22復活公演と呪い
【奴隷商ヤン視点】
「なんとか奴隷の数は戻ったぞい」
建て直した奴隷小屋へ入っていく奴隷をみて、つい喜びが漏れてしまった。
ハルクが逃げ出した大火事で減った奴隷は今補充した。
奴隷のほとんどが逃げ出すか死んでしまったが、なんとか立て直しに成功ぞい。
おまけに焼け落ちた髪も元通りぞな。
「やっとここまで帰ってきましたね父上」
自信と誇りを取り戻した目でチンがワシを見つめる。
「金さえあればどうにでもなる。ハルクの代わりも手に入れたしな」
「ヤン様、そろそろ開演の時間となります」
「そうか、どれどれ」
舞台袖から客席を覗き見ると仮面を被った富豪たちがいまかいまかと開演を待ち構えている。
金づるどもも商品も揃った、これで完璧。
よしよしよし!
腰を低く舞台袖からワシが登場すると拍手が鳴る。
変態どもめしっかり金をばら蒔いていくぞいよ。
「ながらくお待たせいたしました! 見世物小屋ヤン、完全復活となる今日は大量の奴隷たちを使っての特別公演となるぞい! みなさまたっぷりお楽しみくださいぞな!」
一度止んだ拍手が勢いをまして鳴り響く。
大成功まちがいないぞな!
「それでは最初からとばしていくぞな! 四肢を失った奴隷の登場!」
台車に乗せられた奴隷がひとり舞台にあらわれる。
ハルクの代わりに用意したこいつが適当に動くだけで金が飛ぶ――――ハズだった。
身をよじりなんとか動く奴隷。
しかし、なぜかハルクの時のように興奮しない、嗜虐心がかきたてられない。
同じく冷や水をかけられたように熱気を失う客席。
「前はもっと面白かったのになぁ」
「ただ転がっているだけじゃん」
まずい、これじゃ悪評がたってしまうぞな!
ワシがなんとかするぞな!
舞台にでて奴隷を蹴りあげる。
しかし金が飛び交うハズの計算は大きくハズレ、予想だにしない言葉がとぶ。
「引っ込めデブ!」
「金返せ! 払い戻しは開演から十分までだったろ」
「私も払い戻しを希望しますわ」
「ハゲはしゃしゃりでてくるな!」
「ハゲてないぞい! このフサフサの毛をみるぞな!」
時間をムダにしたとワシに罵声をあびせる。
続々と表れる払い戻し希望者に収拾がつかない。
対応に追われているうちに日が沈んでいく。
幕を下ろせば手元に金はなく。
収入があったとすれば奴隷を哀れにおもった数奇な富豪が奴隷を購入した分くらいだ。
即座に収支を弾く。
運営費や奴隷のエサ代で赤い文字が刻まれる。
「白金貨10枚分の赤字だと!? あり得ないぞな! なぜぞな、ハルクよりひどい状態の奴隷まで作ったというのに!」
「あんたがヤンさんかい?」
黒い服に黒いメガネの男がワシの肩をつかむ。
まずい、まずいぞ。
「奴隷のレンタル代。今日まとめて払ってくれるんだよな?」
「いや、あの、それは……」
復活公演を成功させるために奴隷が必要だったが、大量に購入する金がなくレンタル契約としていた。
そして払えるハズだった。
復活公演は白金貨50枚の黒字予想だったのだから。
「まさか払えねぇって事はねぇよな?」
「もう少し待てないぞな?」
「世の中そんなに甘くねぇんだ。身体に教え込ませてやろうか?」
「ひっ! わかったぞな、なんとか払うぞな!」
レンタル契約を全て解除し、家財や見世物小屋も売った。
チンの嗜好品や服、ワシの大切なカツラまでも売り払った。
そうやってなんとか金を工面し危機を脱する。
一文無しとなったワシはチンとたちつくす。
「父上、これから俺たちどうなるの?」
「ワシが聞きたいくらいぞな」
なぜ? どうしてこうなった?
大火事。全てはあの日から始まった。
ハルクさえ大人しくしていれば、惨めな思いをすることはなかったのだ。
そして呪った。
三肢を持たない奴隷を呪った。
「必ず見つけ出して、死ぬまで働かせてやるぞな」
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