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56話(4.4話)僕と、衝撃の告白。

 翌朝、僕とリアは村のまない…女の子たちに見送られながら、村の裏手に広がる湿った岩山──『魔物の洞窟』へとやってきていた。

 

「う〜、薄暗くて気味が悪いな……。本当にここに魔物がいるのかな?」


「足が遅いですわ。もっとキリキリあるけ、ですわ」


「なんか力が入らないんだよ。昨日いっぱい食べたのにおかしいなあ」

  

 松明(たいまつ)の灯りを頼りに、岩肌のゴツゴツした洞窟の奥へと進んでいく。

 

 僕の後ろを歩くリアは、退屈そうに大欠伸(おおあくび)を噛み殺していた。

 

「ご主人様。……わざわざこんな生臭い穴ぐらに出向くなんて、本当にモノ好きですわね。あの『愛しの彼女たち』と村でイチャイチャしていればよろしかったのでは?」 

「人助けだよ! それに『様子を見るだけ』って約束だからね!? ガチでやばい魔物だったら即逃げるから!」

 

 僕が言った、その瞬間。

 

 ザッ……!!

 

「なっ……!?」

 

 頭上の岩棚から、風を切るような素早い影が飛び掛かってきた!

 

 反射的に身構えようとした僕だったが、相手の動きが速すぎて体が付いていかない!

 

 ドスッ!!

 

「ぐえっ!?」

 

 強烈な投げを食らい、僕は冷たい洞窟の床へと押し倒された。

 

 視界がグラリと揺れ、鋭い刃物の冷たさが僕の喉元に突きつけられた。た、助けてリアーーーっ!!

 

「動くな!動くと命はないぞ!!」

 

 凛とした、だが力強い男の声。

 

 恐る恐る目を開けると、僕を見下ろしていたのは……長めの金髪をなびかせ、透き通るような青い瞳を持った、超絶怒級のイケメンエルフの男だった!

 

 な、なんだこのイケメン!? 映画の主人公か!?

 こんにちはレゴ○ス!

 

「……待て。貴様、人間の男か……? なぜこんなところにいる?」

 

 レゴラ……イケメンエルフは僕の顔をまじまじと見つめると、怪訝そうに眉をひそめた。僕を組み伏せる腕の力は緩めないものの、敵意は少し薄れたようだ。

 

「ぼ、僕は通りすがりの旅人で……! 下の村の女の子たちに頼まれて、ここに住み着いた魔物の様子を見に来たんだよ……!」

 

 僕が必死に弁明すると、イケメンエルフは信じられないものを見るような目で目を見開いた。

 

「なに……? 村の女の子……だと……?」

「は、はい! 宴会で肉をご馳走になって、それから結婚してほしいって言われてて……!」

 

 すると、イケメンエルフは額を押さえ、吐き捨てるように叫んだ。

 

「馬鹿か貴様! あいつらはゴブリンだぞ!!!!」

「………………はい?」

 

 洞窟内に、僕のマヌケな声が響き渡った。

 

「ゴ……ブリン……? え? 誰が……?」

「あの村にいる奴ら全員だ!! 強い幻術を使って人間の姿に見せかけ、通りがかった旅人を騙して捕らえ、食い物(意訳)にしている凶悪なゴブリンの群れだ!! 貴様は幻術にかかっているんだ!!」

 

「う、うそだろ……!? あんなに可愛くて、ピチピチで、僕に『あ〜ん』してくれたまな板たちが……ゴブリン……!?」

 

 脳みそが理解を拒絶する。

 

 あんな天国みたいなパラダイスが、全部ゴブリンパラダイスだったなんて……!

 

 絶望に打ちひしがれる僕の横で、ずっと沈黙を守っていたリアが、びっくりしたような声を出した。

 

「……あれ?ご主人様。……まさか、お気づきになっていらっしゃらなかったのですか?」

 

「え……? リア……?」

 

 僕が顔を上げると、リアは手を腰に当て、小首を傾げるような仕草で僕を見下ろしていた。

 

「私はてっきり、ご主人様が『全身緑色でしわしわの小鬼(ゴブリン)』に抱きつかれてデレデレされるという、業の深い特殊な性癖をお持ちなのだとばかり思っていましたわ」

 

「気づいてたなら教えろよーーーーーっ!!!!(血の叫び)」

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