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虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~  作者: すなる
1章 第一部 新世界~リーザス編

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28話 デメテルと賢者

エラルドは膝をつきながらナターシャに弓を構える。


「ちっ!また俺らを騙していたのか!?」


しかし、ナターシャはエラルドに矢を向けられても素知らぬ顔をして、デメテルの方を見ながら荊の警戒だけに集中しつつエラルドに声をかけた。


「どう?これでまだ少しは魔力が持つんじゃないかしら?」


エラルドはナターシャにそういわれて、自身の体に魔力がみなぎってるのことに気が付いた。

両手を見ながら驚いている。


「これは……?まぁか俺に魔力を?」


「わたしは火の魔法が使えないのよ。感謝しなさいよ?サキュバスは他者から精気や魔力を吸っても、他人に魔力を与えるなんて滅多にないことなのよ?」


エラルドは軽く笑って立ち上がると、デメテルに向かって再び弓を構えた。

「ああ。これならまだまだやれそうだ!」



ハルトはルナとルシアに作戦を伝えながら皆の状況を見ていた。

当然エラルドがナターシャに首筋を噛まれたところも見ていたが、その後の様子を見る限り問題なさそうだ。

正直見ていて一瞬ひやりとしたけど、あっちは何とかなりそうだな。


「よし。二人ともいけそうか?」


「はい!」


「お任せください」


ハルトに返事をしながら二人は事前に言われたように横並びに立ち、戦闘態勢を取った。



「よし、次にエラルド達が荊を処理したら一気に攻めるぞ!」


「あっちの準備は整ったみたいだな?くそっ!このうっとうしい雑草め!これで燃え尽きろ!フレイムアロー!!」


エルロンが複数の火矢を放って荊を再びすべて燃やし尽くした。

先ほどまでと違い炎の勢いが衰えない。

これで炎が消えるまでは再度茨を召喚しても燃焼してしまうので、デメテルが荊を召喚するのを一時的に封じることに成功した。


「いまだ!」


エラルドの声を合図に、3人はデメテルに向かって飛び出す。

しかし、そんな動きは予測していたかのようにデメテルは笑みを浮かべていた。


『ふふふ。甘いですよ。私の力は荊だけではありません』

そういうとデメテルは3人の正面に複数の大木を生やし進行を妨げた。


しかし次の瞬間。

正面に現れた木をルシアが強力な溶解液で貫通させた。

その穴をくぐりハルトとルナの二人がデメテルに近づく。


一瞬早く前に出ていたハルトとその後ろにいるルナを直線に捕えてデメテルは今度は鋭い竹のような植物を無数に召喚した。

高速で伸びる竹がまるで無数の槍のように正面を進むハルトに襲い掛かる。

いくらハルトと言えど、この数で刺されたら流石に無事では済まないだろう。


だが空中にいるハルトは今更方向転換も回避も出来ようはずもなく、無情にも無数の竹がハルトの体に襲い掛かった。


しかし、ハルトに当たったかに思えた瞬間、無数の植物の槍は粉々に砕け散っていく。


「残念。1手遅かったなデメテルさん」


無数の植物の槍はハルトの正面に突如現れた巨大な大盾にすべて防がれていた。


ふぅ。

創造出来て助かったぁ。

ローガンさんの大盾を見て無かったらこんな盾いきなりイメージできないし詰んでたかもしれないな。

とりあえずこれで完全にデメテルは無防備になったな。


「あとは頼んだぞ!ルナ!」


「お任せください!!」


ルナはハルトが出した盾を目隠しに使い、デメテルの足元まで潜りこんでいた。


大きく引いた両腕に力を込めてルナはデメテルを思い切り引っ掻いた。

すると交差した巨大な爪痕がデメテルを襲う。

流石にゼロ距離まで近づかれたうえで、最強種であるキャトランの強力な近接攻撃を受けてはひとたまりもない。



『ガハッ!!あぁぁぁ!!!この私が……』


「あれは……威力はけた違いだが、俺のクロスリーパーそっくりだ……」

ルナの技を見てルッツが驚いていた。


「ん?ルッツさんが前に見せてくれたのを真似してみたら出来ちゃった♪」




「見よう見まねで人の、しかも違うスタイルの技を模倣して使えるとは……」


「流石最強種ってところか……」


ケビンとベンゼルは呆然としていた。



「デメテルさんといったかしら?まだ息があるみたいだけどどうするの?この人って人なのかしら……?」


『……私はひとでは……ありません。賢者によって召喚された魔力体に近しい存在です』


「その賢者ってなに?」


『人々が再び歩み困った時に、力を磨き託せるようにとダンジョンを造り、我々24柱の力を持った眷属を召喚し後世のために残した方です。人の世ではもう数千年前の話でしょうか……?』


ハルトはエラルドやケビンの顔も見たが、二人とも知らない話のようだ。

「賢者と貴女たちについて詳しく教えてもらえるかな?」


『勿論お教えいたします。柱の眷属を破ったものにはダンジョンの全てを差し出す約束です。賢者とは万物を作り出す力を持った存在です。そしていずれ必ずこの力が必要な時が来るといい、私達に力を託し24のダンジョンにそれぞれ配置しました。私達は人の創造から賢者の力を使い生み出された24柱の偽神。ダンジョンの踏破者が現れるまで各ダンジョンの最奥で待ち続ける番人のような存在です』


なんでも作り出せる力?それって俺の力に似てるような……。

でも俺の力でこんなデメテルみたいな存在を作り出せるとはとても思えないな。

もっとすごい能力者が過去に居たってことか?

