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虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~  作者: すなる
1章 第二部 王都ベルセリア編

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51話 フォーレンシアへ向かう商団の情報

ウィリアムは応急処置を終えたので話を始めた。

どうやら鎧が砕けただけで大事はなかったそうだ。


「その……。初めて能力向上スキルを使用したので加減が分からなくてすみません」

ハルトは深く頭を下げて全力で謝罪した。


「ふふ。頭を上げてくれ。模擬戦を提案したのは俺だ。互いに大きな怪我もないしな。それにしてもショックだよ。今までにブランド以外の者に負けたことは無かったんだけどな……」


ブランドさんってそんなにすごい人だったのか。

王国騎士団の団長より強いの……?

ハルトはブランドの方を見て驚いていた。


「はっはっは。昔のことですよ。幼少期にウィリアムに稽古をつけていたので。今はとてもじゃないですが敵いません」


「ふっ。どうだかな。現役の騎士団長に勝ってしまうと団長に戻されかねないから避けている。と噂する者もいるぞ?」


「年寄りをいじめないでください。私はもう引退した身です」


なるほど。

この人は先代の騎士団長だったのか。

ブレードウルフの群れを新米騎士を連れた状態であっさり倒していたのはそういうことか。


「俺が高慢にならないように俺よりも強者を連れてきた。といったところだろう?違うか?」


「はて、何のことでしょうか。私はただ、ブレードウルフの群れを討伐できる強者としてこちらへ案内しただけで他意はございませんが」


このじいさん掴みどころがなくて苦手かも。

はは。


「まぁいい。俺はもっと腕を磨く。ブランドも。そしていつかハルトさんも超えられるようにな」


「あはは。ウィリアムさんなら俺なんかすぐに超えられますよ」



ハルトの言葉を聞いてそんなわけないだろうと思いながら皆は苦笑して眺めていた。

「……」



「さて、では俺達はそろそろお暇させていただきますね」


「待ってくれ。無理やり模擬戦を申し込んだのはこちらだ。それに、騎士団に代わってブレードウルフの群れを討滅してくれた件に対して何か礼を用意しなくては。何か要望はないか?」


「んー?そうですね……」

ハルトはフォーレンシアへ行く情報を聞けないかと思ったが、騎士団員の前で鎖国国家の情報が欲しいなどと言えないと思い迷っていた。



そのハルトの様子を見て、言いづらい要求があるのだと察したブランドとウィリアムが部屋に案内してくれた。


「この部屋は他国の要人との交渉にも使われている部屋で、消音の結界が張られている。部屋の外部に声が漏れる心配はない。それで?ハルトさん達が求める要望とは?」


ハルトはプルフラと目を合わせて頷くと口を開いた。

「フォーレンシアへ向かいたいのですが、情報があまりないので情報を貰えると助かります」


「なっ!?フォーレンシアだと!?鎖国国家だぞ!?一部の交易を許された者しか出入りを許されていない国に何をしに!?」


「…………そこまでは言えません」


「……はぁ……わかった。お前達から悪い気配は感じない。言えないというのなら深くは聞かないでおいてやる。ただし!今度また俺と手合わせをしてくれ!」


「それはちょっと……」


「次にハルト殿と手合わせするときには必ず勝ってみせる!!」


「俺は痛いのは嫌なので結構です」


「そこをなんとか!!」


二人の言い合いを呆れながら見ていたブランドが口を開いた。

「……私がフォーレンシアへ向かう商団を知っております」


「!?」


「ブランドさん詳しく教えていただけませんか!!」



「ええ、商団は恐らく1か月半~2か月するとフォーレンシアへ向かうはずです。トップはミケース商会のミケース。フォーレンシアで大きな商会を構える商人です」


「ミケース……どんな方なんですか?」


「普段は深々と外套をのフードを被り人の姿をしていますが、キャトランの方です」


「!?」


「何故ブランドさんはその方のことを……?」


「古い知人でしてね。ハルトさんも既にお会いしておりますよ」


「??」

ハルトは心当たりがないので首を傾げた。


「まぁキャトランと言っても彼は腕はからっきしなのでそちらの方々とは全く違いますけどね」


「キャトランって希少種かつ最強種なのではないんですか?」


「そう言う話が巷では流れておりますね。確かに身体能力に長けた者も多いです。ですが実際にはミケースの様に普通の人も多いですよ」


あまり居ない希少な種族だから噂に尾ひれが付いた感じか……

ん?

