彼女を見つけたのだろう。

 ミシェルの顔が最高潮に強張る。


 これは、公開処刑と同じだ…自分はこの事実に堪えられるのか?

 答えは否である。

 これ以上、ここに立っていることは、自分には耐えられない!!!


 そう考えた時に、イリスの言葉が浮かぶ。


“一緒に逃げましょう!”


 公開婚約破棄はなかったけれど、今すぐに帰りたいと思ったのだから、ここから逃げてもいいよね!?

 ね、いいんだよね?

 そうだよ、逃げちゃえばいい!?


 ラブラブな2人をこのままこの国で呑気に見守っていくなんて、私には絶対に堪えられない。

 嫌でも情報が集まってくるサン侯爵家の令嬢になったのだから、嫌でもあの二人の話を耳にするだろう。


 初恋でこの結末は、辛すぎる~。


 そうよ、今から私だけでも亡命すればいいのだわ。

 彼らの居ない隣国にでもひとまず逃げよう。

 第一王子も国外へとまんまと逃げられたのだから、凡人な令嬢一人くらい容易いはずよ。


  そうと決まれば急げ。

 イリスの待つ馬車乗り場まで、ノンストップで行くしかない!!!


 よ~し、逃げよう!!!


 ミシェルは、正式な出入り口に繋がる階段は、王家により塞がれているので、後方にある別の出入り口方面へと向かう。

 正面から向きを変えると、あっという間に人々の間をすり抜けて、突き進んだ。


 その瞬間、

「え!?ちょっと。」

 レオンが前へ手を伸ばし、驚きの表情で大きく声を発する。


 皆がレオンの声に反応し、彼の目線の先を追いかける。

 そこには、1人の令嬢が慌ただしく会場を移動している姿があった。


「逃げちゃダメだーー!!!!!」


 そうレオンが大声で叫ぶと、階段の中二階から急いで走り出す。

 階段をあっという間に下り、後を追った。




=人物おさらい=

ミシェル:主人公

レオン:第三王子、ミシェルに求婚したのに

ユーグ:第二王子

イル公爵令嬢:第二王子の婚約者(元第一王子の婚約者)

ジャンヌ:王弟の娘、レオンとの噂が

イリス:ミシェルの専属侍女




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