表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/82

エルフの村でのんびりする(読み飛ばしても〇)

 冷たい水を持ってきてくれた女性にお願いして、この村の代表者のところへ案内してもらった。

 二日酔いのこの有様ではかえって失礼かと思いもしたが、とにかくお礼とお詫びと考えたのだ。


 年を取ったエルフが、頭を冷やしながら、玄関から現れたのを見て、申し訳ないことをしたなと、思った。

 しかし、エルフは


「いや、いや、いや」

 と、首を振った。


「長年、ここで暮らしてきましたが、あんなに楽しい時間を過ごしたことはありませんでしたわい。感謝しますぞ」


 トンボ型の精霊がすっと老エルフに近づいてその肩にとまった。


「わしらは、精霊種族とうまく付き合ってきたと思っとりましたが、まだまだ、だったのですね。

昨日の神官様の神々しいお姿と生涯忘れられぬ音楽。神代の時代とはこのようなものであったのだろうかと」


 なにか陶酔してる、と、コピペは思った。


 ライブ帰りって、なんかこんな感じだったよねー。

 ふわふわ気持ちよく酔ったような、そしてなんか日常に戻って物悲しいような。


 初ライブが私なんかで、ほんと申し訳ありません……。



 エルフは排他的な種族かと思いきや、精霊に好かれる=エルフの仲間、という考えらしく、打ち解けてしまえば、人間や獣人とさほど変わりはなかった。




 老エルフの代わりにその娘である女エルフが、コピペの疑問に答えてくれた。


「確かに私たちは、昔、神様にひどいことをした人間を軽蔑しているわ。けれど、神の代わりである神官様には、人間であっても、敬意は払っているの」


 でも、と少し神妙な顔をして話を続ける。


「一応、注意しておくわね。貴方たちは、樹人族の聖地である泉から来たわね?」


 あの美しい湖のことだろうか。立ち枯れた木に囲まれた、湖。


「樹人族は、変化についていくことができずに、滅びてしまった種族。

仲間が死んでいく度、残ったものが神に祈ってその姿を残したの。

そして最後の一人になった樹人族は、泉の真ん中で息をひきとったわ。

その最後を看取ったのは、エルフよ」


 あの木は樹人族だったのか。


「かつて最大と言われた回復の泉。

その泉のおかげで彼らは意思のある木として生きていけた。

けれど、今の泉はただの水よ。

何の力もないわ」


 そうなのか、泉らしい気配は感じなかった。

 枯れるのではなく、変質してしまったのか。


「もしもですが」

 コピペは言った。


「回復の泉が復活したら、樹人族はすくわれるのでしょうか」


「無理ね、だってもう亡くなっているもの」


 容赦ない言葉だったがもっともである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