希少種なのにブランドさんは何人ものキャトランを見てきたような口ぶりだな?


「最近ではその噂のせいでキャトランは誘拐される事件が多いようなので貴方たちもくれぐれをお気を付けください」


ハルトはそう言われてルナとユキ、リンを見たが、三人が誘拐されるところなんて想像できない。

彼女たちの実力ならどんな相手が来ようとも全く問題はないだろう。

……いや、ルナは……実力ではなく騙されて連れていかれる気がしなくもないかもしれない……。

ハルトはルナをじっと見て少し不安を感じた。


ルナはハルトがなぜ自分を見つめているのか分からず首を傾げている。

「?」


「ブランドさん、ミケースさんと取り次ぎって頼めますか?」


「ええ、掛け合ってみましょう」


「助かります。それとこれはお願いではないのですが、マナリスという組織についてもし見聞きすることがあれば、情報を頂ければ助かります」


「マナリス?ハルト殿?それはどういった組織なのですか?」


「魔族の中でも過激派の犯罪集団のような者たちです。こちらの領土でも色々陰で画策しているらしいので、もし情報が得られたら教えてください」


「りょうかいした。騎士団長の名に懸けて。そのような輩の存在を知ったからにはこの王都では決して好きにはさせないと誓いましょう」


「ありがとうございます。では、そろそろ行きますね」


「はい。それでは明日の朝、またこちらへお越しください」


「明日も模擬戦やろうぜ」


「そんなに頻繁には、やりません」


こうしてブランドさんのおかげでフォーレンシアへ向かうというミケースと会えそうだ。

行き方の情報を集めるつもりがフォーレンシアへ向かう商団の情報が得られたので、思ったよりも簡単にフォーレンシアへ向かうことが出来るかもしれない。


ハルト達は今晩泊る宿を取るために街へ繰り出した。




※  ※  ※




その頃――

ボーゼス商会にて


ボーゼスと怪しい男が会話している。


「むははは。まさか希少種が三人とはな!それと珍しい赤髪の美女か」


「……報酬は?」


「心配せずともしっかり払ってやる。ほれ」


そういうとボーゼスは男に金の入った子袋を2つ手渡した。

男は袋の中身を確認しニヤリと笑う。


「確かに……」



「ふん!相変わらず金にがめつく愛想のない奴よ」


「……こんな仕事をしてると感情を殺すのが癖になるのさ。それに金にがめついのはお互い様だろ?それで?詳しい依頼内容は?」

ボーゼスはニヤリと笑って答えた。


「むふふ。キャトランの冒険者を3匹と赤髪の美女1人。どいつもかなりの強者だが、出来るだけ傷を付けずに頼めるか?」


「強者ですか……。正直無傷というのはしんどいですね……」


「ふん、よく言う!フォクシルとキャトランを1匹づつ捕えてきたばかりではないか?今度の標的は腕が立つのを含めて倍額の一人白金貨10枚だ。これ以上値上げ交渉は受け付けんぞ?」


「相変わらずケチな野郎だ……」


「奴隷商売なんてこっちもリスクがあるんだ。高額で買い取ってるだけありがたいと思え!」


「はぁ、わかりました……前金は受け取ったし、成功報酬の白金貨20枚は明日の朝までに用意しといてくださいね」

そういうと男は去って行った。


「ふふふ。まったく、いい商売を思いついたもんだ」

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