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虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~  作者: すなる
1章 第二部 王都ベルセリア編

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71話 久々の帰還

翌朝。

ハルトが目を覚ますと先に起きていたルナが笑みを浮かべ、ハルトの顔をじーっと見つめていた。


「ん……おはよう、ルナ」


「おはようございます。ご主人様♪」


寝起きの挨拶を終えると、二人は自然と軽い口づけを交わした。


「ふへへっ♪ 私今とっても幸せです♪」


「俺も♪」


ルナはハルトの胸にピタリと引っ付くと少し遠慮しながらも上目遣いでおねだりした。


「その……またぎゅーってしても……いい……ですか?」


「ふふ、いいよ♪おいで」



そして二人は暫くの間、互いに優しく抱きしめあった。


「……そろそろ起きようか」


「……はい」




※  ※  ※





朝食の時間になるとそれぞれの部屋に分かれていた皆がハルトの部屋に集まって来ていた。


「みんなおはよー。あれ?ルシアとヴィアラは?」


「ここへ来る途中でドアをノックしたのですが、返事はありませんでしたのでまだ寝ているかもしれませんね」


「あー、ルシアはいつも朝寝坊だからなぁ。仕方ない。ちょっと起こしてくるよ。ついでにミケーロさんに部屋まで朝食を運んでもらえるか確認してくる」


「そんな雑事ハルト様がしなくても私が―――」


「いいって。ユキはゆっくりしてていいから。二人を起こしに行くついでだから。なっ?」


「……わかりました。ではお茶の用意をしておきます」


「うん。たのむよ」


ハルトはそう告げて部屋を出て行った。


ハルトが部屋を出たのを見て、ユキとリンは顔を見合わせて頷くとルナの近づきクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。


「なっ!?ちょっと二人ともっ!?やめっ!やめてってばぁ!」


「ハルト様の匂いはしますけど、まだのようですね?」


「うん」



「い、いいでしょ!別に!!」


「……ふふ。ですが、ルナ様の様子を見るに、うまく伝えられたみたいですね♪」


「私もそう思います」



「それは……。まぁ……そうだけど……」


「ナターシャ様もおっしゃられておりましたが、ハルト様はかなり奥手のようですので、ルナ様から迫って行かれないと交尾してもらえませんよ?」


「ちょっと!ユキ!?こ、交尾だなんて!?私は今は……発情期じゃないし……その……」


「人族は常に発情期だそうですよ?ですのでハルト様も恐らくは」


「えっ!?ってことは……ご主人様も!?」


3人がハルトがこの場にいないことをいいことに深い話を始めだしたので、聞くに堪えられずプルフラが顔を赤くして申し訳なさそうにそっと手をあげて忠言した。


「あのー……。お気持ちは分かりますが、その……私の前でそういった話をするのは、流石にもう少し控えていただけると……」




「え……。あっ!ご、ごめんなさい!!い、今の話は聞かなかったことに!!」


「はい。ルナ様の気持ちは十分に理解しておりますので、大丈夫ですよ。聞かなかったことにしておきます」


ルナは顔を真っ赤にして両手で顔を覆い隠した。






ハルトは二人を起こして、ミケーロに朝食の手配をし、部屋に戻ってきた。

するとユキとリンが何故かニコニコし、プルフラとルナが顔を若干赤らめているのに気が付いた。


「ん?何かあったのか?」


「な、何でもありません」


ルナは若干動揺した様子でそう答えた。



少し待つと朝食が運ばれてきたので、皆で朝食を取りながら今後の打ち合わせをした。

まずフォーレンシアへ向かうメンバーについて。

ハルトは危険なので流石にヴィアラは連れていけないと言ったが、ルシアは大丈夫の一点張りでなかなか譲らなかった。

仲良くなった友達と離れるのが寂しいのは分かるがどうしたものかと悩んでいると、プルフラまでもが連れていくことに賛成を示した。


「私もヴィアラさんを連れて行ってもいいと思います」


「なっ!?プルフラさんまで!?どうしてですか?」


「ヴィアラさんはルナさん達キャトランと同じく、最強種として有名なフォクシルです。フォクシルは種族特性として生まれながらに幻影魔法を得意としており、他の魔法にも精通していると聞いておりますで、ヴィアラさんはまだ幼いですが、戦力としては十分に期待できると思います」


