降ってわいたヤバイ疑惑。コピペさん逃げる
微妙な雰囲気になってしまったのに気が付いて娘エルフは
「では、私はこれで」
と出て行った。
空気の読める女性だ。
ミケさんがこっちを見てる。
「アグネさんって」
コピペはコートの上からポケットの中の封筒を軽く叩く。
「このアグネさん?」
「気になってたのだが」
ミケさんがコホンと軽く咳をした。
「コピペ。俺たち出会ってから、けっこう経つよな。その髪、染め直し、してないよな」
コピペ、『ムンクの叫び顔』になる。
「ミケさん~!」
「待て、待てって、引っ付くな。泣くな。元から白い髪だった可能性だってある」
突然、降ってわいた、実は長寿族だったのだ、疑惑。
人族以外、全ての種族のいわば敵。
しかも、こんな人外の地で。ヤバすぎる。
「ミケさん~、見捨てないで、嫌わないで~」
「泣くな、そしてその変な顔を止めろ!」
どうにかして、泣き止んだコピペを、ミケさんは慰めた。
「長寿族の特徴のうち、容姿・神力は当てはまるが、長寿かどうかは分からないし、知性に至っては全く当てはまらない」
「ミケさん~」
それ全く慰めになっていません。(泣)
もうずっとここに住んじゃってもいいかな、なんて思い始めていた、とても居心地の良いエルフ村。
覚えてもいない過去の自分自身のせいで出ていかねばならなくなった。
さすがに正直に理由を言うこともできず、巡礼、頑張る、と、ありきたりに話すのが精いっぱい。
精霊魔法は、大抵の土地で有効だと聞いたのがせめてもの幸いだった。
-・・・-・・・-・・・-
村を出るときには別れの曲オンパレード、自分も涙、村人も涙、大合唱で見送ってくれた。まるで、卒業式。
「えぐ、えぐっ」
「ああもう、警戒に集中できない、泣くな」
ミニ精霊ががんばれーと点滅している。ありがとう。あ、また涙が。
「歳をとると涙もろくなるんですよぅ」
「……本当に見た目より、年取っているのかもしれないが」
「ええええ」
「泣くなって」
今のは、ミケさんのせいですよ。長寿族疑惑は、棚上げしとくって話だったじゃないですか。人生とは、なんて考えてる場合じゃないんですよ。
「あ、スライム」
腹が立ったので、塩をかけてやった。うねうねしている。
「ああ、もう、貴重な塩を!」
ミケさんが頭を抱える。
「次の村が友好的かどうかも分からないのに!」
次に行くところは決まってますよ。十年前、アグネさんがやってきた道。
「前方の山脈に向かって真っすぐ、むき出しの岩肌が目印の竜の国です」




