恰好は悪いがチートが使えればいいんじゃない?
「神よ、我々を憐れみ、許し、癒しを与えたまえ」
「神様、神様、神様、お願いします。
この沢山の人々が協力し合って頑張って生きているチンチラ町を顧みてください。
泉の加護のおかげで発展し、そしてこれほど大きな町ができました。ありがとうございます。
このまま何事もなく平穏な日々が続きますように、今一度、力を貸してください。
万が一、魔物が近寄ってきても嫌がって逃げ出すように、泉の加護を増やしてください。
この、石の枠いっぱいまで、たっぷりと、たっぷりと! お願いします!」
どんっ!! という効果音が聞こえてきそうな強い光が走った。
ジュさんの神官らしい威厳たっぷりのお祈りと、コピペのセリフだけは長い欲望たっぷりな祈りの、成果か、泉はみるみるうちに目も開けられぬほどの輝きを増した。
水量は、ふちの際ギリギリ。
今にも溢れ出しそうである。
騎士たちは驚きのあまりじりじりと後ずさり、腰を抜かして座り込んでしまう者もいた。
周囲が青くかすむその有様に、声も出ない。
水面が揺らめき、青い光が幻想的な濃淡をつくる。
「おっしゃー!」
コピペ、ガッツポーズ。
「……マジ、神」
ジュさんの間の抜けたセリフに、
「若者言葉、やめなさいってば」
と、注意する。
一人だけ、空気読めない。
もしここにミケさんがいたら、突っ込みを入れてくれただろう。
「あほ神」
と。
-・・・-・・・-・・・-
その、ミケさんはドワーフ街へ直接話を聞きに行ってくれたようだ。さすがだ。
トロッコ通路は魔素だまりが多いため、調査はなかなか進まないという。「一晩寝る竜作戦」では時間がかかりすぎるだろう。
夕食を食べる暇もなく、居酒屋のバイトへ。神殿から出る途中でミケさん・ジュさんに
「行くのか? 本当に行くのか?」
と聞かれたが、魔物が近づけない今の状態ならほうっておいても、オッケーではないだろうか。
念のため、授業中作成した災害対策マニュアルを渡しておく。あくまでも念のためだ。
神殿の奉仕活動もしていないのに、これ以上、仕事のドタキャンは無理だろう。
何せ、まだ二日目でもある。
-・・・-・・・-・・・-
居酒屋についてみると、なぜか閑古鳥。表の通りにはそこそこ人がいるようなのに何故だ?
「たまたまそんな日もある」
と店主は諦め口調。
いやいや、ベストを尽くしましょうよ。厨房の窓を全開にし、
「スパイシー揚げ鶏ガンガン焼いてください」
匂いで誘い込む作戦。
数人入って来て注文をもらったところで、男女2人組が入店。
今日は彼女の誕生日だと言う。本当は二人しっとりと家でお祝いするつもりが、ついついいい匂いに釣られて入って来てしまったのらしい。
おお、記憶に残る記念日にしてもらわねば。
店長に許可をもらって少しだけいい酒を二人にサービス。
そして、甘いラブソングもサービス。
精霊ちゃん達、ラブソングの使いどころはこういう時なんですよ。分かりましたか?




