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虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~  作者: すなる
1章 第一部 新世界~リーザス編

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5話 異世界へ 最強種キャトラン

ハルトは目覚めると布団の中から違和感を感じた。

布団をめくるとまたルナがもぐりこんでいた。


悪気はないし元が猫だから甘えたがりっていうのは分かるけど……。

こう毎日朝起きると裸の女性が一緒に寝ているというのは俺も男だから色々と困る。


ルナは結局毎夜ハルトのベッドに潜り込んできていた。

これも寂しがりな猫の習性だろうとハルトは諦めていた。


ルナはハルトが起きたのに気づき、丸めた手で顔をこすりながら体を起こした。


「ん……おはようございます。ご主人様ぁ……」

「おはようルナ」


もう潜り込んできてもいいから、せめて服をきてくれ…。



二人は扉の向こうに行く準備をした。

何があるかわからないのでこの数日で加護の力を使い色々作って置いたのだ。


準備していた装備一式を二人は身に着け、食料と水を十分入れたカバンも用意した。

装備といっても重々しいものではなく、軽金属やファイバーを素材として創造したアンダーウェアや軽鎧と、鋼製のシンプルな日本刀とナイフだ。

鎧はなじみがないため、しっかりと連想できなかったのでハルトが加護で今生成できるのはこれが限界だった。


ルナは服が体に密着するのを嫌うので、アンダーウェアはなく、ルナの要望を聞き入れ動きやすさを重視した軽鎧を用意した。

ルナは道具の扱いにもまだ慣れていないので刃物ではなく、武器は自身の体だ。

なので手甲とまではいかないが、手袋に鉄板を仕込んだ物と、金属製のブーツを用意した。


一応素材は前世で知っているそれなりの素材で創造したつもりだが、万全とは思っていない。

ハルトとのイメージとしては、身を守るために何もないよりもマシ。といった程度のものだ。

日本刀は一番イメージしやすい武器だったという理由で用意した。

銃も想像したのだが、正直扱いに慣れてない自分が使うと自身やルナの身を危険にさらす可能性もあるので今回は持っていかない。


ルナは軽鎧を身に着けてクルリと回り、ハルトに感想を求めてきた。


「どうですか?似合ってますか?ご主人様♪」


ハルトはルナの頭をなでながら答えた。


「ああ、似合ってるよ」


ルナは撫でられて気持ちよさそうな顔をしながら、猫がするようにハルトにすり寄ろうとした。

だがハルトはルナの頭をそのまま抑えて押し返しながら、冷静な顔で朝食のリンゴを齧った。

ルナはすり寄るのを阻止されて少し頬を膨らませて不満げだ。


「そうむくれるなって。今日は扉の向こうの調査に行くと言ったろう?じゃれてる時間はないんだ。ルナも早めに朝食を済ませるんだぞ。朝食を取ったら早速出発だ」


そう言いつつルナの頭をなでる。


「むー」


ハルトはこの数日で段々とルナの扱いに慣れていっていた。





食事を済ませた二人は、先日異世界への扉を出した場所へと向かった。

扉を開くとやはり見たこともない景色がそこにはあった。


「ご主人様……。少しこわいです……」


ハルトの背中にしがみついてルナは少し怯えている。


猫は自分の縄張りから出るのは不安がるというからな。

不安になるのは猫だった頃の習性かな?

