子供エルフと会う。精霊と意思疎通すべく頑張る
再び針葉樹の林に入った。その中に枯れ木が一つあった。白く目立っていた。
足が止まった。
木の前に、子供がいる。見た感じ女の子だ。
「あなた達、精霊を怒らせたわよ」
女の子はいきなり言った。
「大人たちに告げ口をしたわ。大人たちも怒ったわ」
しゃべり方と見た目で、七・八歳くらいと判断した。
コピペは籠から熟した柿を取り出し、かがんで女の子に差し出した。
「教えてくれてありがとうね。これはお礼です」
女の子は柿をじっと見て、そして素早くとった。
「人間とは話しちゃダメって言われるけど」
手の中の柿を撫でた。
「人間なんて来ないもの」
「あなたはなんという種族なんですか?」
「もちろんエルフよ?」
不思議そうに
「エルフしかいないわよ?」
「私は残念ながら人間で、彼は獣人です」
ミケさんを紹介する。ミケさんはちらりとこちらを見て会釈するが、周囲の警戒を続けている。
「大人に叱られてしまいますか?」
「黙ってたらわかんないわよ」
いたずらっぽく笑った。
「精霊が告げ口しなければね」
「大人たちに会ってお話するにはどうしたらいいと思いますか?」
「話、できないと思う」
「絶対に?」
「まずは精霊のご機嫌をとるの」
女の子は考えながら言った。
「その後で大人たちの機嫌をとるの」
「精霊さんたちは何が好きなんでしょう?」
「立派な精霊は、小さな精霊が好きよ?」
「小さな精霊さんが好きなのはなに?」
「変な音で遊ぶことよ?」
「……」
ムムム……。
「おい」
ミケさんが口を挟んだ。
「難解すぎるエルフ言語を通訳してくれ」
私だって頑張っているところなんだから、もう少し時間をくださいよ。
しばらく女の子とお話しした後、お別れした。
情報その一、この道を行くとエルフの村がある。
情報その二、エルフは我々がこちらへ向かっていることを知り、警戒して待ち構えている。
情報その三、エルフは精霊と情報の交換ができる。その能力を有効に使い、魔素をエネルギーとして利用できる。いわゆる魔法というやつだ。
情報その四、なんとこの世界ではカラオケを楽しむことが可能。
「おい」
ミケさんが再び口を挟んだ。
「いきなり、訳が分からなくなったぞ」
ふっふっふ…。おまかせください。
カラオケは嫌いじゃありませんとも。
はい、人並みにたしなんでおりますとも。
イントロからサビまで、頭の中で完全再現ですとも。
まずは基本の音合わせから。
はい。いきますよ。
『ド』『レ』『三』『はぁ』『止』『あ』『死』『ド』
あれれ……?
「なんだ! なんだ、今の変な音はなんだ?」
ミケさん慌ててあたりを見渡す。
「小さな精霊さん達ですよ」
「誰もいないぞ」
「目で見ることができないくらい小さいんですよ。でも音はしっかり出てるんですから、すごいですよね」
「湖にいた奴は言葉を話していたぞ」
「それはかなり高位の精霊ですね。ほとんどは、音をまねることができる程度です」
『ド』『レ』『ミ』『ファ』『ソ』『ラ』『シ』『ド』
おおお、今度はばっちりです。この学習能力、期待できそうです。
「おい」
ミケさんがまたもや口を挟んだ。
「遊んでいるのか?」
違いますよ。私だって頑張っているんだから、時間をくださいってば。




