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虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~  作者: すなる
1章 第二部 王都ベルセリア編

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50話 王国騎士団の団長との模擬戦

『チリィン!』

ブランドの持つベルの音が鳴り響いた。


直後ハルトはウィリアムへ向かって駆け出した。

ウィリアムはハルトの動きを正確に観察するために、微動だにしていなかった。


とんでもない瞬発力と脚力。

身体能力は並外れている。

だが……。

やはり動きは素人同然だな。

これならばいくらでもやりようはある!



ハルトも突進しながらも冷静にこちらを見つめているウィリアムの動向を観察していた。


こっちが突っ込んできているのを見ても眉一つ動かさないか。

王国騎士団の団長ともなると余裕があるんだな。

まぁ所詮俺は剣も素人だし。

受けに回っても受けきれるか分からないし、考えたところでやることは一つしかない。

素人の俺には敵の攻撃をさばき切る自信がないから攻撃在るのみ!


ハルト突進の勢いを乗せて上段から剣を振り下す。

その動きを見切ってウィリアムは自分の剣をハルトの剣に軽くあてて軌道をそらした。


上段からの振り下しを、いなして躱されることはベンゼルの時に経験済み。

そのままの勢いでハルトは回転斬りへ攻撃を繋げた。


しかしウィリアムはその攻撃も剣で受け流した。

直後ウィリアムは体勢を崩したハルトにそのまま切りかかった。


入った!そうウィリアムは勝ちを確信したその時。

『ギィイイン!』

鈍い音が響いた。



攻撃を横へ受け流され体勢を完全に崩したと思っていたハルトが、既に剣を構え正面でウィリアムの剣を受け止めていた。


なぁっ!?

あの体勢から防御!?

ありえない!



驚き眉をしかめながらつばぜり合いをするウィリアムと相対しながら、ハルトは冷や汗を流していた。


あっぶねええ!

刃が付いてないって言っても、背中にこんな剣喰らってたら痛いじゃ済まないって!


「ふふふ、面白くなってきた。今のが全力ですか?」

つばぜり合いをはじき返し1歩後ろに飛び退きながらウィリアムは笑っていた。


「一応、全力?だと思いますけど」

戦闘経験なんて数えるほどしかないから全力の出し方もよくわからないけどね!



「そうですが、ではこちらは次は5割の力で行かせてもらいます」

そういうとウィリアムは先ほどよりもかなり早い動きを見せた。


ハルトはウィリアムの斬撃をすべて剣で受けきっていた。


「すげぇ……団長の剣をすべてさばききってる……」


「なぁ。あの男、さっき全力だって言ってなかったか?なんでどんどん早くなる団長の攻撃を受け切れるんだよ」


騎士達は驚いてる。



「ご主人様いけいけー!」

ルナはノリノリで楽しそうだ。



「なるほど、付いてくるか、流石!ブランドが見込むだけのことはあるようだ。では8割で行かせてもらう!!」

そう言うとウィリアムは体にオーラを纏い始めた。

先ほどよりも早く、攻撃も数段重くなりハルトは受けるのが精いっぱいで反撃を繰り出すことは出来なかった。


なんだこの攻撃の重さは!?

それにウィリアムの体に見えるオーラのような物は一体?

魔法?

それともスキルか!?


必死で自身へ向けられた剣に対して剣をあわせ、ガードを続けるハルトだった。



「まさかブーストを乗せて攻撃しても生身で付いてくるなんて驚いたよ」


「ブースト?」


「え?知らないのか?」

ハルトは頷いた。


「ハルトさん!ブーストっていうのは身体能力向上スキルを解放して能力を上げた状態にすることですよ!冒険者の間でも常識だと思いますけど……」

カイが説明してくれた。


「常識って言っても俺はスキルの扱い方も知らねぇんだ。よっ!!」

ハルトはカイの余計な一言に腹を立てながらウィリアムの剣を振りはらった。


ブーストか……。

能力向上系のスキルがあるのか。

あるって事さえわかれば加護の力で今得られないか!?

ハルトは目を閉じて加護の力で自身に能力向上系スキルの付与を試みた。


「あいつ目をつぶったぞ!遂に諦めたか!」

騎士達は目を閉じたハルトが試合を放棄したと思い騒いでいる。



「おいおい。お前はそんな奴じゃないよな?」

目を閉じているが戦意を喪失している感じはしない。

何かを企んでいる感じがするな?

集中してこれから本気を出すってことか?


「んじゃ俺も全力で挑ませてもらう!」


「団長が剣にエンチャントも使用してるぞ!次の一撃でキメるつもりだ!!ハルトさんあの状態の団長の攻撃を剣で受けてはいけません!!避けてください!!」

カイがハルトを心配して叫んだ。


『対象へ 効力向上系スキル付与。成功しました』


よし。

ハルトは目を開けると今獲得した全てのスキルを解放し、ウィリアムの攻撃を迎え撃った。


『ガキィィィン!!』


二人の剣の正面からの接触で甲高い金属音とともに、とんでもない風圧巻き起こった。


そして次の瞬間、ウィリアムの体は宙へ舞っていた。

身に纏っていた鎧と剣はぼろぼろに砕けてる。

皆の目の前に立っていたハルトの剣も根元から折れ刀身がなくなっていた。


『ガシャン!』

砕けかけた鎧が鈍い音を立てながらウィリアムの体が地面へ叩きつけられた。



何が起こったのか分からず観衆は全員静まり返っていた。


ハルトも自身の力に驚き、手が震えていた。

得たばかりの能力を一気に開放したけど、これって半端じゃないスキルなんじゃ……。

何だ今の感覚は……。

一瞬周りの全てが止まって見えた気がしたような……。


二人の接触の瞬間をとらえていたルナとプルフラ、ユキ、リンの4人は驚いていた。

ルシアは興味がそれて見ていなかった。


「魔法での強化も行わずにここまでの動きを……」


プルフラが冷や汗を流していた。


私の目でもウィリアムさんの体が宙へ舞うところからしかとらえられませんでした……。

こんな動き、バルバトス様やアモン様はもちろん、サタナキア様の目をもってしても見切れないのでは……。


「ルナさんは今のハルト様の動き全部見えましたか?」


「うん。ご主人様が剣を8回振ってずばーって!かっこよかったね♪」


「私は5回しか捉えられませんでした。流石です……」


「私も5回しか……」


三人の会話を聞いてプルフラが更に驚いていた。

この三人もあんな速度についていけるというの……?



ハルトは慌ててウィリアムに近づいた。

「だ、大丈夫ですか!?」


ウィリアムは何とか意識を保っていた。

「全く見えなかったよ……」


「ウィリアムさんのおかげで強くなることが出来たみたいです」


「ははは。まいったね。完敗だ」

ハルトが差し伸べた手を掴みながらウィリアムは笑っていた。

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