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36敗走と計画



「俺の計画を潰したお前が悪いんだぞ」



 勇者ニューインズはしゃがみこんで僕に囁く。

 計画――――ドンクの薬物実験のことか?



「スターシャ」

「なぁに?」

「証拠は残すなよ」



 勇者が吐き捨てると不気味な笑みを浮かべた2人が僕に歩みよる。


 スターシャと呼ばれた女はアハハと笑いながら大きな目を細める。

 手際よく僕を解体した短剣をクルクルと回して遊ぶ。



「ねぇあなた何考えているの? これから死ぬ感想を聞かせてよ」



 近づけられた顔は整っているが中身は相当イカれているようだ。

 顔をよせたせいで肩につくほどの髪が僕の顔をくすぐる。

 黒色だと思っていたがよく見ると濃い紫色。



「もう僕に関わらないでくれ。僕は僕と友人の命を失いたくないだけなんだ」

「アハハ! 無理よムリムリ、ニューインズくんに目をつけられたら死ぬしかないの。彼は正義、正義は彼」



 技能か洗脳かはたまた忠誠によるものなのかスターシャは心のそこからニューインズに心酔しているようだ。



「ちょっと待つぞな! それはワシの物ぞな!」

「お前にはもっといいのをくれてやる」



 割り込もうとしたヤンをニューインズが制すと、汚い笑みをうかべ下がる。

 計算通りと言ったところなのだろう。



「じゃあ、さ・よ・な・らっ」



 短剣を握りこんだスターシャの瞳は僕の心臓をとらえる。

 空気を切り裂く短剣をみて、とっさにすりぬけを発動させようとしたが、短剣は僕に届かず静止した。



「な、なにをやっとるぞな! ジャスト!」

「わかりません。ですがこの罪人……こいつが罪人と思えなく……」



 大剣が壁となりスターシャの顔は見えないが感情把握でわかる。

 真っ赤に染められた心が深い深い黒に変わっていく。



「殺すよ?」



 大剣の側面を短剣が滑りジャストの頬をかすめた。

 異なる魔力性質に対して絶対の防御を誇るジャストの皮膚から赤い血が滴る。


 僕を抱えジャストが飛び退く。



「今の」

「ああ、ダメージを負うはずはないんだがな」



 スターシャの技能か?

 あんなに苦労したジャストの技能を簡単に攻略みせたスターシャに言い様のない不気味さを覚える。


 ジャストの傷に異常さは感じない。

 だがなぜだろう。スターシャからはニューインズに似た気配がみえる。


 逃げろと直感が叫ぶ。

 無惨に破壊された義足をみて奥歯を噛む。



「お前は罪人か?」



 先程まで死力を尽くして戦っていた相手が僕に問う。

 一瞬意味を理解できなかったが、違うと答えると瞳に力がこもり僕を庇おうと言う気概が読み取れた。



「きゃはっ! ニューインズくんとあたしを前にして逃げられると思っているの?」



 真っ黒だった感情は意図が切れたように楽観的な色へと変わっている。なんなんだこの女は。



 僕が疑問を浮かべると同時に金属がぶつかる音が響く。



 スターシャの一撃をジャストが防いだ形だが眉をひそめるジャストに余裕は感じられない。



 息をつく間もなく短剣が首を狙う。


 同時にジャストも大剣をもちあげる――が金属音は響かずくぐもった声が空気をゆらす。



「どうやって……」

「見えるんだよね、未来」



 一言放ったスターシャは踊るように切り刻む。


 懸命に身を守るが短剣の勢いがおとろえることはなく、ジャストの膝は地についた。


 身体のいたるところから流血している。



「とっどめーっ!」



 とびかかるスターシャに全く反応できていない!



 やられるっ!



 ……



「あーしのハルクに触んな!」

「あんただーれぇ?」



 縦横無尽に踊っていた短剣が止まっている。

 リリの技能――結界だ。



「今のうち!」



 リリの視線を受けたジャストは小さくうなずき僕を肩に抱え走り出す。


 小さくなるリリの背中。

 やめてくれ。僕はもう失いたくないんだ。



◇◇◇



「ニューインズくん、こいつスタちゃんの反転が……」



 終始無表情だった勇者ニューインズが目を見開き笑っている。

 長年探し続けたものが見つかって興奮したように手を伸ばす。


 リリの結界はニューインズを拒むことなく受け入れる。

 信じられないとばかりに目を丸くするリリの首をつかみ嬉々として声を放つ。



「ついに見つけたぞ。失踪聖女!」



 腰にさげた聖剣をゆっくり抜き、勇者は聖女の腹部を貫く。

 聖剣をつたうリリの血を舐めたニューインズは確信にいたる。



「間違いないこれが聖女の血! おんな、俺のものになれ」

「あんたみたいな完璧人間はごめんだ」



 力ない目でニューインズを睨み付けたリリは顔に赤い唾をはく。



「こいつ!」



 肩を怒らせたスターシャを片手で制止。

 ハルクを追う必要もないと告げ不気味に笑い帰路へつく。


 ハルクを殺せなかったヤンもまたニューインズの底しれなさに笑い心酔した。

 もはやハルクなどどうでもいいのだ。



「計画を再構築するぞ」



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