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20別れと出会い


 ボトムズ師匠が死んだ。

 息もしていないし鼓動もとまってしまった。


 涙はでない。

 たかが4ヶ月すごしただけ。


 でもなんだろう? 胸が痛む。

 ギリギリと締め付けられるような痛みが僕を襲う。

 時間がたつほどに強く締め付けられる。


 肺に穴でもあいたかのように呼吸がうまくできない。


 痛い痛い痛い。


 苦しい苦しい苦しい。


 心が死んでしまいそうだ。



 なぜだ?

 なぜ師匠は死んだ?


 決まっている。

 ゴブリンをあしらえないほどに僕が弱いからだ。


 決まっている。

 ローブを被った師匠の表情を読めなかったからだ。


 奴隷時代と変わらない、命を繋ぐ稼ぎができただけ、降り注ぐ理不尽は僕を攻撃し、僕は諦めるしかない。


 そして心を殺されながら生きていく。



 ダメだ。


 ダメだダメだダメだ。



 強くなってやる。



 どんな理不尽が振り下ろされようとも受け止め砕く力を手に入れるんだ。



「師匠。ごめんよ」



 師匠がくれた言葉と正反対の言葉を残して山を降りる。


 師匠の分まで換金し終えた僕は魔道具屋ガンバスへ帰った。

 ここ4ヶ月間は師匠と路上生活だったから久しぶりだ。



 店の前には濡れた土のような小麦色の腕を組み、待ち構える赤髪の女がひとり。



「やっと帰ってきたわね」



 燃えるような怒りの色に包まれた派手な女が僕を睨んでいる。



「あの、どちら様でしょうか?」

「かー! やっぱり! 忘れてるじゃん!」



 赤い髪がわしゃわしゃとかき混ざるとマグマみたいに髪が踊った。



「あーしよ。あーし。リリよ」



 リリ


 リリ?


 リリ??



「あー、その節はどうも」

「ぜったい思い出してないでしょ」



 なんなんだ。僕はヘトヘトなんだよ。



「この店! 魔道具屋ガンバスをあーしが案内してあげたでしょ!」


「……あー! リリ!」

「やっと、思い出したわね。あー、手足なんてつけちゃってせっかくの可愛さが台無しよ」



 思い出した。

 僕をペットにするといっていたサイコ女だ。

 ふと目線をあげると目が合う。



「約束。なんで破ったの?」



 約束。そうだ寝泊まりする場所がわかったら教えるんだった。



「ごめんよ。ここ四ヶ月は路上生活だったんだ」



 理由を説明するために師匠のことを話した。

 頭によぎるのは自責の念。



「僕が残っていれば、師匠を見殺しにしたようなもんだ」

「え? それは違うよ」



 あきれたようすのリリが告げる。



「冒険者は自己責任なの。そのうえ師匠さんは『逃げろ』っていったんでしょ? ならそれは師匠さんが判断を誤ったってことよ」

「でも残っていれば結果は違ったかもしれない。判断を間違えたのは僕だ」

「わかってないわね。ゴブリンがいる山に踏み込んだ時点で間違っていたのよ」



 僕の額に指をあてるリリ。



「よーく考えて。そもそもゴブリンの繁殖期に山に入るべきじゃなかった。パーティーの戦力と危険度を考えてなかった師匠さんが愚かだったのよ」


「いっていることはわかる。でも僕が立ち向かわずに師匠が死んだことは事実だ」

「そうね。でもパーティーリーダーの指示は守るべきよ。統率をなくしたパーティーはだいたい全滅する」



 僕が残っていれば共倒れになっていただけだと暗に告げる。



「ま、ともかく約束の件がわざとじゃないのなら、許してあげる」



 許すといったわりに頬を膨らませている。

 これなら僕じゃなくても感情がよめるぞ。



「で僕になんのよう?」

「あーし考えたの。モノ扱いするのもペット扱いするのもダメ。ならさ」


 

 嫌な予感に眉が歪む。



「あーしの彼ピッピになってよ!」



「彼……ピッピ?」

「一緒に楽しいことを共有する特別な人ってこと。あーしの部屋に泊まるのもあり!」


「ははっ、遠慮しておくよ! さよなら!」

「ま、待ってよ!」



 無理やり話を終わらせて誤魔化す作戦は失敗したと、つかまれた左腕が報告してくる。


 要するに彼氏になってほしいと。

 お付き合いしようという申し出だが、不気味すぎる。

 弱い僕に対した価値はない。

 せいぜい薬草採取ができるくらいだ。



「なんで僕にこだわるのさ」

「一目みたときキュンってきたの! 左腕だけで必死にもがく姿に、その不完全さに! きっとこれは運命なの!」


「結局、リリは僕をコレクションにしたいだけだろ。モノ扱いしているのと変わらないよ」



「違うよ! あーし考えたもん!」

「話は終わりだよ。君がどう思おうと僕にメリットがない話を受けることはない」

「メリットならあるわ」

「例えば?」

「美少女リリちゃんと付き合える!」

「さよなら!」

「待って!? そ、そうね……」



 顎に小麦色の手をあて、うーんと考え込むリリ。

 十秒ほどして明かりのついた電球のように表情を明るくする。



「あーしが鍛えたげる!」

「君が? 強いの?」



 リリはドンと胸を張り鼻息荒く答える。



「強いよ! Aランク冒険者って呼ばれるくらいにはね」


面白くなりそう!

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