人の振り見て我が振り直せ。コピペさん反省する
一人で泉の前に座って、ぼんやりと考えていた。
プレーリ神官たちは朝食をいただきに行っている。
内容がアナグマと聞き、何となく遠慮した。
で、一人で悶々と考え込んでしまっているのだ。
何処かに閉じ込められた神様は、どうやってお願い事を聞いてくれているのか。
逃げ出すことができたのか。
馬鹿なほど善良な神様の世界なのに、なぜ魔物が存在しているのか。
そして、そんな神話の話よりもっと、現実的な話。
昨日は神様のことをアホとかさんざん言ったが、よくよく考えてみれば、監禁されかかったのは自分も同じ。
「でも、私、神様じゃないし、この世界のこと知らなかったし、アレは不可抗力だし」
だから、あほじゃないし。
しかし、性懲りもなく同じことを繰り返すなら、今度こそ馬鹿だ。
自分には師匠が必要だった。
アグネさん、なぜ死んでしまったの(たぶん)。せっかく持っている信力を出し渋りしないといけないのも、人を信用しきれないせい。せめて腕力があれば、力で押し切れたかも。
いやいや、四十人相手では無理。どう考えたって信用できる協力者がいる。それも、大人で、この世界に詳しく、力だけではなく、小技や警戒心で危険を回避できる協力者。
「ムムム……?」
今の自分に何が差し出せる? その協力者を得るためにどうすれば良い?
-・・・-・・・-・・・-
ルさんに小さな小瓶を譲ってもらう。
プレーリさんとの泉回復の時、わずかに水量を増加させる。
獣人との関係改善に必要だからと、小瓶に泉の水を詰め、昨日、ルさんとトラブルになった虎族の女性のもとへ。
お詫びに来ましたと、家に上がり込む。超貴重な回復の泉の水を手土産に。
一日たち冷静になっている彼女は、相手が神官様だからと、警戒心もなく、家にいれる。
彼女の愚痴や日常のなんでもない話を、いかにも興味があります、という態度で聞いてやり、そして、少しずつこちらが欲しい情報を引き出してゆく。
ざっくりとしたものだが、近くの獣人の集落の場所や名前を印した地図も、書いてもらった。方角と目印、距離。
そして、この町に住むある獣人の情報。
十分に情報を集めた後、そろそろ泉の回復の時間だからと、お暇すると、
「近所のおばさんと同じくらいお話ししやすかったわ。時間がアッという間」
との、お言葉。
そうでしょうね。見た目は神官、中身はおばさんですから。




