ドレス
誤字報告してくださり、ありがとうございます。
筆者、投稿ギリギリまで書き換えたりしているので、誤字だらけで、ごめんなさい。助かります。
サン侯爵が皆を集めて話す。
「五日後、晩餐会を開く。“王家の耳”を我が家へ招待し、彼らに君達を紹介する。さらにその20日後には、近隣の貴族らを招待し、爵位譲渡と新しい家族のお披露目舞踏会を開く予定じゃ。皆の者、抜かりなく頼むぞ。」
「「「はい。」」」
その場にいた者達の力強い返事と共に、忙しい日々が始まった。
父は侯爵から様々なことを学び、その先を見越してと兄もその後を付いて回っていた。
2人の会話が難し過ぎて理解できない時があるのだと、夜のサロンでチェスをしながら、兄から愚痴を聞かされるようになる。
ミシェルは、ロラさんと母親について行くことにした。
先に屋敷内を一通り廻り、人物の把握と施設の説明を受ける。
その後、馬車に乗り領地に出た。
ロラさんの仕事は、お屋敷の管理に始まり、領地の管理、諜報員の世話、領民との交流など幅広く、かなり多かった。
これをこの年齢まで一人で行っていたなんてと感心していると、
「これら全てを一人で行う事は到底出来ないから、信頼する者に仕事を分け、任せても構わないよ。あとでよい人材を紹介しよう。私の元で働いていてくれている優秀な者達だ。ただし、これらのことは問題が起きぬよう目を光らせておかねばならない最低限のことだから、抜かりないようにね。」
と、真剣な目で語り掛ける。
この仕事の量で最低限なのかとミシェルだったらやりたくなくなるなと気が滅入る。
母は落ち込んでいないだろうかと、ミシェルは母をチラ見する。
母は目をキラキラ輝かせ、ヤル気に満ちていた。
ロラさんに疑問に思うこと全てを聞いているのではないか?と言うくらい、引っ切り無しに質問を投げかけている。
ロラさんもそれに対し、ニコニコと丁寧に答えていた。
大丈夫だ、母はやり遂げるだろう。
ミシェルは確信した。
馬車で屋敷に戻ると、門の前に藍色の隊服を着た騎士が右往左往しているのが見える。
「あれは何だ?」
ロラさんが目を細めて言う。
「王宮近衛騎士団の制服ですね…ロベールを迎えに来たのかしら?」
と、母が険しい形相で騎士を睨みながら話す。
門の前で馬車が停まると、右目の下に傷痕のある騎士が馬車へ駆け寄ってきて声を掛けた。
「ミシェル・ド・サン侯爵令嬢はいらっしゃいますでしょうか?レオン殿下より伝言がございます。」
額からの汗と粗い鼻息が少々気になるところだが、騎士はミシェルにそう言った。
ミシェルは馬車の小窓から顔を出し、返答する。
「居ります。拝聴します。」
「レオン殿下より、お伺いしてくるよう賜りました。宮廷舞踏会でのお召し物の一式を用意させてもらえないだろうかとのことですが、いかがでしょうか?」
脇に付けた両手に拳を握り、腕に強く力の入った姿勢で、大きな声で質問される。
えっ、これって脅されているのではないわよね!?顔が怖いわ。
ミシェルは威圧感に怯え硬直する。
返事に困っていると、背中をツンツンされたので後ろを振り向くと、母とロラさんが受・け・ろと激しくジェスチャーしているので、戸惑いながらもミシェルは騎士へと返事をした。
「あの…はい、是非お願いいたします。」
近衛騎士の顔がお天道様のようにパッと晴れやかになり、
「はい、承りましたぁぁあーー!!!!」
と、喜びの声を張り上げた。
声を上げたと同時に騎士は走り出しており、馬の手綱を引く下男の所までくると馬に颯爽と飛び乗った。
下男が慌てて手綱を離すと、騎士は世話になったとお礼を述べ、走り去っていく。
一瞬の出来事であった。
「どうやら、息子は連れ去られずに済んだみたい。」
「王家からドレスも貰えるみたいだし、良かったわねぇ。」
と、ミシェルの後ろで、可笑しそうに肩を震わせて、母とロラさんが会話していた。
たったあれだけの為に第三王子が遣いをここまで寄こしたということに、ミシェルは困惑した。
「手紙で済むことだよね??」
思わず、本音が出てしまう。
「手紙は届くのが遅いから、直ぐに返答を確認したかったのよ。それほど、あなたにドレスを用意してあげたいって思っているってことよ!ヒューヒュー、ミシェル想われてるぅぅ~このこの~我が娘ながらやるぅぅぅ。」
「フフッ、若いっていいわね~。レオン殿下は熱烈なお人なのね。私が町一番の美人と言われていた頃に、異国の船上で出会ってプロポーズしてきた男を思い出すわね。」
後ろで勝手なことを話し、盛り上がっている。
ミシェルは茶化され恥ずかしくて、顔を真っ赤にし、じっとしていた。
馬車のドアが早く開くことを願いながら。
ロラさんは一度結婚していますが、ある理由から離縁し、サン侯爵家へと戻ってきました。
息子さんが1人いますが、別の家を継いでいます。
今でも息子さんとは仲良しで、孫のことも可愛がっている。
ロラさんの恋愛遍歴話は最高に面白いらしい(エリィ談)
若い頃の私は町一番の美人だったが口癖。どこの町かは分かっていない。




