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さくら堂書店を出て、雄輔さんと晩御飯に出かけた。
誰かと二人で出掛けるなんてホントどんだけぶりだろう。
人を信じなくなったあたしにとって
誰かと二人というのは
耐えがたい空間になってしまっていた。
けど、幸か不幸か、今はそう感じない。
店長が倒れてからというもの
あたしは、目立ってはあれこれ言わないけど
自分がすべき仕事を黙々とこなしていた。
誰かのためというよりは自分のために。
なぜかというと、自分でも不思議なんだけど
そうやって何かに向かって頑張る時の
不思議な高揚感はものすごく心地よく
やる順序を整理し、一つづつこなしていくことに
以前のような喜びを感じていたらしい。
「最近、元気になったよな。
なーんか安心したよ。」
雄輔さんはそう言ってビールを飲み干すと
「そう言えばさ、忘れてるかも知れねーけど・・・」
と、あたしをじっと見つめた。
「何をですか?」
沈黙して見つめられることに耐えられず
あたしは口を開いた。
「付き合おーぜ。」
・・・・・・・・・・・・
「何か知んねーけど、あんたが塞いでたのは
いつぞやのオトコがらみだろ?
もういい加減ふっ切ってもいいんじゃねーか?
せっかく近くにいいオトコがいるんだし。」
そう言ってニヤッと笑う。
自分で言う?そんなこと・・・・・
と思いながら、雄輔さんの顔をまじまじと見てしまった。
ま、自分で言うだけあって、
整った顔してんのは間違いなさそうだけど・・・・
「忙しいのでいいです。遠慮します。別をあたってください。」
一気に答えて、あたしもビールを口にする。
疲れた体に染み込んで行くようだ・・・・
ビールが美味しいと感じるなんて
あたしもおじさん化してんのかしら・・・・
「オレのこと、キライ?」
ちょこっと首をかしげて雄輔さんが聞くので
悪いけどあたしは、思いっきり吹き出してしまった。
「乙女ですか!」
ツボにハマって笑い転げるあたしに
雄輔さんは急に表情を変えて、
「んじゃ、男らしく・・・・
いいから付き合えって。
ぜってー泣かせたりしねーから。」
そう言って、これ以上ない真面目な顔して
あたしの目をじっと見つめた。
不覚にもクラッとしてしまったのは
あたしのせいじゃない。
「片桐さんから邪魔するなって言われてますから。」
精一杯の反論は、フッとほほ笑んだ雄輔さんに
綺麗にスルーされた。
そして、目の前の物をさっさと平らげ
「俺んちで、飲み直す。行くぞ。」
って、立ち上がると
有無を言わせずあたしを店から連れ出した。




