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21魔力と契約


 ボトムズと初めて冒険者ギルドにいったときおしえてもらったランク制度。


 冒険者のレベルに応じてFからAとSでランクわけされ、皆そのランクに見合った依頼を受ける。


 Aランクは「特別な魔物以外をソロ討伐できる実力」であればなれるらしい。


 ちなみにFランクは見習いだ。



「ほんとにAランクなの?」

「ほんとほんと!」



 いそがしく胸をまさぐったリリの手元には「A」と刻まれた白金のプレートが握られている。



「なんなら試してみる? あーしに一発いれてごらんよ」

「じゃ遠慮なくっ」



 ためらいなく右半身を狙い踏み出すとリリの警戒色が右半身へ移動しているのがみえた。

 左へ避けるつもりだ。

 ならばと狙いを左へかえるとリリが目を見開き――――消えた。



「ざんねーん。ハ・ズ・レっ」



 背後から弾んだ声が聞こえる。

 すかさず手の甲を固め、身をひねり背後を強襲するがブンと空を切る音がむなしく響く。


 あたらない。

 僕の動きをみてから避けている。


 緩急をつけたり、砂を投げつけたり、いろいろな手で一発を狙うが一切当たらない。


 もはやどこにいるかもわからない。

 おそらく常に背後をとられ続けているのだろう。



「どお? 強いでしょ!」

「確かに強い。勝てる気がしない。でもそれは職業の力だ。僕が身につけられるものじゃない」



 有職業は身体能力が上昇する。

 剣士でも商人でも幅は違うが上昇する。

 でも無職は違う。



「なんで? ハルクも職業あるでしょ?」

「リリには言っていなかったね。僕、無職なんだ」

「嘘でしょ。今の動きが無職のハズないじゃん」

「そう言われても無職だから捨てられて、こんな状態なんだよ」



 おどけるように手足をヒラヒラと振る。



「それもそうか……でも納得いかないわ」



 感情の色が見える話は伏せる。

 ガンバスたちには言ってしまったが、どうも普通は出来ないみたいだから。


 リリは人をモノ扱いする異常者。

 利用されるのを恐れたのだ。



「じゃあ話は終わりだね」

「あ、待ってわかった! 無職でも大丈夫よ。ちゃんと鍛えられる!」

「どうやって?」

「そもそも、身体の一部を失っているハルクに身体能力向上効果は薄いわ。だから職業にあまり関係ない魔力を鍛えるの」



 目から鱗が落ちる。

 なんで気づかなかったんだ。

 僕の身体はほぼ作り物。

 義肢装具は身体能力で動いていない。

 動力源は魔力だ。



「ちなみにどうやって?」

「毎日、魔力が枯渇させるの。それもなるべく一気にね」

「義肢装具をつけた僕にぴったりな鍛え方ってわけだ」

「どう?」

「気に入っちゃったよ」

「やった!」



 ピョンピョンと跳ね回るリリをみて僕は少し警戒心を緩める。



「改めて契約しよう」

「ハルクが彼ピッピになって」

「リリが僕を鍛える」



 身体の中に炎が宿ったように、僕の心が熱くなる。

 進めと急かす。


 同じく熱を宿したガンバスが店からでてくる。

 しっかりと握りこんだ鉄拳を僕の頭に振り落とすと熱を発散するように言葉を放つ。



「店の前で暴れてんじゃねぇ! 客が逃げちまうだろうが!」



 すると店内からグレースの声が続く。



「オヤジ! 静かにして! お客さんが逃げちゃう!」

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