と思いつつもハルトは扉に向かって進みだす。


「んじゃいくか」


「ま、待ってください!」


ルナも慌ててハルトについて扉をくぐった。




二人は扉を抜けて辺りを見回す。

そしてすぐにここが先ほどまで経っていたハルトの世界とは全く別の世界だと実感した。


すぐ目の前には小高い丘のある草原。

背後には鬱蒼とした森。

遠から鳥の鳴き声のようなものも聞こえている。

風に乗って微かに自然の匂いも感じられた。


「ここがどんな世界なのかはわからないから慎重に探索しよう。俺のそばを離れないようにな」


「うぅ……」


早速ルナは怯えていた。

ハルトの腕を両手でがっしりと掴み、ピッタリと引っ付いて歩いている。


「ルナ?怖いのは分かるけど。さすがに歩きにくいかな・・・?」


「でもっ……色んな生き物の匂いがして……」


ルナは怯えてしまい、ハルトに引っ付いて離れようとしない。

……そうか、匂いか。

未知の動物を感じ取ったのか。

それであんなに怯えていたのか。


「ルナ?その匂いってどんな生き物の匂いとかかぎ分けられたりするか?」


「どれも初めての匂いだからよくわからないです……。でもご主人様に近い匂いも交じってる気がするかも……?」


ということはやはり人が居る世界ってことかな?

街とかにいけたらいいんだけど。

暫く森に沿って歩いていくと、遠くに轍のような跡が付いた植物が生えてない地面がむき出しの道のようなものが見えてきた。

それをみてハルトは確信した。この世界には人がいる。



辺りを確認しながら歩いていると、急にルナが尻尾をピンと立てて毛を逆立てながら森の方を警戒し始めた。


「ご主人様!何かくる!!」


それを聞いてハルトもルナが警戒している方を向いた。



少し先の茂みが揺らいでいる。

未知の獣が出てきても対応できるようにハルトは刀を構えた。


「きます!!」


ルナがそういった瞬間茂みから何かが飛び出してきた。


二人はその姿を見て警戒を緩めた。

そこに居たのは真っ黒な兎だった。

向こうの世界の兎とは少し違うようで体調は1m弱はあろうかという巨体だが、角が生えていたり翼が生えていたりしないのでハルトは少し安心した。


「なんだ少し大きいけど兎か・・・」


二人が顔を見合わせてほっとしたその時、兎はいきなり真っ赤な目を光らせ、まるで獲物を見つけたかのように殺気立ち飛び掛かってきた。


少し大きなだけの兎だと思い油断していたハルトは、ギリギリのところでそれを躱した。

だがハルトは体勢を崩し、片膝を地面へ着いてしまう。

ハルトが体勢を崩したのを見逃さず、すぐさま兎がハルトに狙いを定めて襲い掛かってきた。

先ほどまでの愛らしい顔はどこへやら。

とんでもない跳躍力で、狂暴な顔つきのまま口を大きく開けてハルトに噛みつこうとした。


やばい!避けれない!刀を引いて鞘で兎の攻撃を受け止めようとしたそのとき――


「ダメー!!」


ルナの叫び声が響いた。


先ほどまで怯えていたルナだったが、ハルトに危機が迫っているのを見て、ハルトを脅威から守るために体が勝手に反応し兎にとびかかっていた。


ルナは無意識に猫がするような引っ掻くそぶりで兎へ向かって右手を振り下ろした。

ルナが手で引っ掻くと空中に巨大な爪のような刃が出現し、兎の体に大きな引き裂き傷をつけた。

攻撃を受け数m先の地面へ吹き飛んだ兎は、そのまま息絶えた。


「ご主人様怪我はない!?大丈夫ですか!?」


ルナは泣きそうになりながら慌ててハルトに近寄り無事を確認する。


「大丈夫。助かったよ。ありがとうルナ」


ハルトはルナの頭をなでて落ち着かせた。


「それにしてもさっきのは…どうやったの?」


「……咄嗟だったので、私にもよくわかりません」


どうやら無意識だったようだ。


横たわっている兎を見ると巨大な熊に爪で引っかかれたような傷跡が付いていた。

人の姿のルナが引き裂いたとはとても思えない。



二人が安堵した直後、再び茂みの奥から何かが近づいてきていた。

ルナがハルトの前に立ち警戒を強めた。


「あれ?見ない顔だがあんたらも冒険者か?キラーラビットがこの辺りに逃げて来なかったか!?」

そこに現れたのは人間の男だった。


そして、血を流し地面に横たわるキラーラビットの姿を見て男は驚いていた。

何故かルナを見た瞬間更に驚いた顔をしたように見えた。

もしかして獣人がいない世界だったか……?

