惜しまれるコピペさん。旅立ち
コピペが今晩限りで辞めると聞いた店長は、がっくりと崩れ落ちた。
バイト達も涙を流して惜しんでくれた。
しかし、コピペもびっくりのオーバーリアクションで別れを惜しんでくれたのは誰よりもお客さんたちだった。
最後だからと歌って踊って盛り上げたのだが、ひっきりなしに
「ぎゃー!」
「ぎゃー!」
「神ー!!」
と、叫び通しだった。本当に引退ライブみたいだ。
今夜で終わりらしいぜ、行くしかないぜ、と口コミで広がり、収集がつかない有様になった。
騎士たちや冒険者たちまで駆り出される始末。
そんな中、「コピペと名乗るミュージシャンがいる」「神DJがいる」と聞き、様子を見に来ていた、ダ。
遠くから見るのが精いっぱいだったが、
「いや、あれは違う」
と、言った。
あれはもっと、落ち着いたほんわかとした奴だった。
間違っても、頭を上下に振って、すごい形相で叫び続けたりしない。
別人だ。
明日、チンチラを出発するときには必ず見送りに行くから、口々にそんな約束をしながら、仕事は無事どうにか終わり、最後に店長が
「色付けてあっからよ」
との言葉とともに今までの給料を。
見ると金貨二枚!
神ですか。
店長、あなた神ですか!!
超大入り袋キタ~~!
-・・・-・・・-・・・-
各組合長、及び、神殿代表者たちは、コピペ達の旅立ちをできる限り、厳かに行おうとしていた。
予定ではワイバーンに騎乗した後、感謝の言葉と共に褒賞金を渡し、いい雰囲気の中、飛び立ってもらおうと思っていたのだ。
後片付けが完全には終わっていないドワーフ街飛行場は使えない。広場に仮設飛行場を設置。そこを会場とした。
まだ準備の段階で、計画は頓挫したことを思い知る。
派手に着飾った若者を中心とする団体が会場の周りを囲み、奇声を上げていたからだ。
彼らはそれぞれ、おそろいの衣装で決めたり、踊ったり、歌ったり、お祭り騒ぎの様相だが、目当てがコピペなのは間違いない。
気持ちはありがたいのだが、これでは出発できない、そう思ったミケは目立たないよう、コピペを神殿から連れ出した。
それとほとんど入れ違いになるように、神殿へと入っていく男がいた。ダだ。
ダは基本に戻ることにし、泉の見学を申し出た。僅かな寄付で許可はすぐにおり、案内の騎士と共に、泉のある中庭へ。すでに、見学者は大勢いた。そして、立ち止まり、行列となっていた。
青く輝く中庭、わずかに風がそよぐ度水面が揺れ、光が拡散する幻想的な光景。
まるでプリズム。
空気さえも清浄に感じる。
深く息を吸い込む。
「おお」
いる。きている。
ダは確信する。
警備の騎士をつかまえ聞く。
「この泉を回復したものがいるはずだ。今どこにいる?」




