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「好きでもない人にそんなこと言われても
喜べないから。もう少しましなこと言ってください。」
シレッとあたしが言うと
「オレのこと好きじゃなかった?」
と、不思議そうに返された。
「ハイ。」
きっぱり答えると、
「ま、心配すんな。そのうち惚れさせてやるから。」
と、軽く返された。
へこむどころか、この切り返し。
ありえない。
「えらく自信満々・・・」
「当たり前だ。自分に自信持てねーような
情けねーヤツじゃねーからな。」
・・・・・・・・・・・・・
あたしの頭に、『根拠のない自信…』
という言葉が浮かぶ。
パソコン使えなくても?
彼女いなくても?
英語話せなくても?
あたしんちに転がり込むようにやってきて
ごはん食べさせてもらってても?
一体彼は、何にそんなに自信を持っているんでしょう。
考えると、笑える。
菊池さんのセリフだったら、納得できるんだけど。
あの人、何やっても完璧だったもんね。
あたしへの対応を除けば。
「・・・・・・・だろ?返事は?」
ふと意識を部屋に戻す。
何か雄輔さんが言ってたけど聞いてなかった。
「ハイ?」
聞き返したあたしに雄輔さんはニヤッと笑った。
「よっしゃ。返事したな?
じゃ、よろしくな。」
だから聞いてなかったって。何よ一体。
「だからぁ、オレが守ってやるから。離れんなよ。」
よそ事考えてる間に、この人はなにをバカなことを。
さっきからろくなこと考えてないわけね。
「守ってもらうようなやわな人間じゃないから
お断りします。さ、ごはん食べたら帰ってください。」
「そりゃないんじゃねー?夜はこれからだってのに・・・」
「何バカなこと言ってんですか。
義理は果たしましたから。
今日はありがとうございました。じゃぁ。」
そう言ってあたしは玄関のドアを開けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・
次の瞬間、あたしは一瞬固まり、
すぐにドアのカギを閉めた。
「は?やっぱりオレにいて欲しいって?」
そんな軽口に答えられないほど
あたしの顔は青ざめて、手が震える。
「どうかしたのか?」
あたしの様子に、尋常じゃないものを感じ取り
雄輔さんがあたしに歩み寄った。
そしてドアノブに手をかけ、開けようとする彼の手を
あたしは制した。
「開けないで!」
いつからいたのか、廊下の先に立っていたのは
菊池さんだった。




