閑話
「酒瓶が間に合わないので雰囲気が出なくて申し訳ないのですけどね」
テグウ神官が、木の桶から酒を竹杓子ですくって、竹コップに入れた。
「いや、これはこれで雰囲気ありますって」
村の男はカウンター越しにそれを受け取って、ちびちび飲んだ。
「これがバーカウンターってやつですかい。悪くねえですね」
「一応、懺悔室って名前を付けてます。そう呼んでくださいね」
一言、くぎを刺す。
「本当はこんなスタイルじゃあないのですけど、こっちのほうが喋りやすいと思ったのですよ。それに……」
「それに?」
「いや、なんでもないんですよ。それより、今日はどんなご相談で?」
「いや、うちが前から耕している場所があるんですがね。しばらく人手もないしで、草生やしとったんですわ。したら、後から来たやつがそこを使いだしたんですわ。そこ、俺んとこ、言うたら、いや使っとらんかったとか言い出しやがって」
人が増えると起こりがちな問題だなと、テグウ神官は思った。
出来る限り早く、区画整理を始めないといけないだろう。元テグウ村、対、元シャン村とか、放置すればだんだん問題が大きくなっていく。大きくなってしまってから手を付けても、しこりは残る。
「明日にでも、出向いてきちんと話をしてきますよ。一度、耕した土地は柔らかいですからね。彼らも分かってはいるはずです。新しい土地を開墾するときには、手伝ってくれますよね」
空になったコップに酒のおかわりをそそぐ。
「そりゃあ、もちろんです」
しばらく、世間話や愚痴をこぼしたりして時間をつぶしたが、酒が空になると、男は「お布施」をおいて出て行った。
銅貨3枚と、畑から出てきたという透明なこぶし大の石。
石を明かりに透かして、
「悪くないですね」
テグウ神官はつぶやいた。




