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第8話

京香は新しい仲間になるモンスターを作っていた。


「おかっぱ頭で……。和服を着せて……」


木材をナイフで削っていく。


「和服の部分にドラゴンの血で着色したら……。完成ですわ!」


諸葛亮にもらった木材とモンスターの血を使ってできたのは日本人形だった。


「どんな仲間なんだ?」


店番をしていた1号と2号が2階に上がってきた。


「これは……。女の子ですね」

「ちょっと不気味だな」

「……!」


日本人形が2号に魔法を唱えた。


「ギャーッ!」

「2号さん!」

「雷魔法!? 教えていないのに最初からそんなことができるの!?」


日本人形がゆっくりと動き出して浮遊した。


「……うち不気味?」

「そんなことないわ。あなたの名前はトミコ。私に幸運をもたらす者ですわ」


京香は2号を踏みつけながらフォローした。


「うう……。頑丈な俺が一撃で瀕死なんだが……」

「強いですね。教会で見てもらいますか?」


京香はトミコのレベルを確認するために教会に行った。


「なんだと!?」

「……バグじゃないですか?」


レベル  48

腕力   10

体力   14

技    15

知力   45

素早さ  14

幸運   50


「いい素材を使ったからとんでもないレベルですわね。これは複数のイベントや私の能力が偶然重なった結果かしら」

「ゲームバランスがぶっ壊れるがいいのか? こいつが魔王を倒せばいいじゃんみたいな……」

「全部の敵を彼女が倒して京香さんに経験値が入らなくなりますね」


京香はトミコに質問した。


「トミコちゃんにお願いがあるのだけど……。少し手加減ってできるかしら?」

「……手加減ってなに?」

「自分の能力を下げたりできますか?」


トミコは一生懸命に気合を入れてみた。


「うーっ! うーっ! ……こんな感じ?」


レベル  48

腕力   5

体力   7

技    8

知力   23

素早さ  7

幸運   25


「レベルは上下しないがステータスを半減させることはできるみたいだな」

「まあ、ただの手加減ですから僕たちもやろうと思えばできるでしょうしね」

「私が成長するまでトミコちゃんはその能力で協力してね」

「わかった」


今日も授業を受けるために学校へ向かう4人。


「しかしこれで私の魔法がなんとなくわかりましたわ。素材を使ってモンスターを作ることができる。そしておそらくステータス値に少し補正が入っているようね」

「僕たちのステータスと見比べるとたぶん幸運にプラス10だと思います」

「そういえば幸運ってどういう恩恵があるんだろうな」


教室で次の授業が始まった。


「今回は冒険者にとって重要なダンジョン攻略についての授業です」


校長が黒板にダンジョンを描く。


「ダンジョンとは賞金首やモンスターが巣食っている洞窟や遺跡のことです。そして人やモンスターによっては侵入者を防ぐトラップが設置されています。トラップの危険性は場合によるのですが、例えば賞金首が設置できるトラップはたかが知れています。しかしモンスターの強力なトラップ魔法や手の込んだ致死性の高いトラップを採用している遺跡もあるので注意してください」

「場所や生息しているやつからトラップの種類を推察する必要があるってことか」


次に剣やポーションが教卓に並べられた。


「ダンジョンには攻略に失敗した冒険者の遺体があります。遺品の回収は違法ではないので持ち帰って問題ありません。つまり奥に行くほど大量の遺品を抱えた冒険者の遺体があるということです」


校長がアミュレットを取り出して自分の首につけた。


「トラップへの対処はいくつかあります。例えば見破ったり解除ができるような仲間がいない場合はステータスの幸運を上げましょう。幸運はトラップを発動させてしまう確率を下げる効果があります。魔法のアイテムを装備するとステータスを変化させることができるのでお金に余裕があったら魔法ショップに立ち寄ってみてください」


ここで京香が質問した。


「パーティー内での幸運は共有されるのでしょうか?」

「幸運の高い仲間がいると他の仲間も恩恵が得られます。ただしお互いが一定の範囲内にいるときでしか共有できませんから理想の構成は4人前後とされています。これは補助魔法の理屈と同じですね」


そして校長が紙を配った。


「この全国地図にはブンゴ国付近にあるダンジョンの位置が記されいます。今後の冒険やダンジョン攻略に役立ててください」


授業が終わって学校を出た京香たち。


「地図をもらえてよかったですね」

「うちダンジョン行きたい」

「家に帰って地図を確認しようぜ。……うん?」


自宅に向かっていると城のほうが騒がしかった。


「戴冠式をやってるな。姫さまが王位を継ぐみたいだぞ」

「そのうちまた勅命を受けるかもしれませんわね」


自宅の2階で地図を広げた。


「さて、いくつかのダンジョンの情報が記されているがどこに行くんだ?」

「とりあえず簡単なところから試したいわね」

「それならここの廃鉱山の洞窟は盗賊が根城にしているから賞金を稼げますよ。この洞窟もモンスターが大量発生しているからレベル上げにいいかもしれませんね」


熟考した京香は廃鉱山を指さした。


「新女王のために盗賊を倒して治安改善に協力します。それで手に入れたお金や経験値をもとに高難易度のダンジョンに挑みましょう」

「確かに人間が相手ならお前のプロレス技が有効だからな」


京香は本格的なダンジョン攻略のためのレベル上げを始めた。

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