現実世界のコピペは異世界人にはハードルが高いのです
レンガ三階建てビル。神殿らしい建物がある。
知っている神殿のイメージとはだいぶ違うが、出入り自由らしい。入ってみることにしよう。
警備らしき騎士が二人ついていたが、呼び止められはしなかった。
神殿に入ってみる。入ってすぐに、案内窓口。広い空間があって、ずらりと一番窓口・二番窓口・三番窓口。
いったいここは何なんだ?
案内窓口の女性がカウンター越しに、
「お困りですか?」
と声を掛けてきた。
「テグウ村からきた。プレーリ・ダという者だが」
「住民登録のご用件でしょうか?」
「住民登録? いや違う。人を探しているんだ」
「三番窓口までお願いします」
言っている意味は分からなかったが、手で三番窓口を指している。あそこへ行けばいいのだろう。
窓口へ行くと、座って待つように言われた。さっきの女性はここに行けと言ったのに何故だ。
隅の席に座るとそこではないという。何故だ。
「次の方」
今度こそ俺だろうな?
目線は俺を見ている。俺らしい。
「人を探しているのだが」
「はい、お疲れ様です。ご家族の方ですか?」
「いや、違う」
窓口の女性は気の毒そうに、ダを見た。
「申し訳ございません。個人情報保護法により、ご家族様以外への情報の開示は、できないことになっております」
こんなに長く待ったのになんでだ!
それなら、もういい、と、せめて宿泊施設の場所だけでも聞こうとすると、神殿でも正規の値段を払えば泊れると、勧めてきた。
こんなところでは休めない、そう思ったダは、断り、民間の宿泊所へ行くことにした。
くたびれたように神殿を出ていくダを見送った女性は、隣の女性に小さな声で言った。
「慣れていないわね」
「そうね」
-・・・-・・・-・・・-
神殿貴賓室で、コピペは、ジュ・神殿長・ミケの三人に囲まれ説得されていた。廊下では護衛の騎士や、神殿在住の神官たちがはらはらしながら、待っていた。
巡礼への出発を早められないかというのだ。
ミケは護衛の立場から。
神殿長は神殿長としての立場から。
そしてジュは、どうせ自分が授業をするならどこででもできるのじゃあないの? という単純な理由からだ。
コピペはバイトを理由に断ろうとしたが、神殿長とミケの
「バイトは充分にいるはず」
に、反論できなかった。
確かに。
最初コピペ一人だったが、今は試験も終わり元の学生バイトも戻ってきているし、新たに5人のバイトが入っている。
いきなり挨拶もせずに辞めるのも忍びない。せめて今夜、一晩だけ行ってくる、で押し通した。
出発は明日に決定した。