実際この世界の神様だったり?


「それで、何故賢者さんはそんな力を残したんだ?」

『賢者はある程度先の未来を知ることができました。こうなることを読んでいたからだと言っていました』


「!?」

全員それを聞いて驚いた。


なんでも作り出せて未来も知れるとかただ物じゃないな……。

この状況を知っていたということは邪な者にも力を奪われる可能性があることも知っていたってことか。


「魔族の悪い奴らもダンジョンの力を求めているらしいんだけど。デメテルさん達で与える物を制限したりはしないの?」

『どんなものが来たとしても力を示したものに能力とダンジョンの権利を授けるように言われています』


うーん。

賢者さんどっちの味方なんだろう……。

もしかしてマナリスの味方だったりしないか?


「大体の話はわかりました。それでデメテルさんの持ってる力っていうのは?」


『私の力は豊穣の力です。先ほど私が使ったように魔力で植物を操ったり成長を操作し田畑や大地を豊かにすることができます。私を倒した貴方にその力を授けます』


「え?わたしですか……?魔法とか使ったことないのですが……」

ルナは自分を指さしながら戸惑っていた。


『大丈夫です。貴方には魔法の素養がおありのようです』

「そうなんですか……?」


デメテルは光の球になりルナの前に飛んできた。


「わっ!?びっくりした」


『では私の力を貴方に託します。力を求めし者たちよ。世界をよき方向へ導けることを願っております』

最後にデメテルはそう告げると、ルナの胸に飛び込み同化して消えてしまった。

ルナの胸にデメテルだった光の玉が飛び込んだ瞬間、ルナの体が淡く光ったが、すぐに光は収まっていった。


「ルナ……?大丈夫か?何か変わったところはあるか?」


「んー?わかんないです……」


「魔法は使えそうか?」


「うーん……」


そもそも魔法を知らないルナは何がどう力を得たのか、自分でも分かっていないので困惑する様子を見て全員頭を抱えた。


ルナに止めを刺させたのは失敗だった?のか……?

せめて魔力を感じとることができ、魔法が使えるといっていたルシアにとどめを刺させていれば……。

ハルトは少しだけ後悔していた。

そんなハルトの心配を感じ取ったのか、肩をルシアがぽんと叩いて慰めた。


「大丈夫。ルナはやればできる子」


「ルシアちゃ~ん!ありがとう!!よくわからないけど私頑張ってデメテルさんの力を使えるようになるよ!」


ルナは唯一味方をしてくれたルシアに飛びついた。


「そうだな。魔法のことは俺もよくわからないからこれから一緒に学んでいこうか」


「はいっ♪」




こうしてデメテルの力も得たので最奥まで皆で進んでいく。

するとそこには強い魔力を発する真っ黒なオーブが浮かんでいた。


「これがデメテルの言っていたダンジョンコア……だよな?」


「アスタロトが言っていたダンジョンの制御装置とはこれのことかしら?」


「これどうやって持って帰るんだ?これを取ったらいきなりダンジョンが崩れ出したりしない……よな?」

ハルトが振り向くと皆、触りたくなさそうに両手をあげた。



「俺にやらせる気かよっ!……わかったよ。どうなっても文句言うなよ?」


ハルトは恐る恐るオーブを手に取った。

するとオーブから発せられていた力はスーッと収まっていった。


「ふぅ。何も起きないようだな……んじゃ帰ると――」

ハルトがそう言いかけたとき、嫌な地響きがなり始めた。



「まさか……」


全員恐る恐る天井を見上げる。

すると急に天井が崩落し始めた。


「ぎゃー!!結局こうなるのかよ!!皆急いで脱出するぞ!!」


「つってもここ地下10層だろう!?間に合うのかよ!?」


「そんなこと考えてる場合じゃないだろう!!とにかく逃げるしか!」



皆が慌てている中一人だけ冷静に立ちつくし慌てる皆を眺めている者がいた。


「おいルシア!何のんびりしてるんだ!逃げないと!!」


「だって―――」


「だっても糞も無い!早く逃げないと皆がれきの下敷きに――」


「ハルト様がアルレンセスと行き来できるドアをここに出せばいいのでは?」


「…………」


ハルトは掌を拳で叩いて、その手があったか!と頷いた。


「なるほど」


「なるほどじゃねー!のんきなことやってねぇで、なんでもいいから早くしろぉぉ!!!」


「ベンゼルうるさい!大きな声で騒ぐな!」


「うるさいな!俺も切羽詰まってたんだー!」



ハルトはアルレンセスに繋がる扉をイメージして目の前に出現させた。

流石にもう何度も使っているので扉はイメージするだけですぐに出せるようになっていた。


「よし!みんな急いで!!扉の中へ!!」


こうして全員何とか扉に逃げ込み難を逃れることができた。


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