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贈り物の意味

続きを読んでくださりありがとうございます


「兄さん?どうしたの?」

 ロベールは額に汗を滲ませており、アチコチ探し回ってくれていたみたいだ。


「どうしたの?ではないだろう。部屋にいないからアチコチ探したよ。あっ、これはすまない。話し中だったようだね。」

 周りの令嬢にロベールは挨拶をし、軽い会話を交わした。


 その後、侯爵のもとへ行こうとミシェルを連れて図書室を出る。

 その去り際に大公令嬢がミシェルに悟られないようにロベールを裾を引っ張り止めて、手招きをした。

 ロベールがそれに気が付き、手招きに従い、耳を傾けるような態勢に体を寄せ傾ける。

 すると、ジャンヌはロベールの耳元を掌で覆い、小さな声で囁くように言った。


「ロベール様、先程は助かりました。ありがとうございます。」


 その直後にミシェルが振り向いたので、慌ててロベールはジャンヌから離れ、ミシェルの方へと駆け寄っていく。


 ミシェルが前に向き直した瞬間、ロベールはジャンヌの方を振り返り、

「どういたしまして。」

 と口パクで返答し、頭をペコっと下げて去っていった。


 それを見たジャンヌはニッコリと微笑むと手を振った。

 その後、ミシェルの横に来た兄が、耳を赤くしているのを目撃し、首を傾げた。

 後方でジャンヌが飛び切りの笑顔で手を振っているのが見えたのと兄の様子に、第六感が働いく。

 面倒事のような気がするので見ていないものとした。


 サロンへ行くと晩餐会はすでに終わっていて、招待客がサン侯爵や両親と会談をしている。

 2人はロラさんに連れられサン侯爵の元へ来ると、皆に紹介された。

 なんとか晩餐会を無事に終えることが出来た。



 その夜、ミシェルは寝付けないでいた。

 それは、図書室でマリーが言った一言が引っかかっていたからだ。


“レオン殿下のもとにも多くの婚約話が寄せられている”


 それは、いつからなのだろうか?

 ミシェルに告白した後の話ってことよね…その頃にはもうすでに婚約話は沢山来ていたのだろうか??


 殿下と手紙を交換しているが、アレ以降、自分とのことも含め、婚約の話は一切してこない。

 もしかして、婚約話がきた令嬢の中に自分よりも素敵な人を見つけたのでは?

 だから話を勧めるのを保留にしているのではないのか?

 自分の事を一目ぼれだと言う王子である…可能性は大いにありうるのでは?と不安が過る。


 いや、こちらに来たばかりの頃に、殿下は宮廷舞踏会に着ていくドレスを、ワザワザ遣いを寄こしてまで聞いて来ていただろう。

 だからきっと、まだ自分の事を想ってくれているに違いない…はずだ…。


 でも、本当にそうだろうか?

 王都を出てから一度しか手紙を貰っていないではないか。

 王都にいた時はミシェルの返事がなくても、毎日のように送りつけてきていたというのに、離れてから変わってしまったようだ。


 それに今回の内容、王子が選んだ自分へ贈るドレスや装飾品について、それから王子の愛馬の話と、庭園にアネモネが沢山咲いていたというもの、ミシェルを想う言葉はない。


 ドレスを贈ると言ってしまった手前、仕方なく報告しているだけなのではないか?

 ミシェルと話をしてみたら、合わないから嫌になってしまったとか?

 宮廷舞踏会に誘ってしまった手前、仕方なくやっているのでは?

 と、様々なネガティブを意地悪な悪魔が耳もとで囁いてくる。


 手紙には、庭園で自分が摘んだと言うアネモネの花束が添えられていた。

 色とりどりの多種にわたる品種のアネモネ。


 アネモネの全般的な花言葉は、“はかない恋” “恋の苦しみ” “見捨てられた”

 もしかしてこれは…花言葉で別れのメッセージを送ってきているではないのか!?


 これで察しろとそう言いたいのかな?

 婚約をなかった事としようとしているのではなかろうか?

 悪魔の囁きは容赦ない。


 ちょっと待って!!勘違いかもしれないから、もう少し慎重に考えようよ。

 ひ弱な天使がオドオドしながら悪魔の発言を否定してくれている。

 だが、弱い。


 あれこれと考えてはジェットコースターのように気分が浮き沈みを繰り返す。

 レオンと離れていて、ミシェルは不安でしかなかった。


 この夜、ミシェルは自覚した。

 自分は恋愛においては、兄や父に引けを取らないくらい、ネガティブ思考になってしまうということに。

 そして、この状況から第三王子であるレオのことをかなり好きになっていると認めざるをえなかった。


 翌朝、悩みすぎて眠れず、目の下に濃い隈を作り、青白い顔をして食堂に現れた娘を見て、両親は驚いた。

 あまりにも酷い顔なので部屋に食事を運ぶから休息するようにと娘を自室へと追い返した。

 その後、知恵熱と言う高熱が出てきて、その日は一日中、ベッドで寝かされ、朦朧とする意識の中、うわ言を口走るミシェルを、メイドが必死に介抱したのであった。


 数日後、手紙のやりとりをしている王子から、こちらに来て二通目の返事が届いた。


 内容は、ドレスがまだ仕上がらないので送ることが出来ないということ、ドレスに合わせる小物を自らが用意したくて、時間を作りわざわざ自分で王都まで足を運び、選びに行ったことが書かれていた。


 小物を選んだ時に一緒に購入したという天使の絵柄の刺繍が施されたハンカチが、手紙と共に贈られてきていた。


 ハンカチを贈る。

 …ハンカチですって!?

 これって、別れの意味を示すはず…。


 その日、ミシェルは、またもやグルグルと思い悩むこととなったのである。



アネモネの花言葉は、単色ではそれぞれ良い意味の言葉ばかりなのに、色が混ざり合った束だと悲しい意味の言葉となるのが不思議です。


恋愛には臆病なミシェル。

ロベールにも恋!?

次回、お披露目パーティー


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