59話 攫われた三人
プルフラとルシアに聞いた話では二人は合流して昨日の小屋を騎士団のメンバーと捜査しているらしい。
何か少しでも証拠が残っていないかロンメルの遺体も含めて騎士団の鑑定使いとみているそうだ。
二人にそのまま調査を続けてもらうようにして、何か分かればどんな小さなことでもすぐに報告をするように指示を出しハルトは騎士団の詰め所へ急いだ。
※ ※ ※
その頃囚われた三人は――
とある地下牢に幽閉され鎖で繋がれていた。
みぐるみははがされボロキレ1枚の姿で壁に鎖でつながれていた。
「ルナ様……ハルト様と連絡は取れましたか?」
「うん。ご主人様はどうやら無事みたいよ。ありがとねユキ」
「いえ、しかし……この鎖……魔力を抑制する術式が組まれているようで。魔力を抑えられた状態の私の結界スキルでは念話阻害を完全には防げませんでした……。すみません」
「わたしも転移は使えなかった……。ごめんねルナ姉……」
「2人とも謝らないで。この状態で結界を少しでも展開できただけでもユキはすごいよ!リンの転移もあとできっと役に立つから。大丈夫……ご主人様達ならきっと私達を見つけ出してなんとかしてくれるから……!」
「ほーう?誰がこの状況をなんとかしてくれるって?」
そこには鞭を持ったレナースが立っていた居た。
二人はレナースを睨みつける。
「なんだその反抗的な眼は!?」
「きゃぁっ!!」
「ルナ様……!!!」
レナースは容赦なく鞭を振るう!
「お前らはこれから奴隷として売られるんだよ!反抗的な態度を取れるのもここまでだ!」
「くっ……!必ずご主人様たちは助けに来てくれます」
「ご主人様ぁ?あの人間の男のことか?あいつならマルバス様に手も足も出ずにやられてたぞ」
「そんなことはあり得ません。ご主人様は誰よりも強いです」
「お前ら二人がここに攫われてきているのが何よりの証拠だろうが!!」
「きゃぁっ!!」
ルナの纏ったボロキレが鞭で破れ肌を晒し、更にその肌からは血がしたたり落ちる。
「ルナ様!!!」
「お前もうるさいぞ!!」
「きゃあっ!!」
「……それにしても直ぐに売っちまうのはもったいない体をしてるな……少しくらい味見しておくか……ふふふ」
レナースは二人の体を舐めるように見るとルナに近づいた。
壁に鎖でつながれた腕に触れるとそこから頬へ、そして更に下へ手を滑らせて言った。
キッと鋭い目つきでルナはレナース睨みつける。
「この変態……!!汚らわしい手でルナ様の肌に触れるないでください!!」
「……何をされようとも私はあなたには屈しません……」
「ほう?これでもか?ふふ」
レナースの手は首筋からルナの胸元へ伝っていった。
そのときレナースの背後から声がした。
「レナース様。マルバス様がお呼びです」
「ちっ!これからって時に!マルバスの野郎も間が悪い!まぁいい、楽しみは後に取っておいてやる。心の準備をしとくんだな!ははは!」
そういうとレナースは去って行った。
声の主はその場に残っていた。
その者は徐々に3人に近づいてくる。
今度はその者に鞭で打たれると思い、睨みつけたルナだったが。
よく見るとそこに居たのは自分たちと同じようなボロを纏ったフォクシルの女性だった。
「あなたは……?」
「私はマルバスの奴隷です……。貴方たちには申し訳ないことをしました……。謝って許してもらえるとは思っていませんが、せめて謝罪させてください……」
「何故謝っているのか分からないけど、私達のことは心配いらないわ。すぐに助けが来るはずだから」
「あの黒髪の人間の方達ですか?」
「ええ、ご主人様は誰にも負けないわ」
「……確かに常人離れした感覚と身体能力を持っていました。ですが……誰もマルバスには敵いません……」
「それはどういう……」
「……彼は―――」
「おい!何を話してるんだ?」
見回りの兵が気が付いて声をかけてきた。
小声でフォクシルの女性はルナに囁いた。
「ではまた後程……」
それだけ言い残してフォクシルの女性はその場を離れて行った。
「ご主人様……」
ルナたちは牢の壁にある小さな高窓を見ながらハルトのことを想っていた。




