いいことしてるはずなのに、すたこらサッサ
「終わったー」
嬉しー。
「終わってない!」
叱りつけるように鋭い言葉が返ってくる。
「まず返す、持ってろ!」
何か、投げてよこした。見ると、預けてあったナイフ。
「走るぞ、遅れないようについてこい」
閉めてあった扉まで近寄り、一気に開けて、飛び出し、すぐ閉める。
「明り取り用の穴から漏れ出た光に、誰も気が付かなければ、よいのだが」
なるほど、青い光を外に出さないための絨毯カーテンなんですね。
「町の入口は使わない。裏手の土手を登る。土手の向こうは川だ」
走りながら、指示。
「誰か気が付いたら追いかけてくるでしょうか?」
こちらも走りながら質問。
「善意か悪意か分からんが、必ず大勢に取り囲まれ、身動きが取れなくなる」
ミケさん、土手を器用に登っていく。
そのあとを必死についていく。
小さいが流れが早い川。荒縄で簡単なつり橋。渡り切ったとたん。切って落とす。
「時間稼ぎはする」
「時間稼ぎになりますかね?」
「これで、我々はこっちの道を行ったと思わせる。だが、迂回して別の道を行く」
なんで、一瞬でここまで頭がまわる?
「うさぎ村、反対方向なのでは?」
「うさぎ村にいけるはずがないだろう! すぐ、追いつかれる」
「シムさん達が追いかけてくるんですか?」
「違う」
「誰が」
「ダだ。おそらくルも」
「えー?」
ンな、馬鹿な?
「犬族の村も迂回して避け、クマ族がいるあたりまで一気に進む。休まず歩いて三日、眠らず進める限界だ」
ハードですね……。




