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閉じ込められた! 悪いことはしていない、はず?


 することもないし、暇だし、寝た。人の家の人の寝台でよく眠れるなと思うが今更である。この世界、ダニやノミがいないのは最高。あれは噛まれると長く地獄をみる。



 家の外で言い争う声がして、目が覚めた。


 ネさんナさんコンビと、誰か知らない男の声。

 この家の持ち主か。だとすると申し訳ないことをした。猟から帰って、知らない人間が勝手に泊まっていたら、それは気分が悪いはず。家、大事。絶対。


 起きだして、戸を開け、一歩外に出た。


「勝手にすいませんでした。実は私……」


 見ると相撲取りのような大男。一旦、戻り、水筒の水を一口。

 再度、挑戦。


「この家に泊めていただきまして」


 大男の影からもう一人、体格が良い男。肩にでかい獣を担いでいる。見ると、アナグマ。

 ナムー


 手に持ったままだった水筒の水をさらに一口。

 アナグマから目が離せない。鋭く長い爪の大きな手が今は力なくぶらりと垂れている。


「いや、怒っているんじゃない。そんな話はしていない」

 アナグマ男が、言うと、相撲取り男も、


「あんたは村の恩人だ。この家は使ってくれ。こいつは」

 アナグマを指して、


「こいつの」

 担いでいる男を指す。


「家で、さばく。料理が出来たら持ってくる。食ってくれ」


 それは、どうも、ありがとうございます…。


 家の中へ戻るように促される。

 ナさんネさんが叫んだ。

 

「駄目!」

「出て!」


 えっ、なに。


 軽く肩を押されよろけて家に入る。バタンと強く戸が閉められた。


 なに、何事。


 何か扉の場所に固いものを押し当てているようなガタンという固い音。

 戸の向こうから声がする。


「この家の物は自然には還らない。俺の言葉以外では」


 は?


 戸を押す。びくともしない。なんで? えええっ! 閉じ込められた? なんで? 理解できない。なんでだ。


 戸を叩く、両手でドンッと力いっぱい叩く。


 「開けてください! なぜですか? 私、何かしましたか?」


 知らないうちに異世界タブーに触れたのだとしても言ってもらわないと分からない。


「食事ができたらまた来る。話はその時だ」


 大男の声。


 男たちに連れられて遠ざかっていくらしい、ネさんナさんの叫び声。


 この恩知らず! 罰当たり!


 本当に何。訳わからん。じわりと嫌な汗がでてくる。


 水筒の水をぐっと飲み干し、とうとう空になってしまった。



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