だとしたら見られてしまったのはまずいかもしれない……。

しかし、男はとくにルナについて触れることもなく、目の前で転がる兎について確認してきた。


「なっ!……あんたらたった二人でキラーラビットを倒したのか!?」


「「キラーラビット……?」」


初めて聞く兎の名前に、二人は顔を見合わせ首を傾げる。



「おいおい……!キラーラビットを知らないとかあんたらどんなド田舎から出てきたんだよ……」


そこに男の仲間と思われる人も四人合流した。


「ちょっとルッツ!一人で先に行かないでよね!!」



話を聞いてみると、彼らは冒険者らしい。

この辺りでキラーラビットの被害報告が相次いでいたらしく、ギルドから討伐の依頼を受けてきたのだという。

森の中で見つけたキラーラビットを5人で取り囲んで仕留めようとしていたところ、すきを突かれて森の外へ逃げたしたので追いかけてきたそうだ。

なんでもキラーラビットは愛くるしい見た目とは裏腹に肉食でかなり獰猛なんだそう。



「あんたたち!人の獲物を横取りするなんてルール違反なんじゃない!?」


そういって一人の女性がいきなり突っかかってきた。


「まぁまぁミリル。依頼がかぶった場合は先に討伐したもの勝ちだろう?」


依頼?獲物?この人たちは俺らのことを冒険者だと思ってるのか。


「あのー。俺ら冒険者でもないし、依頼も受けてないので、そちらの手柄で構いませんよ?」


「そんな施しなんて受け取りたくないわ!!だいたいね――」


ミリルと呼ばれていた女性は騒ぎ始めたところで、後ろに居た大男に口をふさいで黙らされた。

それでもフガフガ騒いでいたが……


「ほんとにいいのか?かなり割りのいい報酬の依頼なのに……?」


「ええ、その代わり俺らを街に連れて行ってもらえませんか?」


「俺らもこれから街に帰るから、そりゃ構わないけど……」


こうして二人は冒険者の人達に街まで案内してもらうことになった。




こうして出会ったのも何かの縁。

互いに名も知らぬのもなんだという話になり、街へ向かう道中で互い自己紹介をした。


「俺はルッツ。この冒険者パーティのリーダーをしてる」

金髪に緑色の瞳をしていてかなり整った容姿で性格も明るく、いい意味で嫌でも目立つ雰囲気をしていた。

ハルトと同じような軽鎧を着ていて、職業はシーフだそうだ。


「私はエレンです。得意なのは回復魔法です」

エレンは白いローブを見に纏った金髪の碧眼の綺麗な女性だった。

回復魔法……この世界には魔法も存在するのか。


「俺はこのチームの盾。戦士のローガンだ!よろしくな。ガハハ」

がっしりした2m近くある大きなガタイに重厚な金属鎧を見に纏い、背には大盾腰には直剣を携えている。

ローガンはまさにパーティの盾であり剣を担う戦士といった風貌であった。


「僕はフィルといいます。風魔法を少しだけ使えます。よろしくおねがいします」

フィルの職業は属性魔導士というそうだ。先天属性のうちどれか1つ以上の適正があり魔法を行使できる人のことをそう呼ぶらしい。


「ふん!なんであんたたちに―――」

悪態をつこうとしたところを再びローガンに口を封じられ黙らされたのはミリルと呼ばれていた女性。

ミリルについては代わりにリーダーのルッツが語ってくれた。


「こいつはミリル。見ての通り人見知りで口は悪いが、悪気はないんだ。大目に見てやって欲しい。属性魔導士としての腕は確かだ」



5人の紹介を受け、ハルトとルナも自己紹介と挨拶をした。

2人は色々と隠さなければならないことが多いので曖昧な説明になってしまったので、どこから来たのかとかは当然聞かれたが有耶無耶にして濁した。



「それにしても、あのキラーラビットを一撃とは流石キャトランだな」


「「きゃとらん……?」」


二人は声を揃えて聞き返した。



「は?なんで知らないんだよ…。ってか、なんでルナさん本人まで聞き返してくるんだよ!獣人の中でもキャトランっていったら最強種の一角じゃないか」


