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青天の霹靂

今週もよろしくお願いします。


 伯爵令嬢が声を掛けてきた。


 彼女の事を知らないミシェルにクロエが耳打ちし教える。


 彼女はクロエの家の領地のお隣さんでヴェルベルク伯爵家の令嬢だ。

 昔からの知り合いらしいのだが、仲は良くないと言い切る。

 理由は目の敵にされているからだとかで。


 クロエの話だと、ヴァルベルク伯爵令嬢は、ある男の熱狂的な信者(ストーカー)で、彼に関わった女性をその場で潰して歩くほど、のめり込んでいる激昂型モンスターとのこと。

 この後すぐにこのことを思い知ることとなる。



「厄介だから関わらない方がいい。」

 と、クロエはアドバイスしたが、関わらないのは無理であろう。

 だってもうすでに絡まれているのだから…。


 ある男とは誰なのかと聞くと、王宮騎士団長の子息だとクロエは答えた。


「え?でも、先程踊った騎士団長の息子(カレ)は妻子持ちだったわよ。」

 そう返すと、

「彼ではなくて、さっきミシェルへ踊りを申し込んでいた三男の方よ。無駄にキラキラした顔だけはイイ男が誘いにきていたでしょう?」

 クロエが苦虫を食い潰したような顔をし、その男を褒めている。


 あっ、さっき断った無駄にキラキラしていた男のことか…。

 ミシェルが思い出した瞬間、

「そろそろ話をしてもよろしいかしら?」

 と、ヴァルベルク伯爵令嬢が静かにキレながら言った。


 どうぞと素っ気なくクロエが答えると、ヴァルベルク伯爵令嬢は顔を赤くしてすごい勢いで話しだした。


「ナヴァル男爵令嬢、あなたはいったいどういうおつもりですの!?あれほど、白馬の君へは近づかないでと忠告いたしましたのに!!」


 白馬の君とは??とミシェルが考えていると、横にいるクロエが察して、さっきのキラキラ男の事だと教えてくれた。


 後に兄から聞いた話だと、白馬の君と呼ばれる男は騎士団長の三男で、名はアクセルと言うようだ。

 ユーグ殿下の近衛騎士団に所属しているのだそうで、白馬は何かの手柄を立てた時に、ユーグ殿下から自馬を褒美としてもらったらしいとのことだった。

 そこから白馬の君と、彼を好きな令嬢たちの間で呼ばれているとのこと。

 ちなみに、白馬の君を見守る会、通称白馬会なるものが存在するらしい。


「ちょっと聞いていますの?」

 度重なるスルーに、ヴァルベルク伯爵令嬢が小刻みに震えるほど、おかんむりだ。


「ええ、聞いておりますが…私からは白馬の君とやらには近づいておりません。あやつが勝手に近寄ってくるだけですので間違えないでください。昔馴染みなので話し掛けやすいのでしょう。」

 面倒そうにクロエは返答する。


 元々クロエは眼力が強く今は座ったままなので下から覗き込むような体制なので、険しい表情になると迫力が出てしまう。

 さらに会話での言葉が足りず、話し方がぶっきらぼうになっている。

 これは誤解を招きそうだと、ミシェルは横でハラハラしていた。


「勝手に寄ってくるですってぇえーーー!?」

 案の定、ヴァルベルク伯爵令嬢は誤解し、激昂した。


 今にも掴みかかりそうなくらい怒りに満ちていたので、ミシェルは急いで間に入る。


「まあまあまあ、ヴァルベルク伯爵令嬢、落ち着いてください。ナヴァル男爵令嬢は、白馬の君のことを昔馴染みの間柄としか認識しておりません。それ以上の感情は持ち合わせていないと思われます。白馬の君に彼女は無害ということですよ。」

 そう言ってクロエを見ると、ヴァルベルク伯爵令嬢の気迫に驚いたようすで、ミシェルの言葉に強く頷いている。


 それでもまだ、ヴァルベルク伯爵令嬢は怒りが収まらないらしく、悪態をつく。


「はっ!?昔馴染みだからって、毎度、舞踏会で会うたびに親しく話し、踊るのはおかしいですわ。パートナーとして出席することもあるじゃないの。あなたが白馬の君を狙っているのは明白なのよ!!」


「それは違う。あいつ、舞踏会で多くの令嬢に話し掛けられ、ダンスを誘われるから、断るのが面倒だからと、私を利用しているのよ。私は、無理矢理ダンスに付き合わされているだけ。パートナーはあいつの兄に頼まれるから仕方なくやっているのよ。私があいつを狙っているなんて有り得ない。その誤解は腹が立つ。」

 またあの険しい表情をしてしまうクロエ。

 険悪な雰囲気が増す。


「白馬の君が誘われることが面倒だからとあなたを利用しているですって?あの御方は、そんな非紳士的な御方ではないわ。皆に優しく、平等で、繊細なお人よ。白馬の君を愛でる会の者達は皆、彼が素晴らしい紳士だと認識しているわ。あなたが嘘をついているのは明白なのよ。なんて、悪女!やはり、一緒に居るあの女の影響なのかしら?類は友を呼ぶと言いますものね。」

 ヴァルベルク伯爵令嬢はこれでもかと嫌味な言い方でクロエを攻撃した。

 一緒に居るあの女とはいったい誰のことなのか?


「何が言いたいのか分からないわ。ハッキリ言ってください。」

 キレ気味にクロエが言うと、ヴァルベルク伯爵令嬢は口角を上げてこう言った。


「あら、あなた。あの人の腰巾着をしているのに知らないの?モンフォート大公令嬢の事ですわ。あの方、ユーグ殿下の妃候補から外されたばかりなのに、すぐにレオン殿下へ乗り換えたそうですわ。大公家も巧いことやるわよね。第二王子がダメなら第三王子だなんて、酷く強欲だわ。だから皆、あの者を悪女と皆が噂していてよ。何?その目、でたらめではないわ。ここ最近毎日のようにレオン殿下がモンフォート大公邸へ通っているそうですし、つい先日、2人が宝飾店でデートする現場を見た者もいるの。すでにレオン殿下が骨抜きにされて指輪を贈り、プロポーズを済ませていて、婚約者に決まったと言う噂が広まっていますのよ。この噂によりユーグ殿下の王子妃候補から外されたと聞きましたわ。あのようなことがあり、可哀相なイル公爵令嬢もライバルが減り安心したことでしょう。あのアバズレはもう婚約にまで漕ぎつけ、次を押さえたと噂されているもの。友人が悪女ならば、あなたもそうなのではなくて?」


 えっ、婚約した?誰と誰が?

 今、レオとジャンヌが婚約したって言ったよね!?


 青天の霹靂に、ミシェルは放心状態となる。


=人物memo=

ヴァルベルク伯爵令嬢:王宮騎士団長の三男アクセルのストーカー、通称白馬会の自称幹部。思い込みが激しく、激昂しやすい。噂好き。


ちなみに、クロエはジャンヌと知り合った王宮のお茶会にて、騎士団長子息たちと知り合う。

その後、何度か王宮で開かれるお茶会で会うこととなり、仲良くなる。

だが、成長するにつれてアクセルがモテ始め、クロエはアクセルに好意を寄せる者から疎まれるようになったので、アクセルとは距離を置くようになる。

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