閑話
プレーリ神官は、集まった村人たちを見回した。
「これで全員なのですか?」
「はいそうです」
大男がびくびくと神官の顔を窺うように言った。
「これで全員です」
「わかりました」
プレーリ神官は頷いた。
「では、今からこの村の今後について話し合ってください。時間は三十分とします」
「え……?」
急にそんなことを言われても、何をどう話し合ったらよいか村人たちにはわからない。ほとんど実の無い話がだらだらと続いた。
三十分後、
「はい、そこまで」
プレーリ神官が、パンパンと手を叩いて止めた。
「大体、分かりました」
え、なにが? 村人たちはそんな顔をしている。
「まず、村長は貴方」
テグウ・ネを指す。
「え、村長?」
「次に、副村長は貴方」
続いてテグウ・ナを指す。
「副村長? え、あたし?」
「いやいやいや……」
猟師の男が慌てて話を遮った。
「こんな、村と呼ぶもおこがましいような小さな集落で、村長とか決めなくても、ほとんど話し合いで決まってきているし」
「小さいのは今まで」
プレーリ神官がぴしゃりと言った。
「これほど、立派な泉を持つ土地が、これからもこのままなんてありえませんね」
「移民を受け入れるということですかい?」
「流れてくるのを待っていては、共倒れになるだけですね」
生徒に教えるように言い聞かす。
「まだ余力のあるうちにこちらから働きかけます。元気で財産もあるうちに、全部持ってこちらに来てもらいます。その時、三分の一を、『税』として徴収します」
「税!」
聞いたことはあるが実際存在しないものだった税。恐ろしい言葉を聞いた気分だ。
「収めた税の金額の大きさによって、建てる家の大きさを決定します。その際は、皆さんに協力してもらいます」
「お、おう……」
協力し合うのは今までも同じなのでそれはかまわないのだが。そもそも大工などという専門職人なんていない。
「しかし、金なんて実際使う場所もあるわけでなし・・」
村人たちは困惑気味だ。
プレーリ神官は、はあ、とため息をついた。
「そんな考えだから、先の神官様に逃げられてしまったのですよ。分かっていますか」
ううう……。
「私にここに残れと言うなら、それなりの神殿を建ててもらいます」
ううっ……。
「すると私は『テグウ神官』ということになりますね」
プレーリ神官は、にっこりと笑った。
「ここで、子供たちを中心にみっちりと教育を施したいと考えております。数年以内に後続が育てば幸いですね」
「テグウ神官様、怖え……」
子供が小さな声で言った。
大人たちもコクコクと縦に首を振った。




