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虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~  作者: すなる
1章 第二部 王都ベルセリア編

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57話 上に立つ者

プルフラが部屋を去ってルシアと二人になった。

ルシアは無言のままベッドにうずくまるハルトを見つめていた。


元々あまり自分から話すことはないルシアが口を開いた。

「ハルト様。あまり自分を責めちゃだめ。心配なら立ち上がってほしい。ハルト様の力があればまだ皆を助けられる」


それだけ告げるとルシアも部屋を出て行った。


以前から王国騎士達も手を焼いていて尻尾すらつかめていない奴隷商の誘拐組織。

そこにいたかなりの強者である魔族の男に戦闘でも後れを取り、更に優位な状況から虚を突かれ目の前でリンも攫われ、馬車に居たはずの二人までもを攫われてしまい完全に敗北してハルトは自身を喪失していた。


「やっぱ俺なんかが仲間を守り抜くなんて無理だったんだ……。何がマナリス壊滅に協力だよ……。奴隷商の一味から仲間すら守れないなんて」


元々俺は戦いには向いていないんだ……。

こんなことなら王都へなんて来るんじゃなかった……。


ハルトが悩んでいると部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「ルシアか……?」


しかし部屋に入ってきたのはルシアではなくウィリアムだった。


「よう」


「騎士団長がこんなところになんの用だ」


「そう睨むなって……君の仲間が奴隷商の仲間に攫われたって聞いてな」


「俺を笑いに来たのか?それとも貴様が敵を手引きしたとでも自白しに来たか?」


「そんなつもりはない。俺も奴らを許せない気持ちは一緒さ……ここは一つ協力しないか?」


「……目の前で仲間を攫われた俺なんかと協力したところで……」


その言葉を聞いてウィリアムが目つきを変えてハルトの前まで歩き出た。


「お前は全部自分の責任だと思っているのか?」


「……」


ハルトはウィリアムから目をそらした。


「確かに偽の商会に騙されて、敵の仕込みにも気が付かずに、更に後から刺客に後れを取ったうえで仲間を攫われたのはお前にも責任はあるだろう」


「商会の話を持ち掛けてきたのはお前ら騎士団だろう!!それに誰にも漏れないと言っていたのになんだ!?お前もやはりグルだったのかよ!?」


「……どこから情報が漏れたのかは本当に分からない。だが俺もブランドもカイも決して悪事に加担したりはしない。そこは信じて欲しい」


「……」


「そして、俺らの提案した話が漏れていたことで君たちを危険に晒した責任は俺達にある。それ以前に半年以上もの間、賊をとらえられていない王国騎士団が間抜けだったから君たちにまで被害が及んでしまったことを私は謝罪する」


「今さら謝られたところで……」


「……すべて背負おうとするな。君が居なければ被害は3人だけでは済まなかったはずだ。君が自分を責めれば責めるほど残った仲間も責任を感じると言うことをわかってやってくれ」


「……どういうことだ」


「先ほどプルフラさんが俺の元へ捜索の願いを協力要請しに来た。少しでもいいから情報をくれと」


「……」


「そしてこの宿の入り口でルシアさんとも会った。彼女もハルト様をよろしくお願いします私は自分の力を使って町全体を探してきますと駆けて行ったよ」


「……」


「二人も責任を感じているはずだ。しかも守られる立場にある二人は君よりも悔しかっただろう。自分たちが手も足も出なかったせいで3人を攫われたと思っているはずだ」


「それは違う!!3人が攫われたのは俺の油断と覚悟が足りなかったせいで……」


「騎士団長として、剣を交えた友として一つだけ言わせてもらう。君は強い。この私よりも強いのだから。しかし人の上に立つ者としての考え方がまるでなっていない。君は一人で戦っているのか?仲間たちはただの飾りか?」


「違う……!」


「ではなぜもっと仲間達を頼ってやらない。何故仲間達を不安にさせるようなことをしている。何故すぐに仲間を助けようとしない。君がそんなんだから二人が自分に出来ることを必死で探しているんじゃないのか?今自分で考えて動いている二人は、君が精いっぱいやった結果仲間が攫われたと感じているから、君に責任を感じさせないためにも何も言わずに自分で動いているんじゃないのか?仲間が大切なら……!もし本当に攫われた責任が自分にあると思っているなら、リーダーたるものもっと毅然とした態度を取るべきだと思うがね。失って病むほど仲間が大切ならもっと傍にいる仲間の心にも寄り添ってあげることだな。もっと仲間を頼ってやれよ。君は一人じゃないだろう?」


「……」


「……僕はもう行く。気が向いたら詰め所に顔を出してくれ。今回の事件の責任の半分は我らにある。どんな協力でも惜しまないと約束しよう」


そう言い残すとウィリアムは部屋を出て行った。



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