ルナを見てルッツが最初驚いた顔を見せていたのは獣人が珍しいからではなく、そのキャトランって種族だと思われたからか……。


「他にも獣人はよくいるんですか?」

ハルトの質問に5人は固まった。


「はぁ?あんたたち非―――」


ミリルがハルトとルナを非常識だと罵倒し、騒ぎはじめそうになったところをローガンが再び口を押え黙らせた。

相変わらず口を封じられてもモガモガと騒いでいる。


「辺境から出てきたとは聞いたけどよ……。ほんとにあんたらどれだけ世情に疎いんだ……?噂に聞く賢者みたいに山籠もりでもしてたのか?」


「あははは……。まぁ……そんなところです」


「まぁいい、この国では獣人はそれほど珍しくないぞ?そりゃキャトランはかなり珍しいがな。一番多いのはウルフェンっていう狼みたいな獣人だな。あとは――」



こうして色々聞いてみると

この世界では獣人は特に珍しくもなく、人種の中でもヒュームの次に多い種族だそうだ。

獣人は狼種のウルフェン、虎種のティガー、兎種のヴァニア、鼠種のローデン、猿種のエイパル、狐種のフォクシル、猫種のキャトランがいるらしい。

中でもフォクシルとキャトランはかなり希少で、キャトランは竜種と並び身体能力では最強種と言われているそうだ。

どうやらここはハルトが転生した何もない世界とは大違いですごくファンタジーな世界のようだ。



先ほど自己紹介でも出ていた魔法についても軽く聞いてみた。

魔法は誰にでも適正があるわけではなく、生を受けたときに属性の加護を得ていれば使えるらしい。

詠唱などは無く、体内や大気中の魔素を練って魔法を発現させるのだという。


更にスキルの存在も教わった。

先ほどルナがキラーラビットを攻撃したのもスキルだろうと言われた。


「ルナ。なんかスキル使ったの?」


「………どうだろう?」


ほんのひと月前までただの猫だったルナが知っているはずがない。



ルッツが言うには武技スキルは、そういうスキルを持っていると自分が認識できれば使えるらしい。

説明ついでに見本を見せてくれるという。


「たとえば……。はぁっ!」

ルッツが両手に持った二本の短刀を同時にふるうと十字の斬撃が数m先の大岩まで飛んでいった。


「これはクロスリーパーっていう短剣や短刀の二刀流スキルで、斬撃を対象に向けて放つスキルだ。見ての通り岩に微かに傷を与える程度で威力は小さいがね。ルナさんのは獣人特有の爪牙系のスキルじゃないかな?あとは魔法についてだが、自分の先天属性やスキルについて知りたかったらギルドに行くといいよ。登録する際に調べてもらえるからな」


「ギルドか…。でも冒険者の仕事をするつもりはあまりないからなぁ」

「別に冒険者ギルドじゃなくても商業ギルドでもいいんじゃねぇか?あとは…あまりお勧めはしないが農業ギルドや狩猟ギルドもあるな」


なるほど、この世界では生活に関する仕事はギルドが統括しているらしい。

戦いにそれほど興味はないし、冒険者になるつもりはなかった。

農業や狩猟ギルドはお勧めできないっていうけどあっちでも役立てそうだし気になるな~。



「そういえば、二人はギルドに登録してないのなら身分証は?」


「……持ってないですね」


「うーん。そうなったら街の入り口で検査と試験を受けて、実力を示して別の都市で活動している冒険者ってことにして入れてもらうしかないかもしれないな」


「えぇ……。実力を示すって……」


実力って…戦いなんて全くの素人なんですけど……。

商人という体で実力を示すというのを回避できないだろうかと聞いてみたが、それだとどこで商売をしているか、取引相手は?などの確認が入ると聞いて諦めた。

この世界の事情を知らないのに商人のふりはとてもじゃないが出来そうにない。


こうして若干の不安が残ったまま、街の入り口向かった。


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