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30ディーナーとドンク


「んぁ? なんだこれ」



 目を覚ましたドンクは視線を泳がし、僕と目があったところで自分が半裸で拘束されていると気づいたようだ。



「解放してくれ、なんでこんなことをするんだ?」



 衣服を使った拘束だが簡単には抜け出せないだろう。



「ドンクは毛だらけの化け物を知っているでしょ?」

「毛だらけの化け物なんて知らない」

「へぇ、なら捕らえた冒険者に毒を射っているんでしょ?」

「毒ってなんのことだ?」


「まさか殲滅部隊ももう全滅しているのか?」

「いやだから――――」



 無造作に質問を投げつけ僕は感情を読む。

 見事なまでに真っ黒。



「嘘は無駄だよ。そういう技能がある」

「……ハッタリって顔じゃねぇな。で俺をどうするつもりだ?」



 冷や汗のひとつもこぼさないドンクを見ていると胃のあたりがキリキリと痛む。


 状況を理解できていないのか?



「お前は師匠の仇だ。リリも殺されかけた。なぜ化け物をつくる? なぜ師匠は死ななくちゃいけなかったんだ!」

「ハルクっていったか? お前はバカだ。他人のために俺みたいなイカれたやつに近づいちゃいけねぇよ」



 少しまえの僕なら同意見だっただろう。

 でも師匠を失った痛みは手足を切り落とされた痛みより大きかった。

 そして今もまだ締め付けるような痛みが胸に残っている。



「命をかけてでも守りたいものをお前は奪ったんだ。質問に答えろ!」

「さあな、死ね」



 氷のように冷たい言葉が届くと同時。

 ドンクの背後の壁が崩れさり毛だらけの化け物が現れる。



「化け物、まだいたのかっ」



 ドンクが自身の拘束をといている間にも化け物が奥から現れ、12体の黒い毛の塊がドンクを囲う。


「こいつらはディーナー。化け物なんて頭の悪い呼び方をしないでくれるか?」



 先手必勝。

 僕は魔石爆弾を3つ天井にむかって放る。


 赤くかがやく魔石は3つ同時に轟音を奏でた。

 衝撃に耐えかねた天井は崩れ落ち、土煙となりこの場にいる全員の視界を奪う。


 僕の『感情把握』は一定範囲内の感情を読み取るため視界が奪われても機能する。


 火照った手で感情が存在する方向へ魔石爆弾を投擲し何度も炸裂させた。


 残る感情はひとつ。

 土煙が晴れ目を見開いたドンクの姿があらわになる。



「ディーナーを完封とはな。殺すつもりだったがやめだ」



 唇のはしをつり上げ悪魔的に笑うドンク。

 すると新たに5体のディーナーが現れる。



「実験動物になってもらうことにした」

「無駄だよ。ディーナー?はもう攻略した」

「それはどうかな、お前が今まで倒したのはほとんどEランクやDランクを素材にしたディーナーだ」



 新たなディーナーの胸元のプレートが白く輝く。

 リリと同じプレート――――Aランク冒険者の証。



「ディーナーは素材良し悪しで質が決まる。そして、つい先日いい素材が手に入った。俺はラッキーだぜ」



 いやな汗が頬を伝う。

 話をききながら魔石を手に取る。

 残りは13個。



「Eランクの雑魚から生まれたディーナーが束になろうともAランクディーナーには敵わ――――」



 話し終わるまえに魔石爆弾が宙を舞う。

 しかし一体のディーナーが魔石を手で弾き、なにもない場所で爆風を起こしてしまう。



「くっ」

「そんな顔をするなよ。Aランク冒険者に投擲が通用しないのと同じだ。雑魚とは反応速度が違う」


「ゴロスッ」

「いつの間にっ」



 背後から声が聞こえ飛び退くと僕のもといた場所が粉砕された。


 気づけなかった。

 『感情把握』の網にかかったと気づいたときには背後にいたってことか!?



「どうしたどうした。逃げていても勝ち目はないぞ」

「ああ分かっているよ。だから仕込んでおいた」



 突如ディーナーの足元に転がる石が赤く発光し、爆発。

 その爆発はたとえAランクディーナーであっても容赦なく肉体を破壊した。



 魔力使いの技能『性質形状操作』

 糸状にした魔力を足元に張り巡らせ、触れた魔石へ魔力を注ぎ込んだだけだ。

 意識が向いていなければ避ける考えすら浮かばないだろう?



 次々とおこる爆発に一歩後ずさったドンクは頭を抱えた。



「くそっ! お許しくださいニューインズ様」



 ニューインズだって?

 勇者が絡んでいるっていうのか?



「クソ冒険者風情が絶対に殺してやるからな」



 瞳に焦りを抱えたままダンジョンの奥へ走り出すドンクを追いかけたいが僕は踵をかえす。

 僕の背後にまだ生き残りがいるからだ。


 肉塊と化した死体を押し上げ無傷のディーナーが這い出てきた。

 どうやら他の個体を盾に爆発から逃れたらしい。



「知能があるのはやっかいだな」



 残る魔石はふたつ。

 魔力の糸と組み合わせても勝率は五分ってところか。

 意を決した僕が構えたその時。


 どす黒いナニかを感じた。



「なんだ……これ」



 ドンクが逃げた先の暗闇から言い様のない負の感情が流れてくる。

 胸が苦しい。

 あまりの感情に息をわすれていた。



「どこを見ている」

「――――っ」



 背後からの声に飛び退き振り向くと、絶望をまのあたりにしてしまう。

 黒い感情のかたまりにディーナーが捕まっている。

 ディーナーははち切れんばかりに筋肉を膨張させ抵抗しているが頭を噛みちぎられるたびその力を失っていった。



「ハルク。お前には礼を言わねばならんようだ」



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