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【第二章 同胞(はらから)たちの光】
「陸雲様……池の鯉たちが、なにか……言っています」
蓮華が息を呑み、陸雲の衣をぎゅっと握りしめた。
人間となった今も、かつて同じ水の中で生きた同胞たちの「声」が、心の奥底に直接響いているようだった。
鯉たちの声――それは、静かで、温かく、そして力強い願いの旋律。
『……あの子だ』
『あの子が、人の娘となり、報われたのだ』
『目が見えず、不器用で、誰よりも小さかった私達の妹……』
大目玉を輝かせた大きな鯉たちが、次々と水面から躍り出る。
その体の表面から、ぽつり、ぽつりと、蛍の光のような黄金色の粒が剥がれ落ち、空中へと舞い上がっていった。
『私達の命を……』
『私達の光を……』
『健気に生きたあの子に、分け与えよう……!』
「みんな……駄目よ! そんなことをしたら、あなたたちの命が……っ!」
蓮華が叫んだが、鯉たちの舞いは止まらなかった。
無数の光の粒は、夜空へ昇る龍の尾のように渦を巻き、やがてまっすぐに――陸雲に抱かれた蓮華の身体へと降り注いだのである。