幻影魔法……。

あのときのあれか。

確かに本体にそっくりな幻影を見せるだけでなく、本体の位置まで誤認させるほどすごい魔法だったけど……。


「……んじゃ本人に決めてもらおう。ヴィアラはどうしたい?このまま俺たちとフォーレンシアへ向かいたいか?俺たちは異世界に安全で豊かな街を持ってる。俺としては暫くその街で生活しながら待っていてもらいたいと思っているんだが」


「私は……。皆さんのお役に立ちたい……です。皆さんには迷惑をかけちゃったから……」


「そこは誰も気にしていないさ。隷属魔法で強制されてああするしかなかったんだろ?」


「ええ、私たちはヴィアラちゃんを恨んだりしてないですよ♪」


ルナの言葉に同意するかのようにユキとリンは頷いた。



「だからそれを抜きにして、ヴィアラがどうしたいか教えてもらえるか?」


「私は……ルシアちゃんとずっと一緒に居たい!皆さんと一緒にいるのは楽しいからとっても好きです!だから……私の魔法でも力になれるなら助けたい!」


「よしよし」


ルシアはちゃんと自分の意思を頑張って伝えたヴィアラの頭を撫でた。



「……わかった。同行を認めよう。ただし、その前に他の仲間たちとも顔合わせをしてもらう。それと色々準備もあることだし、今日ヴィアラには俺らの街へ来てもらおう」


「わ、わかりましたっ!」


「んじゃ朝食を終えたら早速出発だな」


朝食を済ませ、一同は異世界への扉を使いアルレンセスへ向かった。





※  ※  ※





まだ午前中なのでアルレンセスでは農作物の収穫作業中だった。

すぐにハルト達の姿に気が付いてセバスが駆けつけてきた。

相変わらず、瞬間移動のような速度で一瞬で目の前に現れるので未だにハルトは一瞬ビクッとしてしまう。


「ひっ!!」


突然目の前に現れたセバスを見て、ヴィアラは驚きの声をあげた。


「これは失礼。驚かせてしまいましたか。初めましてフォクシルのお嬢さん。私はセバスチャン。セバスとお呼びください」


「私はヴィアラ……です。よろしくおねがいします」


「みんなにもヴィアラを紹介したいし、俺らも収穫作業手伝おうか」


「そうですねっ!久々に畑の世話をするのも悪くないですね♪」


ルナは若干涎を垂らしながら近くにあるイチゴの区画を見入っている。

すぐそばにいたユキとリンも目を輝かせて首を縦に振っていた。

ユキはブドウ、リンは柿を狙っているようだ。


あー、みんなずっと食べてなかったからな

久々に好物を心行くまで満喫してもらうか。


「よし、じゃあ各自畑で自由行動ー!ヴィアラは俺とルシアと一緒に畑を回ろうか。いろんな作物があるから収穫の仕方を教えてあげるよ。食べてみたいのがあれば好きに食べていいからね」


