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29新しい力と殲滅部隊


 師匠が死んだ原因だって?

 額にしわをよせリリをじっと見つめる。



「師匠はゴブリンに殺されたんだ。それ以外に原因もなにもないだろう?」

「あるよ。お師匠さまを殺したゴブリンはダンジョンから逃げてきたから」



 思い出したくない。

 もうやめてくれ。



「あーしたちが戦った化け物から、ね」

「なんでそんなことがわかるの?」

「お師匠さまが亡くなる少し前からダンジョン外の魔物が増えていたの。ダンジョンを中心にしてね」



 でなければ師匠があっさり死ぬはずがない。

 イレギュラーだったんだ。



「そして化け物は何者かによって作り出された。」

「もういいんだ! 失ったものは戻らない。それよりもリリまで危険にさらしたくない」

「あーしは簡単に死なない。それにずっとつらそうなハルクを見ていられないの」


「じゃあ見なければいい」



 リリから目をそらし僕は黙り込む。

 しきりに唾をのみ込んだせいか喉が渇いて仕方がない。



「ハルクのバカ!」



 吐き捨てるように一言を放ってリリは口を結ぶ。

 街の喧騒だけが僕たちを包み、無言に耐えかねたリリは踵を返した早足でさっていった。

 これでいい。


 師匠の仇は僕ひとりでとる。

 いつの間にか血に濡れていた左手をほどき足を引きずるようにダンジョンへ向かった。



 ◇◇◇



 2ヶ月前にはなかった立ち入り禁止の看板を無視して奥へと進む。

 今は領主からの依頼で魔物の殲滅作戦が行われているという。


 魔素が濃いのもそれが原因だろう。

 やたらと滴り落ちる水滴に眉をひそめるが仕方がない。


 殲滅部隊と遭遇しないように痕跡を念入りに確認する。

 もちろん魔物の痕跡もだ。

 師匠は死んだがこうして教えてもらった技術は僕のなかで生きている。

 だからわざわざ危険に身を投じなくてもいい。

 そう考えたときもあった。


 でもやっぱり師匠の仇は僕がとらなくちゃいけない。


 本当の意味で僕を生かしてくれた師匠を殺したやつを見過ごせるほど僕は上手くできていなかったようだ。



「いるな」



 わずかだが不自然に削れた壁面と血の匂い。

 前回と同じ毛だらけの化け物の気配だ。

 正面の丁字路を左に曲がったところにいる。


 汗ばんだ手でもってきた紫色の魔石を手にとり、丁字路を覗く。

 毛におおわれた背を向け歩く化け物が2匹。



 僕の新しい力がどこまで通用するのか試させてもらうよ。



 音を立てないように駆け出し化け物の足元で飛び上がる。

 紫色の魔石に魔力をこめると一瞬で赤く色をかえ発光する。



「魔力爆弾。低コストバージョンだ」



 光に気づき振り向く顔を拝むまもなく魔石は炸裂し轟音と閃光を撒き散らし化け物の頭部を消し飛ばした。



「よし、完璧だ」



 成功に鼓動が少し速くなるがまだ一体残っている。

 土煙が薄くなると僕に向かって手がのびてきた。

 すでに目の前にまで迫った手を避けることなく突っ込む。


 しかし手は空気をなぐりつけただけだった。

 手応えのなさに疑問を浮かべる化け物。


 残念、僕はお前の腕のなかにいる。

 逃亡者の技能『すりぬけ』によって腕のなかを走っていた。


 あとは魔石爆弾を放り込んで終劇だ。



 なんなく化け物たちを始末した僕は土埃をはらいながらソワソワする胸をおさえる。



「やれる。僕ひとりでも」



 魔石爆弾は消耗品だが念入りに30個ほどもってきている。

 技能も充分につかえる。

 結局なんで職業が増えていたのかわからないが使えるものは使う。



 それにしても殲滅部隊の痕跡が一切見当たらないのはどういうことだ?

 足跡もなければ新しい戦闘の跡もない。



「ん! 冒険者か?」



 ミスリルの鎧に身を包んだ30過ぎの男から無作法に声をかけられた。

 よくみると短い無精髭で顎と頬がおおわれている。



「そうですが、あなたは?」

「俺はドンク。殲滅部隊として派遣されたが仲間とはぐれちまったんだ」



 つぶれたような声はとても聞き取りづらいが僕にはわかる。

 ドンクは嘘つきだ。

 感情が真っ黒に染まっている。


 心理士の技能『感情把握』のまえで嘘は無意味。


 わざとらしくちらつかせるSランク冒険者のプレートもドンクのものではないのだろう。



「僕はハルク。他の殲滅部隊は無事だと思いますか?」

「あぁたぶんな。とりあえず俺のキャンプまでこいよ歓迎するぜ」



 さて、どうしたものか。

 ついていけばドンクの腰にぶら下がっているナイフを突きつけられるのだろう。

 危険は避けたい。


 しかしおそらくドンクは真相に近い男だ。

 同行すれば有益な情報を得られるだろう。



「どうする?」



 黙りこんでいると答えを急かされる。

 無意識に噛んでいた唇を解放し決めた。



「めんどくさくなっちゃった」

「あ?」



 僕はドンクの顔面に義肢装具の拳をめり込ませた。

 白目をむいたドンクを見下ろしながら体が軽くなるのを感じる。


 スッキリスッキリ。

面白くなりそう!

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