なんか皆がペコペコするよ?
明け方近く、くたくたになって神殿へ戻ってきたコピペを待っていたのは、ずらりと門の両側に並んだ神官たちだった。
あ、ヤバい、偉いお客さんを待っているのでしょうか。別の入口を探さないと。
くるりと背を向けたコピペを、さっとミケさんが捕まえた。忍び寄る猫のように敏捷だ。
「どこへ、行くんだ。こっちだ」
有無を言わさず、捕まえたままズンズン歩いていく。
「え、いやいや、あの」
両側に並んだ神官たちが、揃えたように頭を下げる。コピペは頭を下げたまま、自動人形のように小走りでサササ……っとその場を通りすぎた。
大部屋へ戻ろうとすると、
「こっちだ」
と個室へ連れていかれた。
一度、奉仕活動で入ったことがある、来客用のいい部屋だ。
「今日からはここが俺たちの部屋だ」
「なんという贅沢を」
ミケの言葉に、コピペは心底呆れた。金もないのに。
「今回のドワーフ街での活躍を感謝しての神殿長からの心配りだ」
「ミケさん……そういう時にはお金でお願いしないと」
親指・人差し指で丸をつくる。そう、銭印。
「俺もそう思い、交渉はしたのだが」
神官長の私室が近いところにあるらしい。ミケさんは、神官長を呼びに行った。
ほとんど待たされることもなく、神官長が部屋にやってきた。ミケさんは、彼に説明させるつもりなのだろう。
神官長はまず深々と頭を下げ(そのせいでコピペは飛び上がったり、頭をぺこぺこ下げたり、妙な動きをしてしまうのだが)、今回の騒動の一件について、礼を述べた。
そののち、説明という名の言い訳を始めた。
チンチラ町では、公的なお金の管理は、各組合で行っており神殿長といえども勝手には大金を動かすことができないこと。
今回のことを通貨で払うとなると小銭というわけにはいかないこと。
今回の件がいくらほどに相当するか、話し合った後、公庫からそのお金が支給されるまで、数日かかること。
だから、とりあえずお金以外で誠意をしめしているわけですか。そんなに気を使わなくてもいいのに。 怒ったりしませんよ。
喋り方まで変わっている。
以前と同じように砕けた、「じゃのう」風でいいのに。
話をしていると時間がたつのは早いもので、神官長は朝のお勤めがあるからと謝罪しながら部屋を退出。
コピペもゼミの時間が近づいたからと、部屋を出ようとすると、何故かジュさんが来室した。
ジュさんは機嫌が悪そうだ。なんなんだ。
ジュさんの説明によると、昨日の泉回復の件のせいでとうとう正式に神官になってしまったらしい。
ジュさんの故郷スナ村からも
「いつまで、見習いやっているんだ」
と急き立てられていた。
泉警備の騎士たちの証言のせいで逃げられなくなってしまった。
「俺は当然、アレ、俺じゃねえよって、言ったよ?」
ジュさんは憤慨している。
「なのに、騎士たちが、アレはジュだったって言いやがった。お前、あの間抜けな祈り、わざとだろ? こうなるように、仕向けたな?」
そんな……。誤解です。
「そんなわけで今日の授業の講師は、なんと、俺。不本意だが、俺。個人授業です。お前も、不本意だろう? ざまーみろ?」
不本意ですー!




