旅にも慣れてきました(読み飛ばしても〇)
目測で約二日、もちろん何事もなくて、の話だ。
山道だし岩だらけだしで、さらに日数の上乗せ間違いなし。魔物もいるしな。
野生の獣になってしまった竜は魔物も真っ青なくらい強いらしいし。
けれど、知性の残っている竜とそうでない竜の見分け方って何だろう。
ミニ精霊がぴかっと短く点滅した。
そうだ、我々には心強い斥候がついているじゃないか。ひたすらカメレオン策戦で身を隠している間に、精霊たちにあたりを探ってもらおう。
「他力本願」
「いいんですー。君子危うきに近寄らないんですー」
「前方、ネズミの魔物」
「キャンプファイヤーにつきものの、あの歌、いきます! 『もーえろよ、もえろーよー』」
ミニ精霊ちゃんたち、ひゃっほい! と張り切る。
太い炎の帯、走る。ボー!! ゴー!!
「……これを与えたまえ」
ミケさんが黒焦げの何かを悲しげに拾い上げ、ぽいっと籠に放り込む。
「次からは俺がやるから」
ごめんなさい。
その日、久々に肉の食事で、ミケさんは嬉しそうだった。
空から、鳥型の魔物が襲ってきたときには腰を抜かさんばかりに驚いたが、ミケさんは素早く首をはね、祈りで固定化し、さらに内臓と血は、身を裂きながら、自然に還した。『肉』状態にするまであっという間。
「すごいー」
思わず、拍手。光もピカピカ。
「なんか馬鹿にされてる気がする」
とミケさん。
してませんってば。異世界技、便利ですねえ。
これがもとの世界なら、野生の動物を食べるには手間の一つも二つもかかるってものですよ。
寄生虫やダニだって、つきものです。衛生的に飼育されたものでも解体には時間がかかるものですからね。
火をおこし、遠火でじりじりと温めるように焼き、塩をふってかじり、そしてまた少し焼く。
エルフ村では肉料理はなかった。ミケさんは我慢していたんだな、悪いことをした。
早く気が付いていればよかった。