「はいっ!」


午前中は畑の中で思い思いに過ごして楽しんだ。

久々に取れたての好物を心行くまで堪能出来て、皆とても楽しそうにしていた。

始めて畑作業をするヴィアラもルシアと一緒に泥だらけになりながら楽しそうにはしゃいでいるのを見て、周囲の皆は笑顔になった。





※  ※  ※





遠征組は久々にリラックスできたようで、お昼に屋敷の食堂に集まった頃には満足そうな顔でぐでーっとしていた。

ルシアとヴィアラは泥だらけだったのでユキが昼食前に温泉へ連れて行ってくれている。


「セバス。農作物のほうはいいとして、香辛料や肉類の在庫はまだ大丈夫か?」


「ええ。特に問題ありません。作物を出荷する際に入用な物は仕入れさせていただいておりますし。ライラさんが気を聞かせて向こうで色々と準備してくれていますので」


「そうか。なら食に関しては問題はなさそうだな」


話をしていると、温泉へ向かっていた3人も戻り、エリーゼとルミナがとれたて野菜をふんだんに使った料理を運んできた。


「今日はハルト様たちが久々に食事されるということで、ミラさんが張り切って作ったのでご賞味くださいませ♪」


「ありがとう。うわー!めっちゃおいしそう!んじゃみんな。冷めないうちに頂くとするか!」


メイドの中でも特に料理が得意なミラが腕を振るったということもあり、ミケーネ商会の宿で出された一流料理にも勝るほど美味しい料理の数々に皆は舌鼓を打ち、食堂は笑顔で溢れていた。





「ふぅ。とっても美味しかったよ。ミラさん。ごちそうさま♪」


「皆さん満足していただけたようで、腕を振るった甲斐があります!!」


ミラは食事を終えて満足そうな顔をする皆を見て嬉しそうにほほ笑んだ。



「さてと、みんな揃ってるな?今日はこの子をみんなに紹介するために戻ってきたんだ。ヴィアラ。自己紹介できるかい?」


「は、はい!」


若干緊張した様子で椅子から立ち上がるとヴィアラは自己紹介を始めた。


「私はヴィアラといいます。見ての通りフォクシルです。ウロボロスっていう悪い人たちの奴隷として捕まっていたんですけど。ハルトさん達がウロボロスを壊滅させたおかげでいまは自由になれました!これからよろしくお願いします!」


「私はレナだよ!よろしくー!ヴィアラちゃん!」


「私はヒナタ!よろしくねー♪」


「……マリアです。よろしく」


キャトランの3人も年の近いヴィアラのことに興味津々のようだ。

人見知りのマリアも頑張ってヴィアラと話そうとしているのを見て少しうれしくなった。



「よし、自己紹介も済んだことだし、みんながいるこの場でちょっと色々試してみたいんだがいいかな?」


「構いませんが試すとはいったい何を?」


セバスが食後のお茶を用意しながらハルトに聞き返した。


「異世界への扉の付与について……かな」


「なるほど。確かにハルト様以外にも使える者がいたら、いつでも行き来が可能になるので助かりますね」


「だろ?でも一度試してみたんだが、条件不足で付与失敗しちゃったんだよな」


「条件不足……ですか?」


「うん。その条件がなんなのかまだ分からなくてさ。だから付与をまだ試せていない全員に試してみようと思ってね」


「承知いたしました」


「んじゃ試してみるね」


そういうとハルトは目を閉じ、この場にいる全員を対象として異世界への扉の付与を試みた。


『異世界への扉の付与。条件不足により失敗しました』


「ふぅ」


「どうでしたか?」


「やっぱダメだった。条件が分からないことには厳しいかもしれないなぁ」


「魔法やスキルについてならプルフラ様やナターシャ様ならお詳しいのでは?」


セバスはそういうとプルフラの顔をチラッと確認した。

プルフラもそれに応えて口を開く。


「私も話を聞いてから色々考えてみましたけど、そもそも能力を付与するなんて話自体聞いたことがありませんのでなんとも……。サタナキア様ならもしかしたら……?あの方の持つ天通眼はユニークを超えたエクストラスキルですし」


「そうだな。フォーレンシアへ向かう目途もついたことだし、相談も兼ねて一度報告へ向かって見ようか。プルフラさんもたまには故郷でゆっくりしたいだろうしね」


「お心遣い感謝いたします」


「あ、でもうちで転移魔法を使えるのはリンだけだし、あのときリンは同行してないから転移で行くわけにはいかないか」


「それでしたら私がアモン様に連絡を取りましょう」


「よろしく頼む」




その後、ミケーネ商会の宿に戻りプルフラにアモンと連絡を取ってもらい、リーザスの幻想郷アルレンセスで落ち合うということで話はまとまった。






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