22話 僕の晩ごはん。2
サムソン、お前そんなに饒舌なキャラじゃなかっただろ!
しかし、サムソンの極上の料理漫画反応は案の定、再び飢えた腹ぺこ狼たちに火をつけてしまった。
「やっぱり持つべきものは友達ね。私はそっちの右側の、ちょっと脂身が乗ってるところでいいわ。ね、ラ・フィ」「はい、これ最高級のふかしニンジン。ええ、レ・フィ。こんなにいいニンジンをユーキに捧げなきゃいけないなんて、怖いわ怖いわ」
「うさ耳姉妹ぃぃぃぃ! お前ら草食獣じゃねーのかよ! 肉の部位を的確に指定してくるな!」
ていうか、ニンジンなら僕の皿の端っこにも転がってるんだよ! 絶対に日本で品種改良された甘いニンジンの足元にも及ばない、ただの野生の根っこだろそれ!!
文句を言う暇もなく、彼女たちはそのニンジンのひと欠片と引き換えに、僕のステーキを二切れも奪い去っていった。
勝手に持っていくなよ!
あ。ふと見ると、シエルくんが横目でチラチラとこっちを見ながら、豆が大量に入ったスープをスプーンですすっている。いや、見ないように見ているな! めちゃくちゃこっちの肉が気になってるな!
「シ、シエルくんも……いる?」
「えっ! いいのかい!? そ、そのお肉、僕の鑑定眼でも『対象のレベルが足りないため解析不能』ってエラーが出てるんだけど!」
「ま、まあ日本の牛の肉だしなあ。鑑定の仕様にないのは当然か……」
もう、こうなったらしょうがない。
一人にケチって敵を作るくらいなら、いっそ全員に配ってやる。僕は諦めて腹をくくった。
どうせ目立ってしまったんだ、もういっそ大物ぶって対応してやる。
「かたじけない」
大真面目な顔で皿を出してくるヤマトに対し、僕は重々しく頷きながら、
「よきにはからえ」
と、完全に謎の王様ムーブで肉を切り分けた。
「わーい、美味しそうなお肉!」
目を輝かせるラフェに対しても、重々しく頷きながら、
「よく味わうんだぞ」
──「あ、僕も一口もらえますか?」
「よく味わうんだ……って、くっ!? 君は、最近知り合ったばかりのアンダーソンくん!? なんで当たり前のように列に並んでるの!?」
いや、というか何でいつの間にか僕の席の後ろに綺麗な一列の行列が出来上がっているんだよ!
おかしいだろ、あそこの食堂の隅にいる貴族のご子息グループが、プライドをズタズタにされてプルプルと震え始めてるから!
違うんだよ、僕は異世界に来てまで晩ごはんで無双したいわけじゃないんだ! 無駄な敵を作りたくないのに!
それでも、迫りくる同級生たちに重々しく頷いて配り続けていたら、目の前の鉄皿の上からは、大人の拳二つ分ほどもあったはずの特製ステーキはすでになくなっていた。代わりに見たこともない平民たちの食べ物の山が築かれている。
……まあ、お腹はいっぱいになるからいいけどさ。
はぁ。おじいちゃんとの思い出のステーキ、もっとちゃんと食べたかったなぁ。
──あ。
いや、待てよ。まだ、この世にあのステーキが残っている場所があるじゃないか。
「なあ、リア。……ねえ、リアさん?」
「…………。」
そこには、周囲の喧騒など一切耳に入っていないかのように、ひたすらに淡々と肉を切り分け、お口へと高速輸送し続けるエルフの姿があった。
こ、こいつ……! さっきは「しょうがないから一緒に食べてあげます」とか上から目線で毒を吐いていたくせに、完全にステーキの美味さに夢中じゃないか!
上品そうにフォークを動かしているように見えて、一口がめちゃくちゃ大きいんだよ! もっちゃもっちゃと、もの凄く幸せそうに美味そうに食いやがって!
くそっ、その細い体のどこにそんな量が入るんだよ! ていうか、なんでリアだけ僕の脳内を共有して同じ物が出るんだよ! おかしいだろ!
「なあリア、そんなに分厚い肉、その小さな体じゃ食べきれなくて苦しいだろ? 僕が手伝ってあげようか……?」
僕が顔を近づけて提案した瞬間、リアは完全に僕を無視したまま、腕でステーキの皿をガッチリとガードし始めやがった!
おい、めちゃくちゃ聞こえてんじゃねーか!
「な、なあリアってば?」
「……。ご主人様お静かに。ご要件は食事の後で聞きますのでご安心ください……っ、もぐもぐ、もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「急に加速したなおい!その食事が要件なんだよ!!!!」
僕の叫びなどどこ吹く風で、リアは食べる手を一切止めないどころか、さらにフォークの速度を急加速させ、ステーキの欠片を次々と口の中に吸い込んでいった。
あーもう、まあ、大量に食べ物はあるし、諦めるしかないか……。
結局全部は食べれそうにないので、サムソンに手伝ってもらうことにした。
「ええっ肉貰ってさらにくれるのか!?……。……。じゃあこれやるよ!」
サムソンが満面の笑みで何か差し出してきた。
……。いらねーよ!!それどこからどう見てもジャガイモの皮だろ!!
サムソンはいいやつなんだけどなぁ。
そんなこんなで、僕らはなんとか食事を終えた。
しかし、事件は食事が終わってから起こった。
「おい、お前。ちょっと調子に乗ってるんじゃないか?」
あああああ貴族のご子息グループキターーー!!
私と少し勝負しませんか?
起きリバーシです。
私が☆であなたが★です。
貴方が勝つにはどこに
置けば良いでしょうか?
あ、
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☆☆☆☆☆
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