組合長会議は踊る
コピペさんの視点ではない、会議の話が入ります。
コピペさん、ゼミの部屋の壁に貼られているチラシの前で腕組をして難しい顔をしている。チラシには神殿での会議室の用意や後片付けなどの雑事の人手の募集が書いてある。短時間だが簡単な割に時給はまあまあだ。こういう突発的な募集は、たまに神殿の見習い神官用にまわってくる。
夜の居酒屋のバイトが始まる時間にはじゅうぶん間に合いますね。
神官長からお礼をいくらがもらえそうではある。しかしながら、このチンチラ町を出た後、ハムズ王都までは人族の村や町を渡っていくルートしかないようだ。お金は出来るだけ用意しておきたい。物の価値も行く場所によってかなり差があるようだ。ここらへんの知識はゼミで聞いた。
お金のことで冒険する気にはなれない小市民的おばちゃん思考だ。稼げる時には稼いでおく。
「これ、やりたいんですけど」
高位神官の所へチラシを持っていくコピペ。話しかけられた高位神官はギョッとしたように目を剝いてコピペを見た。
「コピペ様がですか」
よく名乗る前に私がコピペだってわかったな。そんなに目立っていたかな。それになんで『様』?
不思議には思ったものの、お願いしますと頭を下げた。
……とても丁寧にお断りされた。なぜだ……。
作戦を練ることにした。
認識阻害魔法を使う。軽くだ。
ちょっと、ぼんやりする程度に軽く、軽く。
……私はコピペじゃありませんよ。誰だったか分らないくらい目立たない新米神官です。
-・・・-・・・-・・・-
朝一で各組合に早馬が廻り、それぞれの組合長が神殿二階会議室に招集された。
ドワーフ鉱石採集・鍛冶組合長、冒険者組合長、神殿長、商業貿易組合長、農業・林業組合長、酪農代表者、町づくり自治会代表・人間街・獣人街各一人ずつ。
「残念ながら、今回もピンク産業組合は欠席だ。会議で決定したことには従うと、伝言があった」
「残念だな」
「うむ残念じゃ」
「早速、本題だ。手元の資料はもう目を通してくれているだろうな。昨夜のドワーフ坑道での落盤事故についてだ」
「事故は防げなかったのか」
「復旧の見通しはどうなっている」
「それは、資料二枚目を見てくれ」
「お、おお、すまん」
壁際に控えている補助神官、バラバラにしてしまっている資料からさり気なく二枚目を探して渡す。
―中略―
「と、言うわけで、鉱石は約一年、他から補うほかあるまい」
「値段が上がるのう」
「商業貿易組合長、どうにかならんか」
「ならんことはないが、値が上がるのはしょうがないのう」




