神官ですけど神殿には初めて来ましたよ
「すいません、巡礼中の神官なのですが」
「はい、お疲れ様です。神官様ですとこちらのサービスが受けられます」
何かの用紙をすっと差し出す。見ると
1、宿泊、大部屋は無料(護衛含む)・個室は一日につき銅貨三枚
2、食事一日二食、(おまかせのみ)、無料。それ以上は実費をいただきます。
3、その他、旅の相談は、神殿在住の神官がお伺いいたします。いつでもどうぞ。無料。
「ミケさん、大部屋でいいですよね」
ミケさんの了解をとる。
「1・2は基本の無料ものでお願いします。3番もお願いします」
「かしこまりました。先ほどの椅子に戻ってお待ちください。案内係の者がまいります」
「わかりました。ありがとう」
「どういたしまして」
椅子に戻ってしばらく待つ。
ミケさんが小さな声で言った。
「慣れているな! 驚いたぞ」
ああ……うん……、そりゃあね。
さほど待たされることもなく、案内係の人が来た。初老の神官様だったことに驚いた。
「ご相談なされたいことがあるとか」
なるほど、相談係も兼任しているのか。
「大部屋では他の人もおりますし、懺悔室しか場所がありませんがそれでよろしければ」
「あ、何処でもいいですよ。気を使わせてすいません」
行ってみると、知っている懺悔室のタイプじゃない。小部屋で相手が見えないようになっているはずだが、ここでは、まるで、取調室? 対人恐怖の気がある人間にはキツイ。
相談すると、ポットに泉の水を温めて入れて持ってきてくれた。扉は開けっ放しにして、ミケさんが隣に座る。これなら、どうにか。
「すいません」
お世話かけたことを謝ると、
「いやいや」
この部屋で緊張する人はけっこう多いのだと。ならばなんでこのスタイル。単純に場所がないからだろうか。
コピペは、コートのポケットからアグネの手紙を取り出した。読んでもらうのが一番早いだろうと考えたのだ。初老の神官に手渡すと
「では失礼して」
と、開けて読みだした。




