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45話 僕と急降下。


 地下80階。

 

「あと20階……! 一旦、少し休憩しよう……! ていうかノンストップで階段80階分下りるっておかしくない!? マラソン大会か何かなのか!?」


「しょうがないでござるなぁ」

「助かった…」

「助かったわい…」

  

 僕がその場にへたり込むと、みんなも一斉に休憩モードに入った。


「あれ? そう言えばミントちゃんがいないな……? 足が遅くて後ろから遅れてるのか?」

 

 リアが隣で旨そうに蒸しジャガイモをほおばりながら、……いや、そのジャガイモどこから出した!?

 

「ミントさんなら、この洞窟に入ってすぐ飛び降りましたわ」

 

「なんて?」

 

「『ツ・イテキテ』……とか、意味の分からないことを呟きながら落ちていきましたわ」

 

 僕の額を、冷たい汗がつつーっと伝い落ちる。


「それ、絶対に最初に言わないと駄目なやつだろ!!! 明らかに『ついてきて』だろ!! ミントちゃんが飛び降りたってことは、飛び降りても大丈夫な対策がしてあるってことだろ!!」


 リアがぽん、と手を打った。


「その可能性も、無くはないですわね」


「その可能性しかないだろ!!」


 ルビーさんが胸の谷間から熱々の蒸しジャガイモを取り出し、みんなに配り始めた。……いや、あんたの胸から出てたのかよそれ!!


「あ、ずっと『早く飛び降りろー』って頭の中で響いてたの、幻聴じゃなくて神の声だったんですねぇ! 私、ついに過労で自殺願望が出ちゃったのかと思ってましたぁ!」


「あんたが過労を感じてるなんて想像つかないよ!!」


「あーもう! ミントちゃんを信じて僕らも飛び降りるぞ! あと20階! 今の僕たちのレベルなら、飛び降りても即死はしないはずだ! ルビーさん、何かあっても死ぬ前に回復してね!」


「はぁい。まかせて〜」


 恐ろしいほど信用できない。


「ふむ。そういうことなら、我が先に下りよう。20階程度の高さなら、特に対策無しでも下で受け止められるだろうからな」


「ロリ魔王、頼んだ!」


「ローリーでーはーなーいー!」


 魔王はそう叫びながら、暗闇の吹き抜けへと豪快に飛び降りて行った。


「よし、リア! いくぞ!」


「まだ駄目ですわ。準備が……」


 振り返ると、リアが残りの蒸しジャガイモを味わい深そうにモグモグと食べていた。


「味わって食べてる場合か! いいから行くぞ! みんなも続いて!!」


 僕は無理やりリアの腰を抱き寄せ、意図せずお姫様抱っこのような格好になって穴へと飛び込んだ。


「うおおお! こええええええ!!!」


 このダンジョンは、壁に消えない松明のオブジェクトが設置されているおかげで、ある程度の視界は確保されている。だからこそ、下に向かって猛スピードで落ちていく映像がダイレクトに視界に飛び込んできて恐怖倍増だ。


「おおおおおっ!?」


「……あ。ご主人様、お任せを」


 隣で急に凛とした顔になったリアの背中から、突然、神々しい純白の翼がバサッと発現した!?


「「あ」」


 ……と同時に、空中ピタリと停止したリアの手から僕の体がすっぽ抜け、僕ひとりだけが時速100キロ以上のスピードで真っ逆さまに落下していった!


「あああああああああああああああ!!!!!!」


 地上で両手を広げているロリ魔王の姿が、猛スピードで視界に迫ってくる!

 

 ……あれ? 地面が近づくにつれて、なぜかフワッと落下の速度が落ちていく……?


 ぽすん。


 僕は見事に、ロリ魔王の腕の中に吸い込まれるように受け止められた。


「よし、到着」


 着地した僕のすぐ横で、ミントちゃんがジト目を向けてきた。


「遅い」


 あれ!? これ、僕のせいなのーーーーー!!??

 

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